|
「もうすぐ食事だから、エドを呼んできて」って、ロゼさんに言われた。
ボクは、そのひとの部屋に足を向ける。
エド。
エドワード・エルリック。
ボクの兄さん。…だというひと。
コンコン、とノックして。
返事を確認して、ドアを開けた。そっと頭を覗かせる。
そのひとは、デスクで本を読んでいて。ボクの顔を見ると、途端に満面の笑みを浮かべた。
ボクは、その笑顔に見惚れてしまう。
だって、本当に綺麗なんだ。
「どうした?アル」
柔らかな声音で聞かれて、我に返った。
「あ、食事の準備が出来たって、ロゼさんが…」
おどおどと言うボク。
だって、仕方ないじゃないか。このひとの前だと、ボクはどうしても緊張してしまうんだから。
だって、こんなに綺麗なひとを目の前にして。自分の心臓の音が耳元で聞こえているみたいにうるさい。
「そっか。呼びに来てくれたんだ。サンキュ」
微笑んで、彼が立ち上がる。と、足元の本の山に躓いて、よろめいた。
「危ない!エドワードさん!」
ボクは、咄嗟に両腕で抱きとめる。
このひとは、ボクよりうんと年上なのに、ボクよりも多少、背が低い。そのうえ華奢だから、すっぽりとボクの腕に収まった。
彼の髪の毛からいい匂いがして。ボクはクラクラする。
「大丈夫ですか?」
彼の顔を覗き込むと。
酷く、辛そうな顔をしていた。
「アル、おまえにとって、やっぱりオレは…」
彼は言い差して。
「わりぃ!大丈夫だ」
と、ぱっ、と身体を離した。
ああ、また彼にあんな顔をさせてしまった。
わかっているのに。
どうしても、呼べない。
目の前の、この美しく、愛しいひとを。
「兄さん」だなんて。
|