本文へジャンプ

荒木伸吾回顧展 『瞳と魂』 へ行って来ました。

2012年12月1日、荒木伸吾さんの作品展へ行って来ました。
その名も、荒木伸吾回顧展『瞳と魂』!!

昨年72歳でこの世を去られたアニメ界の巨匠、荒木伸吾さん。。。
そのご子息さまがこの度の回顧展を企画して下さったようで、なんと入場無料。

・・・うっうっうっ・・・なんと言うか、商業用とは一味も二味も違った非常にアットホームな雰囲気で、小規模ながらもそこはまさにファンにとって“思い出と幸せの凝縮された空間”だったのでした。

もうね〜、まずは会場、3331 Arts Chiyoda:B104。・・・・・・?
聞いた事がありません。何処なんですか、それは?
こちらは以前、小学校だったらしいのです。子供の数が減って閉校してしまったんですかね・・・?銀座線「末広町」駅から徒歩で1分もかからないんじゃないかと思われます。でも、よ〜く調べてから行かないと分からないかも、元学校という知識があれば直ぐに発見できるかな?私は都内に詳しいひかる様の案内でスムーズに辿り着くことができ、ホントに感謝感謝でございました♪
で、中へ入ってみます・・・ドキドキ☆ いきなり赤色の廃品トイ(マク@ナルドのハッピーセットのおもちゃとかね)を何十個、いや何百個か?集めて制作したと思われる恐竜クンがお出迎えしてくれまして・・・ちょ〜〜〜味わい深いっっ!!!
思えばピロティーというか玄関ホール?横にズラッと並んだ手洗い場?一定の大きさの部屋が廊下に沿って続く感じ?・・・嗚呼、学校ですね!?と、なんかたまらない郷愁・・・ラ・ノスタルジーーー・・・!!! 
それはもぅ、建物に足を踏み入れただけで「ガッチリ掴まれました、OKです」な感覚だったのです。

でB104というからには地下なのね。ポスターに導かれるも微妙に迷ってようやく会場に到着。 
廊下の壁にはカラーで描かれたマンガが飾ってありました。見慣れない画風なのですけど、これも荒木さんの一面なのですね・・・亡くなる直前まで描かれていた作品らしいです。だから絶対見逃さないで。と、主催者さまのご挨拶にありました。見逃すものかっ〜〜〜(泣)・・・!


さて、いよいよ104の教室にお邪魔致します。
入ったところをスタートに、ずっと壁に沿って見学していくとそれが荒木伸吾さんの歴史・・というレイアウトでした。
虫プロ時代に描かれたジャングル大帝から巨人の星、あしたのジョー、キューティーハニー、グレンダイザー、魔女っこメグちゃん、ベルサイユのばら、ルパン三世、我が青春のアルカディア、聖闘士星矢、ゲゲゲの鬼太郎・・・などなど。THE荒木伸吾!!というものから「え!?こんなお仕事もされていたんですか!?」というものまで、まったくありがたいお宝の数々。。。。。。
そしてラフスケッチありセル画あり設定資料ありのバリエーションに富んだ展示物さまを至近距離で凝視する人々よ・・・っ!!
同じ薫りがする〜〜〜・・・胸が熱くなりますわね?こーゆー時、もうたまらなく胸が熱くなりますわね? 
舐めるように、見学させて戴きました。特に・・・言うまでもなく・・・当然・・・ベルサイユのばらコーナーをっっ!!

なんざんしょ・・・溜め息・・・2歳のころ初めて観て、誰がなんと言おうとその時から大ファンで、以来33年。ココロとカラダの特等席といった、まさにド真ん中ですね。そこに居座って(?)離れない命のドラマ、アニばらなのですが、その、その、元になったモノがそこにあるわけです。味の素どころではない、命の素を振り掛けられて素敵・感激・・・っ!!!な瞬間。今になってこのようなモノを拝めるなんて・・・凄いですよね。ホントに、生きているって素晴らしい!!
オスカル様、アンドレ、ロザリー、ポリ夫人、破壊神デュバリー、春風ディアンヌ・・・そして壁ではなく中央に置かれたガラスケースの中にはアントワネット様やケツアゴ氏もおりました。こちら・・・すっごく綺麗なんですよね。何本も線を描いて、最終的に一本の線を残しあとは消しゴムで消して〜とか顔以外の手とか指とかは後回しだからとりあえず透明人間状態で〜とかではなく、物凄く完璧な、テレビで観るまんまの絵が、黄色い紙に鉛筆で描かれているんです。素晴らしく巧いですよっ(当たり前過ぎてホント失礼なんですけど、とにかく巧い、巧過ぎるのです)特にアンドレとケツアゴのツーショット・・・いいなぁーーー・・・。私にとってはゴッホの百倍価値があるシロモノです(マジで)。
何故この段階でここまで丁寧に描いたのかな・・・?もともと印象深いワンシーンですが、今後は更に、のめり込むように見てしまいそうです。

『瞳と魂』、グッズの方も想像以上に充実しておりました。
ポストカードからTシャツまで、バラエティーに富んだ商品が並びます。その中でも、荒木さんが最後まで描かれていたというカラーのマンガをまとめたものと壮大なスケール感で手に取る者を圧倒する図録。こちらの2点・・・特に図録は凄いです。これをつくられた主催者様はもぅそれだけでクタクタになったそうで・・・。見る側も精魂尽き果てる覚悟でページを捲って戴きたいと思う超豪華本でございます(物凄いボリュームなので悪天候かと思われたその日に持って帰るのは困難と判断し、私はまだ未購入です・・・)。

ーゆーわけで、グッズを眺めて荒木さんに思いを馳せておりましたら、親切なスタッフさんが話しかけて来て下さったんです。
それが・・・なんと荒木さんの御子息様でしたっ!!!という事は・・・この回顧展を開いて下さった方ではないですか!?てか・・・息子さん・・・?マジで!?と、テンションがおかしなことに。。。
物凄いことです・・・。なんという贅沢っ・・・!!荒木さんの仕事ぶりを純粋な目でずっーと見てこられた御子息様に直接、『ベルサイユのばらのキャラクターデザインを手がけていた頃のおやじは云々・・・」というお話をうかがう機会に恵まれたのです。この幸運・・・年末ジャンボはこの先永遠に当たらないだろうな。と思うくらいに、持てる運の全てを使い果たした感じです。それでもいいよ・・・年末ジャンボなんつ〜ヤクザなものに賭けるよりもリアルな荒木さんトークを聞きたい、私は。

というわけで、とんでもなく貴重な体験をさせて戴いたわけです。
ひと足早い、これがオスカル様からのクリスマスプレゼントでなくてなんであろうっ!!

うかがったお話の全てはとても書ききれませんので印象的なものをいくつか・・・
アニメはまず「これをやろう!」という企画の段階で競合するプロダクションの中からその実力や個性をみて、この人たちなら任せられるだろうという一社が選ばれるところから始まるわけです。当然ですが・・・荒木プロは当時グレンダイザーの女性キャラや花の子ルンルンで美形キャラを描かせたらピカイチだ!と評判だったわけで、選ばれたわけですよねぇベルばらに(納得)。
それからスポンサーとなる企業との話し合いで、簡単に言えばスポンサーがどのキャラクターが好きなのか、どのキャラクターで押したいのか、というところでメインキャストが決まるわけです。当然、アントワネット様よりもオスカル様、フェルゼンよりもアンドレ、悲劇の王妃様を描くより男として生きるオスカルという女の子に焦点をあてて物語は出発進行しますよ。ということになったわけなんですね。
改めてうかがうと・・・そうか、スポンサーかぁ!!と、なんだか叫び出したいような変な感覚に陥ります。リアルタイムでアニばらご覧になった方、スポンサーはどちら様でしたか?少なくとも、あのようなシリアスでストイックでダークな展開に難色を示し「もっとこうやれ」と邪魔な口出しをしてくる企業でなくて、良かったですよね。。。

で、次に私、無知をさらけ出し「アニメ制作においてどこまでがキャラクターデザインのお仕事なのですか?」とお尋ねしてみました。
そこから話は発展し、姫野美智さんのお言葉なのかな?
「(キャラデザの仕事は)役者みたいなものだ」だそうですヨ☆
つまりは、マンガの中のキャラクターがテレビ画面の中で実際どんな雰囲気でどんなふうに動くのか。それを決定するのがキャラクターデザインらしいです。
顔のつくりや表情だけじゃなく、体型や仕草まで。実際荒木さんは振り向く仕草をデザインする際に「おいおい、オスカルはこんなダサい動き方しねーよ?」 とかおっしゃっていたんですよ。
オスカルならこうやって振り向くはずだ。アンドレならこんな風に笑うはずだ。ジェローデルならこんな風に眉間に皺を寄せるはずだ・・・と、話し合っていたであろうその場にタイムスリップして話しに加わりたいっ(叫)!!
なんか、すごく、いいなぁ〜〜〜・・・
原作者と違って、アニメのスタッフは表に出る機会が少なくどうしても縁の下の力持ちってイメージです。でも、それぞれ案を振り絞って、出来得る最高の形で世の中にベルばらを送り出して下さった方たち、その中でも最も重要な“絵”を描いて下さった荒木さん・・・。

荒木さんと姫野さんが創り出して下さったアニメのオスカル様・・・本当に素敵です。ダサさの欠片もないよ〜・・・。どの仕草も男らしくて女らしい。そう、彼女は“人間”として最高に美しい。当時の水準を遥かに上回るお見事過ぎるデザインの数々なのです!!
という風に、すっかり感極まって又しても落涙・・・苦笑。。。(どの会場行ってもアニメで堪えきれず、泣き女か自分・・・とちょっと悔しい。でも、そこが自分)
そうそう、荒木さんも自分を曲げない人だったようで、こうだと思った事は譲らないタイプだったみたいで・・・
なのでガチガチに絵コンテ描いてくる出崎さんとは衝突する事もあったようですよ。
こんなんあったんじゃ仕事が出来ねー!俺に任すんなら俺のやりたいようにやらせろ。ってなもんで・・・今更ながら「さぞや〜・・・・・」な現場が想像されて楽しいです。
でも、御子息様おしゃってました。
本当にいいものを創るなら衝突して喧嘩になるくらい我の強いタイプ同士の方がいいのかもって。
だって、信念がぶつかり合うわけじゃないですか?お互い真剣ってことで・・・改めて、グダグダじゃなかったアニばら。
完成された原作とは別のところで才能ある方たちがぶつかり合って、そして一から練り上げられたアニメのベルサイユのばら・・・

いろいろ大切なモノが詰まり過ぎて相当重たいのですが、一生大事に持って歩きます(決意)。


そーゆーわけで、大都会の小さな教室の中で夢のようなひとときを過ごし、大袈裟なんでしょうが『運命』ってあるよなーーー・・・と考えてみる私。ご一緒して下さったひかる様と何気なく決めた見学日・・・
12月1日は荒木伸吾さんの御命日だったのでした・・・(あろうことか見学当日に知ったのです)。
そして、この日は土曜日で・・・恐らく普段はお仕事をされているであろう御子息様が会場にいらっしゃったのも、とても運のいい事で・・・ましてやお話出来た事はホントに・・・一生の思い出です。

趣味や特技って人それぞれ持っているものだけど、私にとってそれはアニばら追求・・・笑。だったりします。
一過性の趣味は結構あるけど生涯ブレないものって事で、もう絶対アニばら追求。

2012年の12月1日は言葉にできないくらい貴重な一日となりました。
ありがとうっ!『瞳と魂』の主催者様。ありがとうっ!!荒木伸吾さん。。


貴方が残されたもの、私たちはこれからも大切にしていきます。