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アニばら観察日記


忘れないよ・・・!!
デュバリー夫人、最後にして最高の演歌の花道を!!!



第9話 「陽は沈み、陽は昇る」




はい、第9話。私の大好きな浪花節デュバリーの退場劇です。

今回は彼女の最後にして最高の演歌の花道。この場面に関してだけは「原作を超えた」と言い切っていいでしょう・・・ホントによく出来たエピソードです。うっうっうっ・・・

のっけから凄いモノがでますよ~。160万リーブルの首飾り。ジャンヌが大暴れする悪名高き『首飾り事件』はまだまだ先ですが・・・後に宝石商べメールの回想の中で「ルイ15世とその愛妾」の肖像画風の絵が出て来ますから、ここは結構美味しい伏線です。ちなみに「衛兵隊の隊長」という単語もちょっとピクッとなるところ。子爵クラスがつとめる位のようです。

それにしても、ルイ15世の治世にはまだ国庫にはかなりの余裕があったとみえます。160万リーブルの無駄遣いをデュバリーに許す寸前だった・・・それだけでもベルサイユは大いに糾弾され、ルイ15世は断罪されるべき・・・・・というわけで、天然痘に感染しちまいました。原作の凄まじいホラー描写はないものの・・・国王陛下、かなり苦しそう・・・。アーメン!

ところで、この回は単に敵役の退場を描くものではありません。
私が見どころだと思うのは・・・なんと言ってもオスカル様。

元娼婦との心の交流を通して描かれる彼女の人間性の素晴らしさなのです。

オスカル様の言葉を越えた気遣い、優しさ、思いやり・・・。
第9話はそれらを衰退してゆく権力者との絡みの中で見事に表現していきます。



・・・ところで、前回の「我が心のオスカル」の一件で、アンドレとジェローデルの間には何かあったのでしょうか?彼らは目に見えてギクシャクしています。もともと『仲良し』なはずはないでしょうが・・・この険悪ムードは一体・・・。
そう、ジェロはたぶん嫉妬しています。

一生懸命平静を装ってはいるものの内心「隊長に命がけで守られやがって・・・黙って見ておれば益々態度もデカくなる一方だし・・・この平民めが!!」という思いがあるのかもしれません。
考えてみて下さい。アニメではジェローデルだってアンドレの命の恩人なのです。


アンドレが逮捕された事、まず第一にジェロがそれを報告に来なければ・・・アンドレは人知れず連行され(さすがのフェル伯も単独では動いてくれないでしょうからねえ・・)すぐさま首ちょんぱっ!!だった可能性は高い。
「今現在わたくしが生きていられますのはオスカル隊長の命がけのご厚意と、それ以前に副官ジェローデル様の速やかなホウレンソウ(報告・連絡・相談)のお陰です。ああ~ありがとう・・・ありがとう!」と、感謝するべきなのです、アンドレは。

更にジェロはオスカル様に危険が及ぶ事に対して相当過敏になっているようです。

本職の従僕を押し退け「お供します!」な彼。なんていじらしい・・・
せっかくなので連れてってやればいいのにね・・・と、ちょっと可哀相な場面です。でもまぁ、そうは言っても、イラついている時のオスカル様の取り扱い・・・大変なんでしょうね。お察し致します。

嗚呼さて!そーゆーわけで、デュバリー夫人の捨て身のお願いをオスカル様は取り付く島なく断ります。若干気の毒な感じもしますが・・・この女には殺されかけた事もあるのです。当然の結果でしょう。そして圧巻は・・・あっという間に本性剥き出し、暴力に訴えようとするデュバリーに構わず突き進んでいくオスカル様です。こーゆー人なのですね、非常にらしくて素敵です。ただ、美しいお顔に一筋の傷・・・だから言わんこっちゃない!とジェロ&アンドレがこの後大騒ぎした事は容易に想像できるのです。

話を戻しまして天然痘。これは世にも恐ろしい伝染病なので、皆とにかく逃げます。「国王陛下から一歩でも遠くへ!」それがフツーの感覚なのです。そんな中、最後まで陛下にひざまずき、結果として彼を励まし続けたデュバリー夫人と言う女性・・・彼女は本当に権力への執着心のみでそれをしたんでしょうか?たぶん執着心のみでしょう。でもその中にほんの少し、情という理屈を越えた感情があったのではないだろうか・・・と思うわけです。そしてオスカル様は恐らく、彼女のそーゆー部分を感じ取られたに違いないのです。

99,9%の醜い執念と残ったほんのわずかの愛情の形。
それは幼い子供が親に泣いて縋る姿となんら変わらない・・・哀れな哀れな場面なのでした。
こうしてアニばら世界は、どうしようもない女に最後ひとかけらの《救い》を見出し、ラストの素晴らしいお見送り場面へと続けていきます。



誰もが手のひらを返し、暴力と屈辱だけを与えてデュバリー夫人を追放しようとした時・・・
オスカル様だけが彼女を救います。

直前に部下(ジェローデル)の超ドライ発言を聞き、すこぶる感傷的になっていたオスカル様。そーゆー背景も関係しているのかもしれませんが凄い、本当に凄い・・・。当時完全にお子様向けだったはずのアニメで、ここまで繊細かつインパクトのある演出が出来た事に、私は拍手喝采したいのです!

アニメのオスカル様は元娼婦を決して蔑みません。

それどころか敬意すら感じさせる眼差しで・・・静かに彼女を送り出すのです。
あの目は、同情だけではない。この場面の二人からは「女性とは・・・これ程までに強く優しく逞しいのだ」と言う揺るぎなさを感じます。
デュバリー夫人は権力というまやかしを全て失って、オスカル様を好きになりました。
この時のオスカル様の眼差しを・・・彼女は永遠に忘れる事はありません。
お暇な方は「アニばらワイド劇場」の第9話部分を読んでみて下さい。
「オスカル・・・あなたって不思議なひとね・・・」の台詞があまりに素敵なので、晩年のデュバリー夫人物語を勝手に書きました。

私は【女と絡んだ時のオスカル様】・・・これに昇天しそうな程、萌えるのです~・・・つづく。



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