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アニばら観察日記


おリボンをほどき、断髪式の後、真のトランスフォームを見せる男。
独眼流と化した奴の名は・・・アンドレ・グランディエーーー!!!うぉ~・・・視界が狭ひっ・・・



第27話 「たとえ光を失うとも・・・」



突然ですが皆さま、(途中で消えてしまいましたが)エンディングでのアンドレの雄叫び・・・あれ好きですか?

賛否両論(独自に統計を取った結果、賛が2割弱・否が3割強・よく分からないが5割くらいだと思われます)あると思いますが・・・私にとっては~・・あの叫びこそがアニばら萌えの出発点であり、原点そのものです。

嗚呼ー・・・志垣太郎氏の・・・決して滑舌がいいとは言えないあの喋りは凄い。「・・・え・・・この人なんて言ってるの!?」と毎回スピーカーにへばり付いては必死で意思疎通を試みましたが、彼の頭の中にあるのはオスカル様のことだけ・・・・・どんなに視聴者が困惑しようと、そんな事はお構いなしに終了間際、熱い熱い想いを吐露してやまないのです。


そして絶叫、オスカーーール!!!・・・アーメン。

と言うわけで、「愛の光と影」の名物と言っても過言ではない珠玉のあの喋りですが、これに対する世間の評価がいまひとつなのを知った時には驚きました。恥ずかしいから止めてくれ・・・と、実際たずさわっているスタッフさんすら思ったと言うのだから・・・その恥ずかしさたるや確かに半端ありません。
てか、改めて冷静に、考え直してみようではありませんか。

・・・恥ずかしい・・・?恥ずかしい・・・って、一体何が恥ずかしいのだろう?
うちに秘めた想いを全国ネットであのように・・・あのように叫んでしまう大胆さが恥ずかしいのでしょうか?本来“鳴かぬ蛍が身を焦がす”のアニばらワールドでありながら「ちょっと、あんた・・・・・」と、猛烈いたたまれない複雑な気持ちになるのでしょうか?
もしかしたら・・・週刊マーガレットや宝塚歌劇という『女の園』を飛び出した時点で、アンドレという存在自体が、恥ずかしいのかもしれません。
と、軽く暴言吐いたところでハッとするのですが・・・あのナレーション。「アンドレ・グランディエです」と名乗ってのものじゃありませんけど、聴いた瞬間から「こりゃアンドレだね」と分かりますよね?・・・これ、原作を読んでからアニメを観た方には「なに当たり前のこと言ってんの?」でしょうが、私のようなアニメから入った人間にとっては、結構スゴい事だと思うんです。

私はあの雄叫びが大好きです。

言ってることを完璧には聴き取れませんでしたが・・・むっしょーーーに惹き付けられました。ちなみに、後からサントラを買って判明(笑)した全文はこうです。
「愛しても、愛と呼べない、僕の目は もう君を見ることができなくなる・・・ああ~・・オスカル、オスクァーーール!!」
若干意味不明なところがまた・・・切羽詰った感じ、よく出ていてブラボーです(何があろうと全肯定)。
で、この台詞を初心者に無理なく「アンドレだね」と思わせたのは第1話の功績だと言ってよく、長浜監督は改めて・・・あの時点において最高の仕事をしたと思うのです。

フランスとか言う日本ではない遥か異国の物語・・・威勢よく殴り合っていた金髪と黒髪の若者たち・・・名前は確かオスカルとアンドレだったはず。そうか・・・アンドレはオトコで、オンナのオスカルの事を・・・察するに気が狂う寸前くらいに好いているらしい。というか、これから紆余曲折を経てメキメキと好いていくのに違いない。しかし・・・目が見えなくなるって、どーゆーこと!?病気?怪我?呪い?なんなの・・・誰か教えて!!!と、ベルばらに関して白紙状態、何も分かってない私はブラウン管の前で早くも身悶え全開!親が嘆くくらいに七転八倒したものです。

後から考えて恋愛関連のネタバレは、これだけ有名な物語だから・・・むしろあって良かったと思います。では・・・どうやら彼は目が見えなくなるらしいという不安感はどうか?この部分に異常に共鳴した私は・・・実は生まれつき右目が見えません(アンドレとは逆ですね)。かなり幼い時点で水晶体(カメラで言えばレンズの役割を果たす箇所)を手術で取ってしまっている為、この先見えるようになる可能性はゼロです。
【見えなくなる一方】・・・この暗闇へ一直線!という部分で、私はアンドレ・グランディエというキャラクターに異常共鳴し、猛然と(勝手に)一体化しました。アンドレがどのような悲劇に巻き込まれるのか、それはいつ何処での事なのか、常に全力で気にしていたのでアニばら視聴中は心の休まる暇がありません。
改めてアニばら・・・それはそれは緊張感のある物語でした。

それが、今回27話で・・・ある意味「あ~~~スッキリした!!」と言ってよいでしょう。

・・・不謹慎極まりない発言なので、ベルナールと一緒に、激怒したオスカル様に成敗されるおそれあり・・・でも事実だからしょうがない。


というわけで、前置きだけで恐ろしい長さですが・・・第27話「たとえ光を失うとも・・・」始まり始まり~でございます~!

前回「グチャッ!」というか「ザァクッ!」と言うか、たいそう物騒で痛々しい効果音と共にアンドレの片目がえらい事になりました(涙)。アンドレ・・・この男の、ニセの黒い騎士を務める際の情熱というか、ノリっぷりがあまりにもアレだったので・・・はっきり言ってオスカル様は引いていたと思います。任務遂行にあたって「この作戦を思いついた私って随分と無鉄砲だよね・・・」な思いがあったからこそ、極力犠牲は少なく・・・彼女は誰の力も借りず一人立ち上がろうとしたんです。・・・それが、傍らの人に見つかり「アイデアはいいが・・・」と意外にも褒められ(?)、「(おまえじゃ)実行は難しい」と役を奪われ、異様なほど予想外に盛り上がられてしまった揚げ句、嫌な予感が的中!!・・・とんでもないこの大惨事なのです。

オスカル様にとっても、この展開は最低最悪・・・考えられる中で、恐らく最も大きな犠牲を払ってしまいました。
前回から引き続きですが・・・冒頭、「アンドレーーー!!」と絶叫した時には・・・彼女ときたら黒い騎士逮捕の事なんかはブッ飛んでいます。

自分が負傷したのならば、オスカル様は出血多量で息絶える瞬間まで敵を追い掛けるくらいの気概はある人ですが、連れが倒れた際にそのまま放置して行けるような残忍(?)な人ではありません。

念のため断っておきますが・・・アンドレを置いて黒い騎士を追い掛けた原作オスカル様を非難する意味ではありません。あれとこれとは違う場面なのです。追いかけなきゃいけない理由が異なりますし、負傷したアンドレの描かれ方にも結構な違いがあり・・・要は人質を取られているわけじゃなし「この瞬間何が一番大事なのか!?」という事です。アンドレを気にして敵を逃した場合、もしかしたらロザリーが殺されるかもしれないといったら・・・「すまんが自力で帰宅してくれ!」と言うでしょう。それなら仕方ないんです。

アニメに話を戻します。かといってこちらのオスカル様・・・苦しみ呻くアンドレに気をとられている隙に、黒い騎士に一瞬でも意識が向けば・・・オスカル様には反撃の余地があったかもしれない。逃げようとする黒い騎士を、それこそ背中から撃ち殺す事も出来たかもしれないんです。しかし、万にひとつ、のたうち回るアンドレにとどめを刺される可能性だってあった。
つっても、実際オスカル様はあの瞬間なにも複雑な事は考えてません。あの場面、彼女の中で“プライオリティー・ワン”はとにかくアンドレなのです。残念ながらOPの歌で途切れてしまいましたが・・・帰宅場面は壮絶だった事でしょうね・・・。顔面からドクドクと出血し呻くアンドレを馬に乗せ、「アンドレ、アンドレッ!!もうすぐだから~・・どうかしっかりしておくれ・・・」と励ましながら、恐らく心臓が潰れる程の罪悪感を抱えての帰路だったと思います。
痛いし、苦しいし、も~~~・・・こーゆーのってほんま辛い。
沸々と怒りが漲るので、私が代わりにベルナール・シャトレ氏に報復してやりたいよ。くっ・・・・・・・

というわけで、今回もどこまで長くなるのか先が知れない勝手気ままなアニばら観察日記でございますが・・・「たとえ光を失うとも・・・」。これ、続きは何が入るのでしょうか?「たとえ光を失うとも・・・おまえの為なら俺は構わない」とか「たとえ光を失うとも・・・黒い騎士を見逃してやってくれないか?」とか「たとえ光を失うとも・・・まだ片方あるので大丈夫」とか、アンドレの心境に寄り添えば寄り添う程、いろいろと想像が膨らむ絶妙でいて泣かせるサブタイトルなのでした(涙)。


本日のAパート、ジャルジェ家の皆さんが頼りにする医学のスペシャリスト、ラソンヌ。漫然と暮らす一般的貴族家庭よりもジャルジェ家は大病、大怪我が多いのではないかと思われ・・・あんた往診のし甲斐があるのう!!内科、外科、小児科、産婦人科(いや・・恐らく)、そして眼科も兼ねる彼はスーパードクターです。
んで、今回の患者さんはアンドレなわけですが・・・診察し、家の者に指示を出す姿はいつになく深刻な様子。人間の器官の中でも目というのは特にデリケートな部分であると思うんです。この場合、眼球に傷がいってるのは確かだと思うのですが、そうなると皮膚と違い再生はかなり難しそう・・・それに切り傷は感染症の類が心配です。
沈鬱としたムードに包まれる中、包帯で左目をおおったアンドレが昏睡状態から目を覚ましたように右目を開けます・・・そして、事故直後はそれどころじゃなかったんでしょうが、冷静になってみると気になるのは黒い騎士・・・あいつはどうしたんだっけ?で「残念ながら取り逃がした」というオスカル様を、彼は一瞬責める口調になりますが、「バカを言うな」と言われ「そっか・・・置いていけないくらいにザックリやられちゃった俺なのよね・・・・・ショボー・・ン」・・・等と思ったかどうか分かりませんが、黒い騎士云々よりも・・・「おまえの目でなくて、良かった・・・本当に」と呟き、涙を誘うナイスな場面。窓辺に一輪だけ飾られた薔薇がオスカル様のお部屋とは明らかに違う質素な雰囲気を醸し出しています。そして何もかもが悪い夢であったかのように静かに訪れる朝、「夜明けだ、アンドレ」の声がどうしようもなく愛しいオスカル様・・・彼女に「おまえの目でなくて、良かった・・・本当に」となるのですが、そう言われれば言われる程、尚更に心が痛むオスカル様なのでした。
(いいムードだからと言って「あぁっ・・・私のアンドレ~・・・」とすがり付く。とかは有り得ない、精神的に厳し過ぎる場面なのですね。)


場面変わりまして、敵方ですが三頭のお馬さんのお顔が大変キュート!
取り逃がした黒い騎士は良心の呵責に耐え切れず・・・なんて事は微塵もないようで、ああ憎ったらしいったらありゃしない~・・(震)ピンピンしながら笑顔で奴は武器の大量奪取に成功!お蔭で武器の調達運搬の最高責任者であるらしいジャルパパのストレスも最高潮・・・ここへ来て、手負いにしたわけでもないのに黒い騎士のタタリが続く悲惨極まりないジャルジェ家なのです。

あれから何日が経過したのでしょうか?アンドレの具合は・・・快方に向かっているとは言い難く、益々もって重たい空気が垂れ込めるジャルジェ家ですが・・・やられてばかりおられまい。何やら決意した様子のオスカル様が単身パレ・ロワイヤルへと赴きます。・・・そこで出てきたこいつ、誰なんでしょうか?出崎監督よ、オルレアン公のこの変化は・・・ホントに必要だったんですか?ジャンヌの一件以来、何があったか知りませんが・・・枯れ果てた感のあるインチキオルレアン公が登場し、何やら強引に設定の転換を図ります。私は前半ベルサイユの住人だった頃のギラギラした彼が好きだったので、この変貌ぶりはちょっと残念でした。
まぁそれはいいとして、謎のオルレアン公に対して「黒い騎士を出せ」と暗に言ってのけるオスカル様。丁重な物腰ですがこういうのって隠し事をしている人には厄介でしょうね~。変に煙に巻こうとするより、恐らくはある程度見せちゃった方がいいな・・・と思わせたんでしょう。まんまと“私のサロン”とやらに潜入、アンドレ(と父)の仇を討つべく捜査開始!となったのです。

ってところで、このサロン。見渡す限り男、オトコ、♂・・・芸術家というよりゲイの巣窟みたいになってます。何が「カビ臭いサロンから陽の光の中へ!」だ。窓ひとつ無い部屋に籠もって、おまえらの方がよっぽど暗いし不健全だよ。と私は言ってやりたい。それになんですか、「ほ~。君のラテン語は大変なものですね」とか「古典もいいけどルソーも読んでみたまえ」と妙に上から目線でものを言う男たちに囲まれ・・・ちょっと悦に入ってる場合じゃないでしょ!?オスカル様ぁ~・・・うっうっうっ・・・。と言ってる矢先に蠢く黒い陰謀。
オルレアン公の誘いでワインの貯蔵庫なんかに足を踏み入れるもんじゃありません・・・怪しさ満点じゃないですか。てか、虎穴に入らずんば虎児を得ず!?じゃ~これで良かったの?と、行き当たりばったりなようでいて何気に順調。サクサクと任務を遂行していく流石は我らがオスカル様なのでした。

とは言ってもオスカル様・・・パレ・ロワイヤルに出掛け、それっきり戻らなければ普通は心配しますよ。ばあやさんが意外に冷静なのに逆に私は驚くくらいです。というか・・・パレ・ロワイヤルは国王さえ手が出せない言わば治外法権を決め込む場所なので、騒いだところでどうしようもない。助けを求めようがないので実際問題コレは相当なピンチなのです。この状況を打破できる者は誰もいない。そう・・・あの男以外は・・・・・!!

オスカル様は良かったのか悪かったのか仇の罠にハマり、念願(?)叶って黒い騎士と再会したわけですが・・・そこでなかなか屈辱的なめに遭っておられるようで、心配は尽きません。・・・やっぱり無謀だったよね!?この作戦。
「近衛連隊長の命と引き換えに・・・」と言って、具体的にどこを脅せば一番効果的かは別として、とにかくオスカル様を人質にすればそれだけでいくらでも身代金請求が出来ると思うのですが・・・一捻り加えて来るので黒い騎士は余計にムカつきます。「パパ!!私は死にたくない・・・お願い・・・助けて!!!」なんて書けるわきゃ~ないじゃないですか。そんなもん書くくらいなら死んだ方がマシだと思うでしょう、オスカル様なら。(書いたところで父ジャルジェがどう出てくるのか多少気なるところではありますが)
そーゆーわけで、オスカル様。自分がどうなろうとその辺りを今更逡巡する人ではありませんが、自分が帰らない事によって巻き起こるかもしれない事態に思いを馳せれば、流石に焦るものがあったであろうな~と、私も胃をイタくして彼女の胸中を思いやったりするわけです。が・・・それに第一、飲まず食わずで人はどれだけ生きられるのでしょう!?

そーゆーわけで貴方、出番ですよ。
大怪我してもコスチュームをまとえば不敵な笑みを浮かべ再びノリノリモード!?
彼とて失明を恐れないではありません。ただ「俺が回復するまで、なんで大人しくしててくれないかな~・・とほほ~・・・」なんて事を愚痴ってるような男じゃ~オスカル様に相応しくない事くらいは分かってるはず!てか、軍隊から武器を奪われ今やガッツリ実害食らった事ですし、もともとは自分の任務と思うオスカル様に「アンドレの仇~・・・」という復讐心が加わって、大人しくしていられるわけがない。
夜になり・・・迷子になった場所がパレ・ロワイヤルってところにシャレにならないヤバさを感じるアンドレ、ここで包帯取って無理すれば自分の身も相当ヤバい事になるのを覚悟の上で・・・いざ!出陣です!!


やって来ました、パレ・ロワイヤル。・・・思うんですが、アニメは『ベルサイユのばら大辞典』の出版前に制作されているわけですから・・・ここに花の吉原的なエロっぽい施設はないと思われます。ここでのパレロワって半端なく黒い存在で、キナ臭くはあっても香水の匂いには縁遠い感じ。あ、・・・でも“私のサロン”では野郎同士が盛り上がってる可能性大ですがね。

すいません、脱線しました。
アンドレはここまでどうにか順調に行動できているようで・・・パレロワにもサクッと侵入、きょろきょろしつつオスカル様の匂いを辿ります(犬か)。ってところで敵の一人とバッタリンコ☆これ、彼にとちゃーラッキーでしたね。怪しまれなかったので黒い騎士がパレロワに出入り出来る人物である事が判明しましたし、出会った相手が下っ端のボケだったので「近衛連隊長が云々」と言い、居所まで的中である事がなんとなく分かりました。更に・・・鍵ゲット!!これが大きい。
で、用済みの奴は一撃加えてサッサとお休みしてて貰いましょ♪

んで、辿りついた監禁部屋。軍服をめくってみるまでもなく・・・どう見てもオスカル様ではないんですけど・・・まぁ目を悪くしているアンドレなので仕方がないです。それより何ですか!?オスカル様ときたら黒い騎士もタジタジの見事なスパイダーマンっぷり!!ど~やって登ったの?なんて野暮な突っ込みは無しにして、華麗な天空ペケ字拳をお見舞いするべく飛び降ります。・・・これ、実際の黒い騎士ならやられていたかもしれません。アンドレはテレパシーで辛うじて難を逃れましたが、「ま、待て!オスカル!!俺だっ、俺だよ!!」って・・・危機一髪はいつもあんただよね・・・アンドレ・・・涙。オスカル様にしてみても首をへし折ってからアンドレと気付いた日には・・・第27話にして再起不能の大痛手を被るところでした。あぅ・・・くれぐれも気をつけて下さいよ~・・・心臓バクバク。
ってところで、気を取り直して脱走を謀るとしましょう♪
異常に気付き二人を追う黒い騎士。途中でドッペルゲンガー現象に遭遇し凍りつきます。この時銃を持っているのは黒い騎士なので・・・優勢なのは奴だと思うんですが、油汗すらかいている。ってか、アンドレ怖ひ・・・。あれだけ傷めつけてやったのに・・・何故こいつが此処に居るんだ!?という驚きに対してアンドレのこの不気味な佇まい。

や~い、や~い、見たか!?たまに見せるアニメアンドレの必殺凄み技!!極東の極道さんも裸足で逃げ出す謎のド迫力カット。圧倒されている間に形勢逆転されてやがんの~♪

さぁ、本日のクライマックス★ここから先は特に真剣に観て下さいよ!
黒い騎士の部下は軒並みアホらしく、まんまとパレロワを脱出する二人ですが・・・ここからの演出はかなり痺れます。

オスカル様の指示に従わないばかりか笑みさえ浮かべ「人を背中から撃つような卑怯な真似があんたに出来るか?」と言い放つ黒い騎士。オスカル様の人間性をこの短期間によう見極めたもんだと感心しますが、それを逆手に取った実に卑劣なやり方です。しかし、黒い騎士はオスカル様の心境を読み切れてはいなかった。
「それは、相手によるぞ!」に続く「アンドレの目をやったのはおまえだっ!!」・・・任務として黒い騎士を捕獲しようとしたのなら、オスカル様は背中から撃つことを躊躇したのかもしれません。しかしアンドレの仇を討つのに一体何の迷いがありましょう?


銃弾をくらい「なにーーー!?」という顔で振り向いた黒い騎士。気絶だか失神だかする瞬間、奴はオスカル様の形相をどんな気持ちで見たことでしょうね。




一夜明け、黒い騎士の正体が判明しました。
ベルナール・シャトレ。1760年生まれ、ヴィユー・コルドリエの新聞記者。
更に・・・その後に続くオスカル様の台詞で想像しましたが、怒りのあまりオスカル様は黒い騎士を殺してしまおうと思ったのではないか?肩口を狙って的を外したのではなく、むしろ話は逆で・・・引き金を引く瞬間、理性でギリギリ急所を外してやったのではないか?ベルナール・シャトレがまだ息をしているのは真面目な話、奇跡的なことかもしれません。だから、オスカル様には奴が絶対に脱走不可能である事が分かるのです。ま・・・逃げても構わないんですけどね。道すがら死ぬだけですから。

アニメのオスカル様は普段決して感情的な人ではありません。稀にこの人も爆発的に感情を表現する時がありますが、そーゆー時にはたいていアンドレが絡んでいる・・・ように思います。


一度は冷静さを取り戻したオスカル様ですが、アンドレの左目が永久に失明・・・という現実に直面し、次のシーンではちょっと信じられないようなキレ方をしますね・・・。

「目には目を、歯には歯を!!」のハンムラビ法典スピリット大炸裂で寝ているベルナールに斬りかかろうとするのだから、アニばら全40話中オスカル様が最も怒ったのがこの場面ではないでしょうか?

でも・・・やはりオスカル様にはベルナールを殺す事などは出来ません。月並みな言い方ですが・・・報復したところでアンドレの左目は元に戻らない。それに黒い騎士ばかりが悪いのかと言えば・・・決してそーゆーわけではないのです。そして圧巻はここから始まる二人の会話の内容です。

ズドーーーンと落ち込むオスカル様に、自分にはまだ右目がある。陽の光も木々の緑も見えるのだから、実際にはまだ何も失っちゃいないよ。と静かに語りかけるアンドレ・・・これだけでも十分過ぎる程にカッコいいのですが、衝撃的なのはその後です。「いま飢えているのは貴族じゃない。民衆だ。我々は何も出来ないが、彼なら民衆のために何かをする。(だから、奴を逃がしてやってくれ)」と。
恐らく、アンドレは黒い騎士の正体がロベスピエールと関係のあるベルナール・シャトレという人間だった事に心を動かされたのでしょう。もしかしたらアラスでの出来事が頭をよぎったのかもしれませんし、勉強会とは別に彼らの演説(この時点ではそれ程本格的じゃないかもしれませんが)だって聞いて共感した事があるかもしれない。ただでさえ黒い騎士と言う存在を否定しきれていなかったのだから、正体を知って尚更、、彼の背後にあるものを想像して益々・・・アンドレの心は「逃がせ」となったのです。


オスカル様にしてみても、哀しいかなこの時の彼の言葉は驚きはしても困惑する類のものではなかった、と思うのです。ただ片目を失うという悲劇に見舞われていながら、敵を恨むどころか処遇を心配し、微かではあるけれど信頼すら寄せるその姿に、今まででは考えられなかった“アンドレだけの世界観”を見ずにはいられないのです。これってオスカル様にとっては相当なショックですよね。もはや落雷のような!ではないけれど・・・一連の出来事はボディブローのように彼女の価値観を揺さぶり、彼女の世界そのものをも変えていく、大きな大きなきっかけになったと思います。


「偽の黒い騎士をやったり、片目を潰したりで、俺は頭がどうかしちまったらしい・・・」で自虐的に笑った後「すまない・・・貴族に雇われているという事を、ときどき忘れてしまう」って・・・コレなんちゅ~・・ドライな言い方なんでしょうか(大泣き)・・・オスカル様がこーゆー事を言うならサラッと流す事もできますが、アンドレの発言だと思うと~・・ああ重い。哀愁と疲労感がたっぷり漂う貴方のその広い背中に向かって「グランディエーーー!!カムバッ~~~ク!!!」と叫んで、しとど泣き崩れてしまいたい気分です。

こうなったら・・・オスカル様に出来る事はひとつだけ。決してアンドレに言われたからというわけではありませんが、彼の発言が相当の影響力を持っていた事は事実です。
オルレアン公の謀略は今に始まった事ではなく、パレロワとの関連性もたいしたことない事を一応確認。盗んだ銃についても商談が成立したのでしょう。オスカル様はオスカル様なりに精一杯納得して、ベルナール・シャトレを再びシャバに放ちます。(ついでに言うと、オスカル様はベルナールは半殺し状態なので危険はないと判断しロザリーに後を任せることにしますが・・・それにあたって相当な額のお金を援助された事と思いますよ。ロザリーのプライドの為にただ金を送るわけにはいきませんが・・・この計画だと何気に一石二鳥なのです!賢いね、オスカル様って)


さ~・・感動のラストです。いろいろな思いが交差する冬の夕暮れ、鮮やかなオレンジ色の光を背景に最後は素直に「ありがとう」と言うベルナール。それに対してのオスカル様の台詞が秀逸です。

「礼を言うなら私ではなく、アンドレに言え」 「・・・アンドレ・・・(俺が負傷させた男か?)」と注意を引き付けてから、「ひょっとしたらあいつ、おまえ以上に黒い騎士らしい男だったかもしれない・・・」

この台詞はベルナールに向けたものではありますが、同時にオスカル様自身が声に出して確認した事だと思います。

正真正銘の黒い騎士にとってはこんな事言われ、ちょっと屈辱的だったでしょうね。
当然死刑になるはずの自分が逃がして貰えるという信じられないこの状況の背景にあるものを、ベルナールは頭の悪い男ではないので道中ずっと考えていたはずです。
そう、彼の中でも・・・この出来事は革命だったに違いないのです。


一足はやく、人々の心に革命を起こした男、アンドレ・グランディエ。

・・・顔がどんどん長くなる事だけが心配です。てか馬面上等じゃねえか!
アンドレ~・・・あんた、ほんとにカッコよかったよ・・・。

ところで、ベルナールが直接彼に礼を述べる機会は巡って来るんでしょうか・・・?
後半戦にきて妄想どころ満載のアニばら世界。話は尽きませんが~・・第28話へ続く。



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