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アニばら観察日記


謎多き、青いレモン。酸っぱいくせにまだ青いのか!?いっちょまえに青くても酸っぱいのか!?
答えろアンドレ!!その答えによっては~・・・・・♪



第28話 「アンドレ 青いレモン」



さぁさぁ、やって来ました☆第28話。
27話との間に冬季オリンピックが入り、パソコンが壊れ、ベル妄想が一時中断致しましたが・・・気分一新、灼熱のアニばら世界に無事戻って参りましたので、改めて・・・この珠玉の愛の物語にズブズブと身を沈めてみたいと思います!!

なかなかどうして意味深長な今回のサブタイトル。観る側の期待感も一層増そうかと言うもので~・・・はい、「アンドレ 青いレモン」でございます。
あくまでも予備知識という範囲でですが、原作で読むとこの辺りの展開は大変激しく悩ましく~・・・・・何度目のターニングポイントでしょうか、失恋モードでやおら「うっ・・・」となるオスカル様の“貞操危機一髪!”な場面と共に、ページを繰っているだけで純潔を奪われかねないアンドレ・グランディエ氏の迸る劣情。哀しくも美しい性犯罪未遂事件が(とうとう)勃発し、乙女のボルテージは一気に上昇!登場人物たちの関係性はじっとりと湿り気を帯びて・・・帯びるどころか、滴る愛のエキスにまみれ、もぅ~身も心もビッショビショだわさっ♪という・・・超見どころ満載、萌え萌えな部分である事が分かるのです。
そこでなんですが・・・「果たしてこんなハードな場面・・・夕食時のお茶の間に流してよいのだろうか?」という疑問が、ある程度社会を知るお年頃になった少女たちの脳裏には浮かんだ事と思うのですが~・・・?

アニばらはなんせ80年代初頭(70年代末期というべきか?)の作品ですからね・・・哀しかろうが美しかろうが、アニメーションという枠組の中で性犯罪未遂な場面が電波に乗ったら相当衝撃的であることは間違いなく、実行した制作者は殆ど「そんな無茶な・・・!」なんだと思ふ・・・。しかし、週刊マーガレットという少女雑誌を舞台に数々のチャレンジ的展開をして炎の人間ドラマを繰り広げた原作に倣い、ここは無茶してなんぼのアニばら!というか、この性犯罪未遂事件をスルーしてのベルサイユのばらのストーリー展開は有り得ないわけで。
頑張れっスタッフ!頑張れっっアンドレ!! そして幸せな視聴者である私たちも、この感動巨編・・・決して漫然とは観るまい。という事で益々もって・・・頑張れーーーっ!!!私たちのアニばらウォッチング♪なのであります。

というわけで第28話。原作のこの辺りと同様、見どころ満載です。しかしこちらは思いがけない相手から突如告られてしまった乙女の「わ~吃驚」なドッキドキエピソードというよりは・・・なんか全ておいて「大丈夫だろうか・・・?」と心配になるほど生々しい・・・とにかくアダルト臭むんむんの雰囲気の中進行する感じでして。あくまで突発的な出来事だった印象のある原作と比べて、志垣アンドレはやや確信犯的ですらある・・・
実際「おまえ、全然青くはないだろう!?」と突っ込みながら、男の情熱に身も心も濡れ濡れぇ~・・・なんとも濃ゆい、禁断の「青レモ」の回なのでした。

というところで、予告編を見てみましょう。
フェルゼン・・・黒い騎士事件やらアンドレの片目失明やらで彼のことはすっかり忘れていたので・・・お姿を見て「あぁ~・・・」と思いました。 ジャルジェ家の皆さんがとんでもない不幸に見舞われ七転八倒してる時にも、貴方の悩み事といえばアントワネット様との忍ぶ恋なのよね~・・なんて事を考えると、なんとなくその温度差にイラッときたりもするのですが、それはそれ。フェルゼン伯爵とオスカル様のジリジリとしたリレイションシップ云々はアニばらにとってとても意味深く、内容的にも比重の大きい要素である事は間違いないのです。それに・・・これはもう条件反射と言って良いのですが、フェルゼン伯のお姿を見ると気分が高揚します。物語の中でも特にLOVEな要素が、彼の登場する回は“ガガガッーーー”と音を立てて動くから。つっても、たいていろくな事にはなりませんがね、故にドラマチック!!!
乾いた心を潤す男・・・(人命救助はしても結果として)悲劇を運ぶ男・・・・・アニばら内で恋愛沙汰と言えば貴方を抜きに語れない・・・それがハンス・アクセル・フォン・フェルゼン。なのであります★

そんな彼が再登板して、どうやら独眼流と化した従僕が心理的に乱れに乱れるらしい第28話。
「一方幼い頃から共に生きてきたアンドレは、今オスカルを女として見ている自分に愕然となる」とかってナレーションが入りますが・・・あたしゃ「何を今更ーーーっ!!」という感想だよ(笑)
あんた、放送第1回目から『女』なオスカル様をガン見しとるし、大声で「女に戻るなら今だぞーーー!!」ってな台詞も叫んでたよな~~~!!!
彼ってば人生で何度【愕然】としてるんでしょうか?
いや~・・・この予告編の作りに関しては制作者が意図しないところで突っ込みどころが多数あり、楽しめました。
「許されるのか、この愛・・・!?」・・・許すも許さないも~・・・愛さずには自らも生きられないアンドレの心の叫び、ジュテーム・オスカーーールッ!で、めっちゃテンション上がる~~~!!

予告編の段階で血圧が急上昇しておりますが・・・サブタイトルからしてどうやら独眼流の本領発揮の舞台であるらしい第28話。興奮度MAXの『アンドレ 青いレモン de オスカル様・貞操クライシス』の巻・・・場外でつべこべ言うのはこれくらいにして、いざっ!本編へイッてみたいと思います。


はい、雰囲気のある夕暮れ時。遠乗りというデートに誘っておきながら、彼女を待たせ、大声で捜索されるアンドレの、大変緊張感漂う様子から物語は始まりますね。彼はいつの時点でオスカル様をデートに誘ったのでしょうか?オスカル様の様子を見ると・・・彼女は誘われてわりとすぐ馬小屋へ行きシロちゃんを連れて来て「支度できたよ~」だった感じです。それなのに、彼氏が「いねえ?」ので、憤慨こそしてませんがだいぶ訝しがってる風ですよ。アンドレはオスカル様を誘った後、急に目に異変を感じたのでしょうか?そもそもアンドレは何故塔の上に居るのでしょうか?塔で何か仕事でもしてたんでしょうか?しかも、この塔・・・あれ程高いところに設けられながら(そりゃ“塔”ですからね・・)安全対策の何もなく、目を回したアンドレが落ち放題の構造をしているじゃあ~りませんか。

嗚呼っ~怖いっ!!・・・私はこの場面、本当に怖いのです。
油汗をかきながら、立っていられなくなる程に打ちのめされるアンドレの堪らない焦燥感と絶望感。そこに響くオスカル様の叫び声。
「ちょっと・・・ちょっと待ってくれオスカル・・・(中略)見えるようになったらすぐにおまえのところに行く・・・ほんの少し、待っていてくれ・・・」

最後真っ赤に燃えて沈まんとする夕日とかぶって、暗闇に怯えるアンドレの姿がどうしようもなくカッコイイのです!!

この時点で“オスカル様を待たす男”にキャラ設定されている事に異様にテンションが上がる私は、視点がおかしいのでしょうか?物凄いトラジックな中にそこはかとな~く漂うモテ男の贅沢感。「なんだよ~~~・・この続き、どうなるんだよ~~~♪」と萌えに萌え、期待感で胸をいっぱいにしたところで本日のAパート。遠乗りデート云々の話は無かった事になってました(涙)・・・もういい!自分で妄想する。。。

そーゆーわけで、頭を切り替えるのがちょっとばかり大変だったのですが・・・ここもなかなかズドンと来るいい場面なんです。
突然の高熱により激しくうなされ苦しむ王太子。彼が助けを求める相手は母であるアントワネット様ではなく「お父様」なわけですね。・・・こーゆーのってショックだろうなぁ・・・。離宮に引き籠もってまで子供たちと多く関わってきたアントワネット様にとっては相当の衝撃かと思われます。そして、もともと不倫の負い目があったのでしょう・・・こーゆー事態になり、彼女は突然神に懺悔し始めるんですね、当のフェルゼンに立ち聞きされているとも知らずに。で、これを聞いたフェルゼンも大ショックなわけですよ。

空白期間があったとはいえ、固い信頼関係を築き、密かに愛を育んできた女性に・・・今まさに厄病神的な言われ方をされる自分。それはあまりにも悲観的な解釈かもしれませんが・・・少なくとも自分にとって『この世のすべて』だった女性には他にもっと愛するものがあったわけです。それと引き換えに自分との事は切り捨ててしまえる程にその愛するものの存在というのは究極なのですね。そして、それが『子供』という存在である以上、自分の敗北は決定的です。・・・


若い頃の私はここでのアントワネット様の発言が、どうにもこうにも身勝手に思え好きじゃありませんでした。でも年をとるにつれて分かる分かる・・・となり、今では一緒に泣いてしまう。ガックリと肩を落とし去っていくフェルゼン伯の後姿も堪りませんし、アニばらよっ!!この悲惨のてんこ盛り状態・・・どーにかならんのか!?と、ハンケチーフ3枚くらいを握り締め、グショグショにしながら叫んでしまいたくなるのです・・・。

場面変わって・・・王太子殿下の高熱がどうにかこうにか下がられたという事が、すんごい景色の大窓をバックにお茶を啜られるオスカル様の台詞で分かり、少しホッとしました。
オスカル様は護衛の立場という他にジョセフ様には特別な愛着というか、想いがおありでしょうから・・・今後の殿下の体調の事を随分と心配しておられるご様子です。そんなオスカル様の言葉には特に反応することなく、いきなり話を変え「剣の相手をしてくれないか?」というアンドレは・・・一瞬「それでいいのか?」と思ったりもしますが、オスカル様に気分を害された様子がないので、別にこのへんは気にしなくてもよかったようですね(又してもホッ・・)。

お庭に出て剣のお稽古を始める二人。静止しているものすら霞んでしまうアンドレの右目は動いているオスカル様をうまく捉える事が出来ません。故になかなか情けない負けっぷりだったりしますが・・・深い事情を何も知らないあんたに笑われたかぁ~ないわ!で、フェルゼン登場。

絶対来ると思っていましたよ・・・。あれだけヘコんだら、もうオスカル様にすがって慰めて貰う以外フェルゼンに立ち直る方法はありません。

王太子殿下が熱を出されたのが昨夜で、熱が下がったのが今朝という事ですから・・・フェルゼンはとりあえず半日以上オスカル様に逢うのを堪えていた事になります。お互い仕事があったのでしょう。で、結果・・・フェルゼンは夕食時に合わせて現れたね(笑)アメリカ大陸から帰還した際に振舞われたジャルジェ家の骨付き肉の味も、あるいは恋しくなったのかもしれません。何はともあれ・・・私はどうもこの辺りのフェルゼンに「おいおい、オスカル様は傷付いた時に話を聞いてくれるスナックのママさんじゃないんだよ」という気がしてならない。だってさ、オスカル様も彼が来たら決して嫌な顔しないで「あら、いらっしゃい!お久し振りだわね~」な反応だし・・・・・アンドレの方がよっぽど「げっ・・・!」って思ってるよ~・・・・・スナック『青いレモン』、いよいよ開店だね(笑)

夕食を終え(勝手にそーゆー事にします)、まったりとしたお酒の時間が始まり、じわじわと探りを入れて来る風のフェルゼン。一方オスカル様は何か後ろめたい事でも?と思われちゃうくらいに彼と目を合わそうとなさいません。そして「一体いつ以来だ、覚えているかい?」の問いに「いつからだったかな・・・」と言葉を誤魔化すオスカル様。ここでサクッと「女装して舞踏会に行った事があってさー、そこで踊った時以来?」とかって答えたら、違う展開があったのだろうか・・・?いらんこと想像してる場合じゃありませんね・・・、言葉には出しませんが二人の頭には“あの時”のことがしっかりと思い出されているのですから~・・・・・・
お互いなんとなく近況を報告し合った後、いよいよフェルゼンが核心へと迫ります。

自分には特別嬉しい事も哀しい事もなかった。等と言って枯れ木のような寂しさを醸し出すフェルゼン。
そんな彼が「そう、そういえば・・・」と語り出すのはひと月前のあの舞踏会・・・君にそっくりな女性に逢った。あの舞踏会一度だけ。それきりもう何処の舞踏会に行ってもお目にかかれなかった・・・暗に「私は君の事を探して此処に辿り着いたのだ」と言ってるようにも思えますが、当然オスカル様が自白する事はないわけで・・・というか、答えを聞く間もなく身を乗り出して彼女の手首を掴みます!!

あの時”とは状況が違い過ぎるのでフェルゼンの台詞は若干言い掛かりっぽい気がしないでもない・・・しかし突然女性の髪をグイッ!とやるよりかは、アニメフェルゼンの確認方法はだいぶスマートだったように思います。

「どんなに隠そうとしても、瞬間的な身のこなしは隠しようがない」と真正面から断定的に言われ、オスカル様はプチ星一徹化☆ ひっくり返せるくらいの小さなテーブルだったので、ガチャン!とやり、タタターーー・・・と逃げ出します。
これも瞬間的な身のこなし?フェル伯ったらあの舞踏会を彷彿としちゃってちょっとボー然としちゃってました。

スナック『青いレモン』・・・盛り上がって参りました・・・。
てか、部屋に残されたフェルゼンと、二人の様子を見てしまったアンドレ。気まずかったでしょうねえー・・・・・会話とか、したんでしょうかね・・・?男同士の葛藤のあれこれも、すんごい気になるわ。。。


「オスカル、もしも初めて出会った時から君が女性だと分かっていたら」
・・・分かっていたらどうだったんでしょうか?オスカル様と恋の成就が有り得たとでも言うんでしょうか?
分かっていたところでオスカル様は既に男の道を邁進する運命を選択されていたわけですし・・・考えられる展開はといったら「ねぇ君!君ホントは女の子なんでしょ!なんで軍服なんて着てるのさ~、ねぇねぇ、ねぇってば~」とやたら慣れっこいフェル伯に対してオスカル様がむしろ恋心を抱かなかっただろうな。という事だったりするわけで、まぁそんな事はこの際問題ではありません。
・・・ここから、ここから、アントワネット様に「フェルゼンにはもう会わないと誓いを立てても構いません!」と号泣されたショックと同等、もしくはちゃんと対峙して(対峙とは言わんか?)言われてる分だけ余計重い、別離の宣言があるわけです。

自分の心はとっくに整理がついているんだというオスカル様が言う「この世に愛はふたつある。喜びの愛と、そして苦しみの愛が・・・」という台詞。これだけでも相当深いと思うのですが・・・続くフェルゼンの答えに胸がつまります。
「いいやオスカル、この世の愛はたったひとつ。苦しみの愛だけだ」

・・・・哀れ、フェルゼン・・・これってもはや断末魔の叫びのように私には聞こえます。

誰も幸せではなく、生まれて来たが最後、もうそれが不幸の始まりなのだという響きすらある。愛にはいろいろな形があって・・・とかいう理論は、もう彼にとっては綺麗事でしかなく、とにかく苦しみだけなんだ・・・という心境は、察するに地獄です。

しかし・・・友情という彼を長年支え続けてきた柱まで折れる事は決してありません。かといって、両者の間で相手に何を望むかという基本部分が崩れてしまった、というかそのへんのズレに気付いてしまった以上「今まで通りの関係を続けるわけにはいかぬ=お別れ」となるのは仕方ない事・・・なのかなぁ(涙)・・・
とにかく、私は・・・去って行くフェルゼンの後姿をボロボロ涙を流しながら見つめて、「神よ!フェルゼンにご加護を!そしていつか喜びの愛を彼にお与え下さい!!」と心で叫ぶオスカル様の気持ちの在りように、激しく・・・激しく感動するのです。これは共感とかいう馴れ馴れしい感覚ではなく・・・利己的な思想が蔓延する現代社会においてむしろ驚愕に近いというか「ああぁっ!この人って、本当にフェルゼンを愛してるんだ。自分よりも・・・去ってゆく他人が大切なんだ。こんなに泣いて心身ボロボロなのに・・・何よりも先ず愛する人の幸せを、こうやって必死に祈るような人なんだ・・・」と、尊敬に値するオスカル様の台詞。
“初恋”と呼ぶにはあまりにも深過ぎたオスカル様の想い・・・。

ここまで彼女の心の動きを自分なりに精一杯妄想、観察して参りましたが、・・・うっうっうっ・・・臓物が捩れそうな程にホントに愛しい・・・愛しくてたまらん・・・・・。


アニメでこんなにも上質な台詞や演出に、出逢えるなんて思ってもみなかったよ・・・という場面がアニばらには多く登場し、その度になんだか自分のココロまで浄化され豊かになってゆくような感覚に浸れるわけですが、第28話・・・素晴らしい情操演出テクニックに涙も鼻水も・・・甘く悲しく惜しみなく流れてぇ~・・・水分&塩分補給しながら観ないと干乾びちまいますのでホント気をつけて下さい。


プチ星一徹となり思わずひっくり返してしまったテーブル、そして散乱するワイングラスの破片・・・それらを自ら片付けようとなさるオスカル様に一応「手伝おうか?」と声をかけるアンドレ。しかし手伝ったとして・・・そんな気まずい時間、両者共にとてもじゃないが堪えられんだろう(啼っ)!!
く~・・・そーゆーわけで、ここから数分間の演出は有名ですので是非ともご注目戴きたい。
暗闇に倒れこみ、光に向かって必死に手を伸ばすアンドレ・グランディエ。そんな彼のバックにエンディングの「愛の光と影」が歌入りで流れます。そして当初アンドレが叫んでいたラスト部分に「オスカル・・・助けてくれぇ・・・!」の台詞。顔の怖さもあいまって迫力満点、大変印象深いアニメグランディエ氏の名場面なのでした。
更に!傷心のグランディエ氏のスタンドプレーは続きます。
馬小屋に助けを求めるアンドレ。クロちゃんは髪を切り、片目をなくし、ヨレヨレになるご主人の姿を、さぞやヒヒ~・・ンと憂えたことでしょう・・・(涙) 
「運ばなくては!マスターを癒しの空間へ・・・運ばなければっ!!」という事なんですが、アニばらの場合行き先はパレ・ロワイヤルではありません。むしろ、パレ・ロワイヤルなんて二度とごめんだ~・・・でしょうからねぇ。つ~わけで、入ったお店は売春宿、性感マッサージ、ファッションヘルス等ではありません(・・・すいません!不適切と思われる箇所はどうかスルーして下さいませ・・・) 

さぁさぁ、やりきれない思いを発散するのにやって来た場末の安酒場『LA BONNE TABLE』、普段はどうだか知りませんが今夜は月に一度のスペシャルナイトらしく、超~・・やかましいです。
落ち込んでる時によりによってこんな店をチョイスしなくてもなぁー・・・と思うのですが、恐らくアンドレが先に飲んでいたんでしょう。キタナイ店の片隅で陰気にショボくれる男、アンドレ・グランディエ。しかし、静かにそしてニヒルにショボくれたい・・・という彼の願いは叶わず、ドヤドヤと押し寄せ席を占領し、コンパニオンさんを呼ぶでもカラオケをやるでもなく、ひたすらセルフで盛り上がる青い集団・・・。

あ~ば~よ~ ミレーユ 浮気はするな~ おいらのげんこつは敵の弾より おっかねーぜっ!!
ゆくぞ~ ゆくぞ~ 戦うぞ~ でっかいケンカは男の望みさ~
だ~か~ら~ ミレーユ おまえのくちびるは~ おあずけさ~~~・・・


という・・・当時の流行歌なのか、はたまたこの青い集団のオリジナルソングなのか知りませんが、この歌詞とメロディ!これはアニばらのスタッフが考える“男らしさ”を「これでもか!!」と凝縮して華麗に謳い上げた・・・まさに珠玉の漢・応援歌なのであり、ワンフレーズ口ずさめばたちまちオトコの免許皆伝!!
決して笑ってはいけないアニばら後半部の重要なテーマ、なのであります。
と、やかましい野獣の集団にやや熱くなってみましたが・・・これっあんた!なんてお行儀の悪い・・・・・テーブルの上にブーツのまま立ち、大ジョッキを高々と掲げ、もう片方の手は腰!ワハハハハ~ッと豪快に笑いながら粗忽なオトコ賛歌を熱唱する・・・ここまで男らしさ満載だと一般常識などはどうでもよくなり・・・・・・
きゃーーーーーーっ!!アニばら最後の大物キャラ、アゴがケツ化したアラン・ド・ソワソン氏のご登場で~す!!!

鳴り物入り・・・というのはまさにこの事か?と思う程の、華やかな登場っぷりのケツアゴアラン班長。原作より、こちらの方だいぶ加齢臭を漂わせ~・・もとい、大人のムードでズカズカとテーブルを渡って、やって来ましたショボくれ男のところへ♪(しかし、この店の無秩序っぷりときたら今の分煙問題云々のレベルじゃ~ありません。店主よ!いいのか、これで!?)

陽気な酔っ払い男に突如からまれた傷心のアンドレ。(ちなみに「おい!若いの!」という第一声がアランの年齢設定の変更を如実に物語っていますね)意外とお節介なアランから「沈んでねえで一緒に魂のオトコ賛歌を歌わねえか!」と誘われ、「ありがとう・・・じゃ、仲間に入れてもらおうかな・・・」なんて答えちゃうアンドレは、やはり育ちがいいのよね~・・・☆


んで、ようやく本日のBパートです。
楽しく飲んで歌った後、アンドレとさしでトークタイムに入ったアラン。さっきまでの豪快さはどこへやら~・・・という感じで、だいぶしんみり・・・卑屈なニュアンスで職場環境の劣悪さ(?)を愚痴ります。デカい背中を丸めて話し込む二人の後姿がいい感じに枯れていて、なんか泣かせるわ・・・。
んで黙って話を聞いてくれる「若いの」がすっかりお気に召したようで、アランはおまえも腹ん中のもん出しちまえよ~とか言いますが・・・職場の愚痴のあと、語れるような話ではないわけで・・・ほのかに微笑んで青い野獣たちに差をつける青いレモン、アンドレ・グランディエ。こーゆー空気、アランにとってはなかなか新鮮なものだった事でしょうね☆
といったところで、お祭り騒ぎはいよいよクライマックスを迎えます。
くだらない事から店を崩壊さすほどの大乱闘へと発展!しかし、これもプログラムのうちらしく・・・居合わせたアンドレも巻き込まれ~の、思いがけずストレス解消できたわけですね♪
しかし、一人になれば頭の中を支配するのはオスカル様への行き場のない想いだけ・・・な彼。さっきまでのバカ騒ぎが余計に孤独感と焦燥感を浮き彫りにするのか、うっすらと明るくなり始めた空に向かって大きく咆哮・・・・・
志垣の雄叫び、こーゆー感じもなかなかね、Goodでした♪

ちゅうことがあり、やっと帰宅したアンドレ。ジャルジェ家に門限はないようで・・・てか彼は鍵を持ってるんですよね。当たり前だけど・・・。で、入って来ましたら寝ないでもの思いにふけるオスカル様に遭遇。益々酔いも醒めるってなもんで・・・きっちりシラフな頭で彼は「私は、近衛を・・・辞める」という宣言を聞きました・・・。



翌日、アントワネット様のもとへ伺候したオスカル様。どう考えても「何かあったわね!?・・・何がど~したって言うの!?オスカルッ、答えて!!」と相手を動揺させまくる言い方です、それは。溜め息・・・
しかし・・・これだけ正直者なオスカル様のこと・・・適当な退職理由なんて思いつくわけもなく、「理由は言えないが・・・ってゆ~か言ったらあんたひっくり返っちゃうだろうから、マジ絶対言えないけど・・・忠誠心だけは変わりませんから・・・これだけは本当、年季入ってますから・・・・・だから、どうかここからは解放してやって下さい」みたいな事を言って、近衛を去ろうとします。・・・私がアントワネット様だったら、も~どうしていいか分からず発狂してしまうところですよ。

んで場面転換。鬱積した想いを処理しきれないオスカル様が馬に八つ当たり(に見える・・・)している風景を眺めながら、果てしなくじっとりした目つきのアンドレ。今回のこの場面・・・どうしてこーゆー演出が出来たものか、とにかく巧いのです。二人の距離感って言うか・・・
まだまだ過激にすれ違ってる様子がバッチリ表現されているーーー・・・。

アンドレの台詞なんてホント凄いから、皆さんご存知と思いますがちょっと書き出していいですか!?

「何故だオスカル・・・何故近衛を辞める・・・ フェルゼンとの決別の辛さに耐えきれずにか・・・ フェルゼンの愛するひと、アントワネット様のお傍から逃れたい為か・・・・・ 逃げて逃げきれるものならオスカル、俺だってとうの昔におまえの傍から逃げ出していたぞ・・・!おまえがもがけばもがくほど、俺は・・・俺は・・・・」

ぎゃ~~~・・・俺は何だって言うのーーーっ!?・・・片目の青いレモン、視聴者をどこまで興奮させれば気が済むんでしょうか?
場所を変え、ジャルジェ邸内癒しのスポット、馬小屋にて。
アニばらの絶妙過ぎるストーリー展開、ここから先は・・・っていうか毎度のことですが、原作を離れて観て下さい。完全にオリジナルストーリーとして楽しむか、理代子先生の世界と比較して唸ってみるかは御覧になる皆様それぞれの自由であると思いますが・・・とにかく原作に忠実でないなどという詰まらない突っ込みは引っ込めて戴きたいのです。

くれぐれも、アニばらは余計な先入観なしで観て貰いたいと私は思う。
本当にディープでエモーショナルな世界が、そこには在るから。


馬小屋はオスカル様とアンドレの想い出が、こてこてに詰まった場所です。
初めてアンドレが屋敷にやって来た頃に、二人はどれだけ外を駆け回り、はしゃぎまくっては心を通わせたことでしょう。貴族と平民の身分の差、女の子と男の子の性別の差、そういった境界線を意識しなかった頃、仲良く肩を並べて背くらべをした、嗚呼あの頃のスイートメモリー・・・・・今もがきにもがいているオスカル様の視界に入ったのは、何故なんでしょうか。

オスカル様は現実逃避をしている・・・もっともらしい理屈を並べ、揺らいだ精神状態をなんとか立て直そうと必死になっていらっしゃいますが、実際おっしゃってる事はめちゃくちゃです。男として育てられた貴女だから、しなくていい苦労をたくさん経験したのです。男として生きなきゃならなかったから、知らなくていい地獄を見たのです。それらに全部蓋をし、孤独に抱え込んだまま修羅の道を突き進み・・・たとえ世間は不思議と思わなかったとして、貴女自身はどうなるのです?すべて経験してしまってから何も知らなかったあの頃に戻るなんて・・・そんな生き方は不自然の上塗りでしかなく、生きていけるはずがありません!実際、貴女はアンドレの微妙な立場に、もう気付いているでしょう?気付いているのに、あえて彼を傷つける事を承知でそんな無謀な宣言をしてみせているんでしょう?
オスカル様、・・・それは甘えですよ・・・行き場のない感情をこんな形で爆発させて、気付いてないかもしれないけど、貴女はとんでもないおバカさんですよ・・・・
でも他に、彼女に何が出来たでしょう?何をすれば救われたのでしょう?・・・精一杯バランスをとって、綱を上をギリギリ歩いているかのような彼女の人生。こんな時にどんな言葉をかければいいのかなんて誰も分かろうはずがありません。アンドレだって・・伝えたい思いは溢れる程にあったに違いありませんが、瞬間的に言葉に出来るような類の感情ではなかったはず。なので・・・グッと堪えるしかなかった想いが、急所にきました。
オスカル様に与えられた運命があまりにも酷で、それをただ見ているしか出来ない自分の運命があまりにも呪わしくて、「オスカール!!」と・・・断末魔の叫びをあげるアンドレ。
この時オスカル様は振り返って彼に声をかけましたが・・・今はまだそれだけ。二人の関係に光が射すのは、残念ながらもっと先のお話です。

オスカル様が弾くピアノのアンニュイな調べに乗って・・・アンドレは自分の容体が芳しくない事に思いを馳せ、おっと・・・この人の現実逃避は酒なんですね~。こんなところも原作とは180度捉え方が違います。酒に逃げるは男の性。高いモノなんでしょうに、使用人が勝手にあおっていいものなんでしょうか?
ま、今回はおばあちゃんに見つかって未遂に終わったんですけどね・・・。
一触即発の二人の危険な関係(?)を知らないばあやさん。寝入りのお茶のデリバリーで青いレモンな狼をお嬢様のお部屋に派遣しちゃうなんて超大変っ!!!と残り数分間に起こり得るであろう出来事に想像を巡らせ視聴者は前のめりになるなる~第28話♪

ああ~・・・オスカル様ぁ・・・・・アンドレはピアノの演奏だけ聴いて、去るつもりだったんです・・・。それをそれを~・・・馬小屋の続きをここでやる?
口調こそ穏やかですが、その発言って殆ど世捨て人のそれのようで・・・・・はい、そうですか。って言えるわけないじゃないか。オスカル、おまえ、俺が今どんな気持ちでいるか分かってないだろ?ええ?愛するがゆえ・・・おまえの宣言する全てが静かに俺の逆鱗に触れちゃってるんだって事を、おまえサッパリ気付いてないだろ?・・・・・・・ボ・ボ・ボ・ボ・ボ~~~・・・画面は大地震発生直前警報が鳴りまくってる感じ。
そして、何重にもオブラートに包みまくった言い方だけどなぁ、俺の話を聞け。

「紅く咲いても白く咲いても、バラはバラだ」
意訳スタンダード編:どんなにもがいてみたところで、状況は変わらないよ。
意訳ハード編:失恋したあげくの悪足掻きか。痛々しくて見てられん。
言~っちゃっ~~た★

続く「バラはライラックになれるはずがない」を「女はしょせん女だと言うことか!?」とスムーズに解釈したオスカル様の理解度はかなり上級だと思われ、・・・ズバリ言い当てられたのでブチキレてしまわれたのですよね、オスカル様。自分でもたくさんの不安要素を抱えておられたのでしょう・・・それを短い言葉で指摘され尽くされたかのような展開です。

バッチーーーーーンッ!!って、映像がリピートするため一瞬往復ビンタかと思いましたが・・・ってか、片道キップだったとしても、今のビンタで完全にスイッチオン★だよ。
ヤッホーーー♪青いレモンの反撃開始~~~!!!・・・ベッドと目と鼻の先での反撃なので寝技になるのは当然っ!!
女がどんなに“男”を目指したところで根本的な違いと言うのがこの世にはあり、たとえば腕力とか暴走する情熱とか突発的に湧き上がる性欲とか。どんな手段を使ってでもく食い止めたい事態・・・自棄気味になってイバラの道を無理に突き進まんとする愛する女性をなんとしても引き止めたい複雑な心理とか・・・・


あ、ところで・・・アニメではビリビリビリビリではなく、「ビリッーーー!!」とひと裂き・・・豪快に衣服が破かれました。
オスカル様がノーブラでいた可能性は何%くらいかなぁ・・・・・・もう寝るぞって時だったら、あれは実は寝巻きだったという事でノーブラ率は80%、いくかなぁ。
いや、問題はノーブラだったか否かではなく(だってアンドレの様子からして目撃してるしね、絶対)。


お互いがお互いに対してブチキレた結果、二人は合意ではないにせよ熱い接吻を交わし、ベッドに倒れ込み、衣服を破き破かれ、裸体を晒し、衝撃を受け、固まり、泣く。という・・・この悶絶のプロセス。そりゃ~ちったぁ暴力的かもしれん・・・だけど、口で言って分からないなら体で分からせろという言葉もあるくらいで、・・・むしろよくやったよ、アンドレ(涙)・・・

しかし襲われるオスカル様、「離せ」から始まって反応がいちいちセクシーなので・・・火に油を注ぎまくってるんだよね~貴女!!
それはそうと、今までアンドレは最後の砦じゃないけど、オスカル様のストレスを一方的に受け止め過ぎていたように思います。オスカル様が悪いわけでは決してないけれど、アンドレはもっと悪くないんです・・・。彼の心にあったのはドロドロとした嫉妬心や独占欲とはちょっと違う・・・本当に「愛する人よ、どうか壊れないで」という、切実な危機感だったと思う。本来の素敵な性を無謀にも捨て去ろうとするオスカル様に「はやまってくれるな!」と、叫ばずにはいられなかったんだと思います。


美しい姿と心を持った世界で一番大切な人、オスカル。
少しの傷だって負わせたくない、自分にとってただ一人の女性が目の前でボロボロになって更に険しいケモノ道へ、たった一人で歩き出そうと言うのです。・・・・・これが、止めないでいられましょうか・・・・・?


「自分を男だと信じていたあの頃に戻る。戻ってみせる」なんて・・・ひとに優し過ぎる貴女だから、いつだって矛先は自分自身。お願いだからそんなに自分を追い詰めないで、オスカル様!!そーゆー視聴者の気持ちを、アンドレは確かに汲み取ってくれました。

決してスマートな展開ではなかったけど、やっと告白できて・・・良かったね、アンドレ(泣)・・・



第28話。初めて観たあの日の衝撃は今もまったく色褪せません。
繰り返し再生する度に人の優しさとか残酷さとか激しさとか脆さとか・・・いろいろ、本当にいろいろ・・・勉強させて貰っています。

ようやく想いを伝える事が出来たアンドレ。台所にて、あの後・・・晴れて、飲んだくれたと思いますよ。
一体どんなお味のお酒だったのかしらね~・・・・・つづく!!


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