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アニばら観察日記


折り返し地点の20話・・・掟破りの出来映えに見直す度に
私は何度でも腰が抜けます。・・・めっちゃガクガクやでーーーっ!!



第20話 「フェルゼン名残りの輪舞」



キーボード叩く指が緊張のため若干引きつっております。とうとうここまで来ました・・・。

20話はアニばらの心臓部です。超見どころ満載で、涙なくしては観れません。

誰も死なないんですよ・・・誰も死なないんですが、死を喚起させる空気がそこら中に漂っています。。王妃とスウェーデン貴族の道ならぬ恋、ベルサイユ中で囁かれる中傷の数々。不倫スキャンダルはいつの間にか全国民に知れ渡り、王室は神聖なものではなくなりました。そして・・・噂の渦中にいるひとが選んだ道は、戦争です。
惚れたはれただけではなく、ベルばらを観れば歴史を学べます。
この時語られる【独立戦争】がフランス革命に及ぼした影響は計り知れません。お話の中ではそこまで深く掘り下げて関連をどーこー言うのは難しかったでしょうが・・・激動の18世紀、史実を絡めた物語の流れが、タダ事ではない濁流となって一気に加速していく予兆がビンビンに感じられます。そして・・・こちらが勿論このアニメの本題、オスカル、アンドレ、アントワネット、フェルゼン(敬称略)の心のヒダがよ~・・・悶絶しそうな程に素敵に描かれます・・・。


こりゃーまさに『全人類必見、必携』の巻っ!!

嗚呼、とにかくアニばら20話・・・・・世の中にこれを観ずに生きている人が何人いるか知りませんが、何が面白くて生きてるんでしょうか?


まったくもってこの回、ちょっとヤバいくらいによく出来た内容なので、今私は本当に緊張、そして興奮しています。そこで読者の皆様「サクランボのやつ、なんか妙なことを言っているな」と思われた場合には、遠慮なく突っ込んで下さい・・・。私ひとりでは力不足だと思われる箇所がこの先どんどん増えていきます。アニばらを愛する皆様・・・20話、そしてそれに続く怒涛の出崎編を、とことん模索致しましょう。

と言うわけで気を引き締めて、20話世界へいざ!漕ぎ出したいと思います。
まずは~はい、予告編から注目していきましょう。私、アニばらの予告編がなんとも言えず好きなんです・・・なかなかどーして、いいこと言うんですよ。こてこてだねぇと恥ずかしくなる時もたまにはありますが、渋い・・・絶妙に渋い名文句を聞ける回もあるのです。ちなみに私のイチオシは37話分の予告編なのですが~、それはその時が来たらじっくり語らせて下さいませ。で、今回の予告ですが・・・これも「お。」と一瞬唸らせるものがありました。これはもう確信的な【ドロドロ愛憎劇】なのです。しかも主役は4人・・・マリー・アントワネット、フェルゼン、オスカル様、そしてアンドレです。
アンドレ・・・ここへ来て彼は完璧に『主演』の顔をしています。原作ではこの頃ってまだ「へのへのもへじに毛が生えた程度」の適当系キャラのはずですが・・・流石完全にストーリーが分かってからの配役、アンドレってばよ~美味しいとこ持ってイキますよね。堂々たるメインディッシュぶりに目を見張ります!!

そんなこんなで対象年齢や放送時刻を殆ど無視し掟破りの大人モードで突っ走ろうとする崖っぷち(一応)少女アニメ=ベルサイユのばら。
特に効果音や背景の妙では同時代の作品で群を抜いていると思います。
例えば20話導入部、濃ゆく立ちこめる朝もやの中、その音は鳴ります・・・何かを弾いたような、音楽ではなく音なのです。和音ではなく一音づつ、張り詰めたような音色はたまらなく緊張感を煽ります。この効果音、これまでもこれからも要所要所で使われますが、どれもこれも注目度MAXの場面です。動物の神経の中には不安スイッチというのがあると思うんですね、とりあえずそれを押しまくる音なのです。しかし、それは雨音にも似た安らぎを予感させる音でもあり・・・不思議です。この効果音が鳴る時、それは緊張と安らぎが隣り合わせで状況的にも気持ち的にも非常に切迫した状態であること。そーいった雰囲気を雄弁に物語る最小限の音なのです。あーーードキドキするぅ!!

と言ったところで、不倫中のこのカップル・・・美しいです。

恋をしながら罪を犯している人々の、禁断のこの美しさよ!絶妙に芝居がかった嘆きの台詞やちょっとした動作のひとつひとつが・・・も~・・・嫌味なくらいにキマッてます。
流石は世紀の美男美女ですね。ぎこちないながら精一杯の笑顔を見せ、北欧の貴公子の熱い抱擁から走り去るアントワネット様・・・ドレスの翻り方が実に綺麗です。それに負けじとばかりに拳を握り、「くっ・・・」と唇を噛み締め、劇的に止め絵化するフェルゼン伯爵。あんた~・・カッコええなぁ!!止め絵はあんたの為にある!このキング・オブ・スケコマシが!!と、彼を見れば誰だって大声で囃し立てたくもなりましょう。それ程にハンス・アクセル・フォン・フェルゼンはカッコいいのです。そしてもうひとつ、彼の魅力は、弱さです。
「どうしてこんなところに!?」という意外性と独自の超ご都合主義ぶりで今までも遺憾なく活躍し物語を支えて下さった彼ですが、それもこれも起点は・・・とにかくこの人って人懐っこい。
フェル伯って、寄って来るんですよ。誰かが寄って来てくれるのを待つのではなく、寄って行くんです、自分から積極的に。

楽しい時、嬉しい時、寂しい時、苦しい時・・・彼は感情を常に誰かと共有して生きていきたいタイプのようです。そしてフェル伯にとってはオスカル様が誰よりも『共有してくれるひと』でした。

自覚しているしていないに関わらず、彼はオスカル様が大好き。ひょっとするとアントワネット様は感情(喜怒哀楽)のサーフィンを楽しむ為のビックウェーブなのであって、生きる為に必要不可欠で根本的に大事に思う人物というのは・・・他にいるのかもしれません。
余所の国へ来て無謀な波乗りを愉しむ渚のシンドバッド、フェルゼン。支えてくれるサーフボードは・・・そうオスカル様です。
彼、分かってるんでしょうか?20話のオスカル様は貴方の全体重を受け止め、涙の海で今にも溺れてしまいそうになっているというのに・・・。


早朝、ベルサイユを背に不倫の気だるさは最高潮!アンドレが言うように何をしていいか分からず、むやみに馬を駆り立てそこら中走りまくったかもしれません。で、全然すっきりしないながらも一旦は帰宅し熱いシャワー(!?)を浴び、ヤクルト400(!?!?)なんかを一気に飲み干したら・・・今度はいてもたってもいられなくなり、来ちゃうんですよね。彼が逢いたいと思うのはいつだってオスカル様です。また彼女は逢ってもいい人ですからね・・・逢っていて【背徳の香り漂う~・・】みたいな緊張感が無い分ドラマ性は薄いので、あるいは己の気持ちに気付きにくかったのかもしれません。
はい、ここまで読んで戴いて、私は妙なことを言っておりますね。私の中では「実のところフェルゼンが一番愛しているのはオスカル様」という考えが絶対なのです。ところがこんな事を言っていてはベルばらというストーリーを何も分かってないことになってしまうのも事実です。ご安心下さい。これはアニメ世界だけの・・・てかサクランボの頭の中だけの妄想です。しかも「一番愛しているのはオスカル様」というのにはやはり問題がありまして、なんというか・・・語弊がありますが~・・・
マザコンが近いです。

フェルゼンにとって、オスカル様はフランスに居るもう一人のママみたいなもんなんです。この息子はとっても育ちが良いので成人後も全く捻ることなく、ママに何でもかんでも報告しますし、とにかく素直。こんな事を報告したらママはどんなにか困惑するだろう!みたいなことはまず考えずに、どんどん苦しみを持ち帰っては頼りきり、頼ります。ああーバカ息子。・・・しかし、これは喩えなのであってオスカル様はママではありません。フェルゼンだって世話のやける放蕩息子ではないのです。ふたりは赤の他人ですので垣根がある。フェルゼンは「今朝もビーナスの茂みで不倫して来てよ~・・・こんなことしてていいわけないけど、俺・・・もうどうしていいのか分かんねぇよ。正直きついよ・・・苦しいよ・・・でも俺、マジ彼女に惚れちまったんだよねネ」とか言ってるわけではない。言ったらアホです。いかにフェルゼンといえども・・・そこまでではありません。ただ全身からバレバレなだけで。ちゅうか半分はアンドレに分析されたのです。共通する『恋するオトコの苦渋バロメーター』というのがビリビリ震えて、言わずにはいられなかったんでしょうね・・・安酒場には付き合ってくれないくせに、アンドレ・・・フェルゼンにはあんまり優しくありません!恋敵ですから当然ですね~、ヒヒヒー♪ああオモロ。

話が逸れましたが、フェル伯にとってのオスカル様とは何であったか?です。
《大切な友達》であることは間違いないのですが、それは性別を越えて・・・というものではないですね。彼は最初こそオスカル様を男だと思っていたようですが、女であることを知ってからは120%女性視していますよ。むしろオスカル様が女性と分かってからの方が・・・物凄く懐きっぷりがいいです。これは女好きとかいう下世話な感情から来るものでは勿論なく、もっともっと原始的な・・・女性ならではの包容力に魅せられているのです。実際オスカル様はフェル伯に母性本能を刺激されまくっておりますからね。
フェルゼンからガンガン女性視されることによって、彼女のオンナ力は半端ない程に鍛え上げられ、洗練されていったのです。
相互作用におけるこの二人の関係性は凄いですね。ごく・・・。

と言うところで、聖母オスカル様の服装についてです。貴女パーポーのブラウスを着ていらっしゃる・・・。何故!?この回だけのスペシャルです。しかしこれは勝負服というより、どちらかと言うと欲求不満が服装に出たのかもしれません。この人も結構分かりやすいとこありますよねー・・・、泣けてきます。んで、貴重なこのパーポーオスカル様。かなり本格的にフェル伯のことを愛し始めているようで・・・故に対応が微妙にギクシャクしておられます。18話ではあれほどまでに声を荒げ「愛してもいないのに結婚するのかフェルゼン!」などと積極的に詰め寄ったりもしていたオスカル様ですが・・・今回は無口です。前回どうしても納得がいかなかった点については・・・不倫がいいわけはありませんが彼はとにかく「愛しいと思う心に忠実な男」となりましたので、もうとやかく言えるものではない。それにオスカル様は「不倫はやめとけ」なんちゅう正論を頭ごなしに言えるような人ではないのです。とにかく気遣いのひとですからね・・・分かりきった台詞で相手を執拗に追い詰めるような事は彼女はしない。何を求めて彼は自分のもとへやって来るのか?そのあたりだって既に分かっているでしょうから、ホントに辛い立場だと思います。

で、やって来た彼を丁重に扱ってはみますが、お互い核心に触れる事を避けたやり取りをしているので空気は重く、特にフェル伯はまともに目を合わす事さえ出来ないのですから・・・アンドレでなくても「甘えんなよ、こら」となりましょう。しかしアンドレ・・・一体何個りんご食う気なんでしょうか?むしょうに手持ち無沙汰でりんごを弄んではみますが、すぐに食ってしまう為、何個も必要になるのです。こーゆー時に「りんごは美味いなぁ」なんて思ってるわけもなく、言いたいけど言えない思いを、自分の中で精一杯孤独に噛み締めているのでしょう・・・。ああ苦々しい、このりんご・・・。「おまえも食うか、ほれ」と苦いりんごをオスカル様に向かって放り投げ、パリの安酒場になんか行ってみろ。と達観してる風のアンドレ。これだけ見透かされているとオスカル様は益々何も言えません。まだ明るかった陽射しが夕暮れのそれになり、夕焼け空の下をあてもなく疾走するフェル伯の姿を脳裏に浮かべるオスカル様。

どれくらい長い時間、オスカル様とアンドレはそれぞれのやりきれない想いを抱きしめて窓辺にいたのでしょうか。彼が最後に漏らした台詞に、たまらなく振り返ったオスカル様・・・そう彼女はアンドレの気持ちに既に気付いているのです。そして自分がフェルゼンを想っていることをアンドレに知られている事にも気付いている。こーゆーのって明らかに37話の伏線ですね・・・。


お互い、どうにもならない事を最後まで言葉に出すことはしませんが・・・気付いていて全部飲み込まねばならない辛さ、これは想像を絶すると思われます。振り向いて、オスカル様は何故「剣を取れ」と言ったんでしょうか?更に「たまには手加減抜きだ」「いいとも・・・俺も今日はそのつもりさ」とは一体・・・。両者ともに「今まで自分はおまえに対して手加減をしてやってたんだ」と言うことなんでしょうか?
・・・手加減、してやって下さい。まだ道半ばの20話ですから・・・そんなに熱くなられては身が持ちません。

・・・っかーーー!!「忘れちまえ!フェルゼンのことなんか!!・・・いや、忘れて欲しい・・・お願いだ・・・」ってよ~・・・ほぼ一貫して態度のでかい20話のアンドレですが、こーゆー従僕がいたら骨まで萌えちまうなぁーーー♪

長くなっておりますが魂の20話という事で大目にみて下さい。
はい!やっと出ました出崎の超オリジナルキャラ。ある意味アニばら随一のムードメーカーです。
吟遊詩人のおっさん。この人、本気で重いです・・・片足だし。でも、なんかいいんですよね~・・。まさかアコーディオンの流しで生計立ててるわけじゃあないと思うのですが・・・この人の歌でテンション下げたい人はパリの街に結構いるとみえて、定期的に現れては画面を暗く汚して去ってゆくという・・・初登場20話では珍しくファンの人に囲まれながら弾き語っておられます。このおっさんのサイン欲しいなぁ・・・。ってか、手相とか見て貰いたい感じです。めちゃくちゃ当たりそうだからねぇ。
なんか・・・この人の歌をバックに映し出される下層階級の人々の暮らしぶり、松本零士の作品に出てくる人たちみたい。機械の体を買えずに老いぼれていく我が身を嘆く生身の貧乏人&機械の体を手に入れたはいいけど、結局永遠に死ねない命はむなしいばかりで空虚に放電するしかない下級機械化人。私、もともとが非常にマイナー思考の持ち主らしく、こーゆー雰囲気がたまらなく好きなんです♪


ああさて、ところは麗しのベルサイユ。ようこそ昼食会へ。
・・・昼食会ってなんだろう?優雅に生演奏(この時代は生しかなかろう)を聴きながら、適当に何かをつまんで、どうでもよい噂話に花を咲かせ暇を潰そうという、有閑貴族のランチイベントのようですが・・・こんな場所にまでのこのこ現れてしまうんですね~フェルゼン伯爵。
言葉を交わさなくても逢引の誓いは固いようです。そんで、その日の夕暮れ間近・・・電話もメールもない時代のドタキャンは一体どうすればいいのか?はい、アントワネット様はオスカル様に恥を忍んで泣きつきました。アントワネット様の「あなただけが頼りなのです」、この間まではポリニャックに言っていた台詞ですよ。何故今回はオスカル様なのでしょうか・・・ポリはシャルロット嬢の件で打ちひしがれている為頼めないちゅうわけではなく、フェルゼンとのことは「何を今更」ですが本当に秘密にしおておきたい事なのでしょうね・・・。憂さ晴らしの賭博や無駄話は取り巻きの誰とでもできますが、本当に大切な部分は触れられたくないはずです。だから、ベルサイユで唯一信頼しているひとにアントワネット様は頭を下げました。

オスカル様、損な役回りです。別に味方ってわけではないのだけど・・・断れるわけがありません。
そもそもこの不倫カップル・・・オスカル様というクッション材があるから成り立っているのです。
しかし当のオスカル様は・・・決してそのようには思ってないわけで。不倫だろうが何だろうが愛し愛される二人の間にはなんぴとたりとも立ち入ってはならない。頑ななまでにそう思っていらっしゃるんですね。とにかくどんな理由があろうと、そこに口を突っ込む事は許されない、言語道断だ!と思ってるのです。この人とことん真面目だからよ~。うっうっうっ・・・


で、川べりでひとしきり悩んで語って涙して、一応の心の整理がついたところでやって来ましたフェルゼン邸。こんな土砂降りではオスカル様の伝言がなくとも逢引は無理だろ~・・と思うのですが、恋に盲目になっているフェル伯はアホみたいに朝まで待ってしまうかもしれません。てか彼、オスカル様に【ただアントワネット様の密使としてやって来た】以上の事を感じて猛烈胸に引っ掛かっているではないですか!?後に振り返る時、彼はアントワネット様とオスカル様を同じ比重で思い出し、語りかけている風ですし、なんなんでしょうか?・・・モテる男は辛いよねぇ・・・。

そして皆様、いよいよ20話のハイライトです!!
雨の中、雨の中・・・蛇の目ならず雨ガッパを持って、お迎えアンドレ登場ーーー!!
ここで彼が来たらなぁ・・・って、皆さん思いました?・・・実際は思う暇なかったでしょ!?私は初めて観た時ビックリしましたよ・・・まさかと思いましたから。そして心底グッときました。アンドレって凄い。

オスカル様にはちゃんと思い悩む時間を与えてあげないことには駄目なんです。でも、心が完全に折れてしまう前に彼は来るんです。

本当に絶妙なとこで迎えに来ますよね・・・。あああ~・・・オスカル様も視聴者も、彼にすがりついてドバッと泣いてしまいたい気分です。

アンドレよ・・・20話の真の主役は間違いなく貴方だ。


というわけで「何もかもお見通しだな・・・」ですよね。オスカル嬢は困ったような救われたような、なんとも言えない笑顔で応えます。

この時優しく見つめ返したアンドレの瞳を、オスカル様は何年か後の動乱の中で強烈に・・・強烈に思い出したことと思います。



あと20話って、馬を使った演出が素晴らしいんですよー・・・。フェルゼンもオスカル様もアンドレも、悩む際には馬に乗り、懸命に何かを振り切ろうと大地を駆け抜けます。彼らの並々ならぬ想いはきっと馬たちに伝わっていますよね・・・こーゆー疾走感のある演出が大好きです。


で、場面は『来週』の夜になり・・・アンドレの見せ場パート2です。
・・・馬車の用意なんて聞くと、ちょー下働き!と思わなくもないですが、アニメの彼はそーいった事もお仕事のひとつです。特に最近は雨が多くて(!)車輪の点検は手が抜けません。お疲れ~アンドレ。ちゅうところで「馬車の用意なんかしてくれるな」とオスカル様。「仮病を使って、私は今宵、舞踏会をサボります」と報告にやって来たようです。
どうしてわざわざそんな事言いに来たのかと言うと・・・アンドレに背中を押して貰わなければ、動けないからです。

本気で行かない気なら何も言わずにただ行かなければいい。だからオスカル様はもともと行く気で・・・でも自分は凄く行きたくない!フェルゼンがアントワネット様とあーだこーだなんちゅう現場なんて見たくない!どいつもこいつも我儘ばっかり・・・私の気持ちはどうなる!?もうどうしていいか分からない!!と、誰かに大声で嘆きたかったんです。こういう事ってありますよね・・・凄くリアルな感情ですよ。そして・・・なんだかんだ言ってオスカル様とアンドレはいい関係なんだろうなぁーと思います。ちゃんと気持ちを汲み取ってあげてますからね、うまいこと操縦してます。「あははは~そいつはいいや!やってみようか」って、これまた絶妙に適当な返答がオスカル様を元気にしてます。「ふふふふ・・・・・こりゃー重装備で行かねばなるまい・・・畜生見てろよ~・・・あとどんくらいかかるの!?馬車の用意。今すぐ着替えてくるから早く表へまわせ」と、オスカル様はすんなり動けるようになるのです。

アンドレの力は計り知れません・・・彼はオスカル様専用人間トランキライザーですからね!

重装備=初めての礼装というバリバリイレギュラーな格好で現れたオスカル様、「恐れながら、風は西からも東からも吹きそよぐものでございます」ってアニメのオリジナルですが・・・プロの脚本家さんは流石うまいこと言いますね・・・非常にアニメのオスカル様っぽい台詞なので間違いなく名言だと思います。

んで、そろそろ〆に参りたいと思いますが、20話のラスト。
これはもう・・・筆舌に尽くし難い程に泣かせる展開となっております・・・。このアイデア、アニメの神様が降臨されたのでしょう。有り得ない程によく出来てます。朝もやで始まって朝もやで終わるアニばら20話。奇跡のように繊細な水っけが画面から本気で滲み出しています。

オスカル様の背中をさすって撫でて、優しく押してやるのがアンドレならば、フェルゼンにそうしてやるのはオスカル様なのです。

彼はハッキリと決断しました。遠く数千マイルの海の彼方、命の保証のない世界へ私は逃げるぞ!という・・・女たちの心を半永久的に人質に取り、まったくとんでもねえ~スタンドプレーに出た恐怖の色男ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン!!!
ド、ド、ド、ドラマチック過ぎる~~~(号泣)・・・フェルゼン、あんたってヤバいよね。。。。。



早朝の川べりシーンからラストまで途切れずバックに流れる『優しさの贈り物』という音楽・・・見事でした。
アントワネット様もオスカル様も、フェルゼンが出発してしまう哀しみは号泣してどうなる類のものではありません。彼のつけた【けじめ】は残された人々の心に大きな大きな穴を開け、これから7年間、彼は常にその穴の中を吹き渡る特別な風であり続けるのですから、たいしたもんです。

ブラボーアニばら!天晴れアニばらっ!!もう、どうにでもして・・・という心境だよ・・・。




「アメリカか・・・思い切ったな、フェルゼンも。・・・送りに行かなくていいのか・・・遠征軍の出発は今日だぞ」
・・・・・あまりの展開に今度ばかりはオスカル様の背中をうまいこと押してやることが叶わなかったアンドレ。強烈に後ろ髪を引かれながら、席を立つのが精一杯でした。



みんなみんな・・・可哀相ですね・・・。こんなに複雑な人間関係ってあるでしょうか?
死ぬな、フェルゼン!!!何が何でも生きて帰って来て下さいよーーー・・・てか、長っ!!読んでくれた皆様、ホントに感謝致します。実はジャルジェ家は意外と南国趣味ちゅう脱線した話題もあったのですが・・・また今度にします。いえ・・・窓際にソテツがあるんだもん。ありゃ熱帯・亜熱帯に生育する植物です。
熱いのーーー!そりゃあの熱さですからね。ソテツでも椰子の木でもバリバリ育ちましょう。アニばらの熱さ万歳・・・。
つづく。

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