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アニばら観察日記


独自路線を貫くアニばら物語、急展開に次ぐ急展開で事態は絶叫マシン並みの激しさです・・・
きゃあぁぁ~!!黒い騎士よぉーーー♪



第26話 「黒い騎士に会いたい!」



皆さま、とうとうこの時がやって来てしまいました。
お別れです・・・おリボンなアンドレ、そして一見平和なベルサイユと。・・・うっうっうっ・・・・・


第26話、激しいです。何が激しいって・・・一言で言うと東京ムービー新社の名のもと、「ベルサイユのばらをアニメ化しよっ!」と集まったスタッフさんのたゆまぬ暴走っぷりがです。今までもそうでしたが、全くもって生唾ゴックンな程にストーリー変えてくれちゃってます。
ムッハーーー・・・えらいこっちゃーーー・・・・・・・・

ここまで来ると、覚悟を決めるしかありません。
「どういうつもり!?」などと言って眉間にシワ寄せてる間に物語はどんどん高度を増し、クライマックスへ向け、あとはひたすら加速するのみなのです。付いて行く行けないに関わらず、観る側は「これはこーゆー物語なのだ」とハッキリ認識するより他ありません。

ああ、私はアニばらという物語に“DANGER”の張り紙を巻きつけて差し上げたい・・・タイトルの下に、この注意事項そっと書き入れて差し上げたい・・・★

というわけで、人間トランキライザーアンドレの人生に劇的な変化が訪れます。

第26話は彼の中に在る“大人っぽさ”と“子供っぽさ”が『黒い騎士』というある種シンボリックな存在の前で激しく揺れ動く様を描きます。またそれによって視聴者に来たるべくフランス革命をビンビン意識させる事に成功しました。また、そーゆー彼の前で、オスカル様の中にあったアンドレ像をもアニばらは木っ端微塵に打ち砕いてみせるのですから・・・これは当時想定外の展開だったのではないでしょうか?

てか・・・ここでですよ!?原作だとこのあたりってまだまだギャグ色が強めではないですか!?・・・ギャグというのは語弊がありますね・・・アンドレはオスカル様の支配下にないですか?これは良し悪しの問題ではなく、もともとのキャラクターの性格や関係性によるところなのですが・・・それにしても、こーゆー展開に持ち込んだスタッフさんの勇気には息を呑みます。ベルばらという題材を得て・・・出崎監督のやりたい事が、このあたりになってようやく分かって来たような・・・。いや、まだまだ油断は禁物ですが、とにかく、こうまで積極的に変えて来るのはオモロイ♪『ベルサイユのばら』という物語に対して非常にアグレッシブ&ハングリーな姿勢を感じるので、どんどんやって下さいっ!!!
とまぁ、本放送から37年あまり・・・いまだこれを煽り続けることを至上の喜びとする私のテンションはそう・・・めっちゃハイボルテージでナイアガラの滝でも昇ってやろうか!という勢いなのであります♪

さぁ第26話!!・・・つかみの部分からして若干・・・和物の匂いが漂っているのは気のせいでしょうか?
私がアニばらを本当に意識してのめり込んで観始めたのは80年代に入ってからの再放送なのですが・・・この時はアニメでも『泥棒モノ』というジャンルが確立していて、代表作をあげれば「ルパン三世」や「キャッツアイ」(偶然なのかなんなのか制作会社一緒ですね・・・)あたりになりましょう。とにかく学級会などで先生に「将来なりたい職業は?」などと訊かれれば「わたしは不二子やキャッツアイのようなカッコいい泥棒になって人生おもしろおかしく遊んで暮らしたいです!」などと答え、クラスメイトからそれなりの共感を得ていたなぁー・・なんて、そんなしょうもない事を思い出す黒い騎士エピソード。それに時代劇で有名だったのは何と言っても「ねずみ小僧」ですね。時代がちょっとズレますが大地真央さんが演じた女ねずみ小僧は結構ハマって観てました♪
つ~事で、泥棒が登場して来た事により、必然的にアニばらはニッポン的な雰囲気を醸し出す事になるのです。・・・すいません・・・完璧に私見です(汗)。しかし、26話の冒頭部、「黒い騎士だーーー!!」とザワザワする貴族たち・・・ベルサイユというよりなんとなく江戸城なムードないですか?更に、コテコテ貧民層な家族に窓から金品を分け与える黒い騎士、それに「おまえさん!金貨だよ」「ありがてぇ・・・きっと黒い騎士のお恵みだ。ありがてぇことだぁ・・・」と言うスタンダードな夫婦の反応、あきらかに日本昔話系です・・・。
義理と人情と反骨精神を糧に夜の街を馬で疾走する黒い義賊。その向こうに十手と提燈を持った火付け盗賊改め長谷川平蔵が見えるのは、きっと私だけではないでしょう。


というわけで、本日のAパートはばあやさんの戸締りシーンから。・・・ジャルジェ家には雨戸があるんですね?今までも事ある毎に激しい雷雨に見舞われているジェルジェさんちですが、雨戸初めて見たような・・・。いや・・・オスカル様も指摘しているように、このように厳重に戸締りをするのは珍しい事なのです。それもこれもみ~んな黒い騎士のせい。いつ忍び込まれるか分からない状況なので貴族のお屋敷では出来る限りの警戒を強いられるようになりました。ところで、これって「かた恋のメヌエット」からどれくらい日が経ってるんでしょうか?原作ではこの辺いろいろな事が同時進行だったように思うのですが・・・
アニばらではオスカル様の気持ちがそれなりに沈静化してから“黒い騎士事件”が起こったように感じます。
だって、まぁ舞台進行上当たり前なんでしょうが26話のオスカル様はフェルゼンの事なんかこれぽっちも妄想してません。

恋の嵐が去って我に返った矢先に・・・突如馴れ親しんだ男が見知らぬ顔をして立っているのです。
なんという衝撃!!どーにもならない恋愛でテンパってる間に・・・幼馴染は一体全体どこにイッてしまったの!?!?という・・・これまた人生始まって以来のミステリーゾーンに突入なオスカル様。
神は彼女に休む暇を与えません。・・・お可哀相に。。。 


とにかく第26話の作り込みは妄想無限大です。

全体的に夢かうつつか分からない感じもありますし、何しろ身分差、男女間の歴然たる隔たりというものをも~イヤッ♪ちゅう程に見せてくれるのです。・・・これって面白くないですか?幼馴染だろうが光と影だろうが、謎な部分はあるのです。どんなに近くにいようと別々の人生を生きているのですから、何もかも理解できているなんて事は有り得ませんし、他者の人生に強引に踏み入る事も普通に考えれば到底出来ない事なのです。というわけで、この時点で強烈に個人としてのアンドレをアピールしてきたアニばらは「群像劇にミステリーを加味する上で物凄くカッコいい!」と私なんかは思うのです。
つっても・・・これは殆どが誤解であるわけで・・・もっと言えば分かってないのはオスカル様ただ一人という事になります。例えば視聴者は瞳の色や声などから「こいつはアンドレではない」と始めっから分かってますよね?嗚呼それなのにそれなのに~・・・
細かいトラップとアンドレ自身の「あんた・・・それって“誤解”へ誘導してるよね?」という紛らわしい行動によって、いつのまにか【疑惑の塊】と化すオスカル様・・・


この辺りは『アニばらサスペンス劇場』と呼んでいいと思いますが、とにかくゾクゾクさせてくれるよ~この野郎★

あ、余談ですが最近立ち読みした「男がモテる為の○箇条」みたいな本に「時には“女の入り込めない男の世界”を持つことも必要 女は常に新しい体験をさせてくれる男に好意を持つ」とありました。
26話のアンドレ・・・実際にたいしたことはしてなかったのですが、たまたま勘違いされちゃうような出来事が続いたお蔭で、ある意味ラッキーでした。・・・オスカル様に超話題の義賊“黒い騎士”と疑われたなんて美味しいにも程があります。てか、オスカル様とアンドレ・・・お二人は一致団結すると外野に対して異様に開けっ広げな面があると私は思うのですが、団結する前の~・・なんちゅうか手探り状態?とってもジリジリするのです。本来単刀直入がお好みなオスカル様なんですから、気になるなら胸ぐらつかんで「おまえが黒い騎士なのか?ええ~!?」とやってもいいようなもんですが・・・

二人はこれでもかというくらいにデリケートな関係性を保っていらっしゃるので、ここぞという時にこそ、そんなガサツな真似は出来ません。最も信頼している相手だからこそ・・・真実を知るのが怖かったのかもしれませんよね・・・人間関係のリアルな難しさです。


そんなこんなで日増しに熱くなる疑惑の炎・・・偶然もここまで来ると恐ろしいですが、アンドレを同行しない日に待ち人は現れました。しかも、黒い騎士・・・あんな目立つ格好でどうやるのか謎ですが至近距離に近付いて実際はめている指輪なども盗んでしまえるらしいのです!!それに何の為に目立とうとしているのか解りませんがスパイダーマン風天井張り付きからシャンデリアに飛び移り大笑いしながらのクラッシュ逃走劇・・・奴の辞書の不可能と地味という文字に赤線引いてやりたいですね。これではオスカル様じゃなくても「お~の~れ~!!」という気になりましょう。
なんつってる間に、ここで会ったが百年目~・・さぁ、近衛連隊長が単独で追いかけます!!(他の隊員は一体何してるんでしょうか・・・泣)

さて、ベルサイユとパリは結構離れてるはずなんですが・・・そんなの関係ねぇ!パリ市街に逃げ込まれ、撃って撃たれての攻防戦の後・・・ヤローを見失った路地で振り向いたオスカル様。唖然として思ったことを声に出して喋りまくります。こーいった事を敵に聞かれてしまうのはあまりうまくないと思うのですが・・・てか、声に出てしまうくらいに驚いた!という事なのでしょう。そして驚いてる女性を後ろから殴りつけるなど言語道断の卑劣行為です(怒)・・・ぐぬぬぬぬ~・・・許せん!!
ちゅうか、ここから始まる今度は近衛連隊長の逃走劇ですが・・・なんだか凄いのです。
まず敵の一人に加えた鮮やかな頭突きが素晴らしい・・・ぐえ!となってる間に逃げる逃げる、頭部の痛みが酷いため前方不注意なので途中ポリバケツを豪快にひっくり返したりもします。・・・大丈夫ですよ!朝になれば酔っ払いの仕業だと言っておきます!だからここはそのままにして、連隊長逃げて下さ~い!!って声援も虚しく、どうやら限界のご様子・・・どうなるのかしら、どうなるのかしら~・・・と心配していると、どうやら寄りかかった扉が開いたようです。


気を失ったオスカル様、それでも彼女の意識を苛むものがあります。それが本日のミステリー大賞!アンドレ・グランディエ~!!!
追いかける時、特に「アンドレか!?このやろ~!!」な様子は見られませんでしたが・・・潜在意識の中では相当気になっておられた事でしょう。エコーの入り方が変なのでアンドレの笑い声が「うはっうはっ!!」と聞こえ「なんだかなぁー・・・」なのですが(苦笑)・・・しかもクラッシュに失敗し墜落してるし・・・・・オスカル様の激しい混乱ぶりがそのまま映像化されているようで泣けてきますね・・・しくしくしく・・・「アンドレ・・・そうなのか?だからわざと私の命を助けたのか!?」

・・・・・オスカル様は殺されなかった事一点にこだわって、夜通し悪夢にうなされたことでしょう・・・


うわーーー・・・アンドレ!アンドレの命が危ない~・・・という恐怖からでしょうか?恐らく全身汗びっしょりでオスカル様は昏睡状態から復活されます。そしてここは何処?私は誰!?と戸惑う間も無くあの人が再登場~!
ロザリーでっす。
この人・・・随分と久し振りな印象ですが実は1回お休みしただけなんですよね。コンスタントに出て物語を支えております!お疲れ様!!
いやぁーーー・・・この娘、出て来てくれてよかったです。なんせ癒しの“春風”ですし、ロザリーの前ではオスカル様の精神的キャパシティーが拡張されますから。今現れてくれて良かったホントに・・・。


アニばらの独自解釈の影響を受けるのは何も男キャラだけではありません。このロザリーちゃん・・・この人の性格も原作とは一味も二味も違うものになりました。強いという共通点はありますが、強さを発揮する場所が異なります。迷い込んだオスカル様に再度口説かれお持ち帰りされる原作ロザリー・・・一方こちらは大恩人の前で拳を振り上げ「貴族なんか大嫌い」と言ってしまうばかりか、戻っておいでの言葉に・・・静かに首を(横に)振る女の子なのでした。と・・・その前に、オスカル様自身に大きな大きな違いがあります。

私の印象なのですが、原作オスカル様は完璧な貴族のお嬢様なのです。特殊な男姿をしてはいますが中身は純水培養、感じたことは即行動に移される素直な素直なお嬢様です。
それに比べてアニメのオスカル様はだいぶ屈折されています。ストーリーはまだ道半ばでありますが・・・既に酸いも甘いも噛み分けたアダルトなムードが漂いますし、実際オトナなのです。
ちゃんと意味があって、アニばらが彼女をそのようにデフォルメしました。だから、基本このオスカル様は何が起きても相応の対応が出来る人です。

ド貧民スープを涙しながら口に運ばれるオスカル様、・・・落雷のように派手に訪れるばかりが衝撃ではないのです。


ロザリーと別れド貧民スープの回想をしているオスカル様の馬車を黒い騎士応援団の大行列が止めます。・・・これ、・・・これがもし本当にアンドレだったら・・・もう悠長なことを言ってる場合じゃ~ありません。こんなにガッツリ殴られてるところへ「良かった。その程度の怪我で」とかほざいた罪だけで私なら監獄に送ってやりたいところですがオスカル様にとってはその辺どーでもいいみたいなんですがね。そんなことより!ハッキリ「黒い騎士なのか!?」と訊いたわけではありませんが、アンドレは察したようです。
てか・・・やっぱり気づいて撹乱してたのね?・・・なんて奴なんだ・・・溜め息。

で、アンドレの外出先・・・(いろいろな意味で)パレ・ロワイヤルではありませんでした。郊外の教会で行われる“勉強会”だったのですね。現代でもそうですが、例えば『主婦のためのカンタン経済学セミナー』とかは講師の方があえて面白く掻い摘んで話してくれるのでいいんです。ここでの勉強会もそんな感じだったんじゃないかな?この牧師さんがハイジのおじいさんみたいな声で優しく力強く・・・平民の魂を揺さぶり起こしていったのです。
しかし・・・アンドレ、勉強熱心なのはいいのだけどその格好どうにかならんか?連れが近衛連隊長のカッコしてるんだから自分だけ溶け込んでみてもしょうがないでしょうに。やけに薄着で寒そうだしさぁ・・・
ああ、すいません。衣装はどーでもいいんです。ここはどうか・・・二人の深い会話に耳を傾けて下さいね。

場面転換☆はい、アニばら屈指の名場面です!

・・・アニメのオスカル様は黒い騎士のニセモノを自らやろうとするんですよ!?

生まれつきスタンドプレー傾向の人ではありますが、相談くらいしてくれよオスカル。とアンドレはちょっとばかり寂しかったかもしれません。でもね・・・ここのアンドレはかなり男前です♪「俺ならぴったりだ」と惜しげもなく自ら断髪式をやってのけるアンドレ・・・
ひょ~~~・・・逃げ回る男もキュートですが、私の好みはやっぱりこっちです。

さてさてアンドレ、偉そうに出て来て盗人テクが伴わないんじゃダサダサですが、なんと彼の腕はプロもビックリの超ド級!!天職か?と思う程の忍び込みっぷりで、見上げるオスカル様は「やっぱりあいつが黒い騎士なんじゃ・・・?」と疑惑再燃だったかもしれません。そんなこんなで駄菓子屋のおもちゃリングの類までごっそり盗んで来てしまう黒いアンドレ♪こんな場面を誰かに見られたら現行犯逮捕で一切言い逃れが出来ないと思うのですが・・・この二人は和やかともいえる雰囲気で茶など啜っているのだからたいしたもんです。でも・・・はい。ひとたび我に返れば状況は悪化する一方であることに気づきます。
今に始まった事ではありませんがオスカル様がふとした時にみせる他人行儀な言い草・・・これは寂しいを越えてちょっぴり怒りでもあったらしく、アンドレ・・・よく堪えました。

てか・・・オスカル様はきっとわざと、素っ気無い言い方をしてるんですよ・・・。



あーーーしかし、任務でやるにはあの高さのナイフクライミングは怖過ぎます!!本当にアンドレには・・・こういった作業が天職だったのかもしれません。生き生きしてますもん・・・こんな楽しそうな彼を見るのは久し振りです(涙)
なんつって喜んでいたら・・・不穏な空気が漂って参りました。出たーーーっ、ホンモノ!!最初こそ余裕かまして笑っていたアンドレですが・・・黒い騎士は言ってみれば某国の特殊工作員みたいなもので、正規ルートではない訓練を独自に積んでる輩なのです。なのでどーゆー攻撃をしかけて来るか分からないわけで・・・アンドレの剣の腕はそれなりだったでしょうが、・・・斬られてしまいました・・・・・・・・・・!!
これ・・・とんでもなく痛い想像ですが、眼球に到達するほどの切り傷ですから、額から頬にかけて相当深く刃が入ったんだと思われます。実際こんな事されたら骨まで切れてしまいますよ~・・・ひぃーーーー!!・・・アンドレの手の動き、これよく描けてますよね~・・・どうしようもなく痛い感じがよく出ています。ブラボー!!描いたひと★

オスカル様・・・オスカル様・・・混乱して引き金を引けなかったオスカル様ですが、この時はすぐにアンドレが斬られたと分かったようです。
出掛けに感じた不吉な予感が現実になってしまった事に一瞬呆然となりますが・・・その後、絶叫が森にこだまします。

ぎゃーーーーー・・・ここでつづきとなるのは酷ですが、続きます。
ごめんよ!トランキライザーーー・・・
アンドレ~・・・どうかどうか死なないで下さいねっ!!


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