人魚の恋

 

 

 人魚姫は、人間の王子に恋をした。
 けれど、王子が選んだのは別の姫君。
 自分の思いも伝えられなかった人魚姫。
 王子を殺すこともせずに。
 静かに海の泡となった人魚姫。

ああ、ひとは、彼女を愚かな女と嗤うのだろうか?

 

殺すなんて、出来るわけがない。

 だって、彼は素敵なひとで。
 そんな彼の隣に立つのは、彼に相応しい女性でなければならない。
 どうして、自分が立てるだろう?
 どうして、自分の気持ちを伝えたり出来るだろう?
 この、禁忌の身体で。
(ひとならざる人魚の身体。罪に穢れた鋼の身体)
 愛しい彼の幸せを、どうして壊すことが出来るだろう?

 

ただ、自分は。
彼の幸せを祈るのみ。
初めから、伝えるつもりもない思い。
ただ、自分に許される時間があるのなら。
その間、彼を見つめていたかっただけ。

 

<あとがき >
2005.1.20作。本当は日記に載せようと思って書いたエド片恋ポエムでした。載せそびれて死蔵…。
エドがアルに恋なんて有り得ないんだけど(うちのエドはね)、やっぱりエドが恋している話も書きたかったりするんですよー。なので、日記でのみそれを自分に許そうと思って…。もごもご。
2005.6.27.up