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アニばら観察日記


白馬に乗った美しいひとを想いながら天国へ旅立つ王子様。
いろいろな意味で、超絶悲しみの王妃様・・・。




第33話 「たそがれに弔鐘は鳴る」



前回の更新から派手に間が空きました・・・。なんかいろいろ、いろいろあったんです。
それで夏の間、私なりに七転八倒してみましたが・・・過ぎ去ってみると何故あそこまでテンパる必要があったのか?と思う部分もねぇ・・・多い。というか殆どが無駄な足掻きだったというか、一言「落ち着け」と言ってやりたい、あの頃の自分に。

お、お、お、お、ぉぉぉぉぉぉ(嗚咽)・・・こんな私のしょうもなさと比べて、これから先のアニばら世界ときたらどうだ?どうなんだ一体!?
お子様には超難解、意味不明ながらも「よくない状況なんですねぇー・・・」とつくづく思わせるアイテム満載でお送りしま~す アニメ・ベルサイユのばら 第33話 たそがれに弔鐘は鳴る の巻。

予告編は・・・おや?肝心の人物が出ておりませんね。それに、原作ではこの辺りは夜明け前とはいかずとももぅ少し明るい予感に包まれた箇所があってもいい感じだったと思うのですが。
あぁ此処はアニばら黄昏ワールド・・・夜明けどころか間もなく真っ暗闇の夜がやって来ます。

日没を迎えこの世とあの世の境が曖昧になる頃、薄暗がりの中で怪しく蠢く妖怪変化・・・というのは何も日本昔話の中だけの話ではありません。アニばら内にも相当アレな魑魅魍魎が跋扈しておりますよ。その筆頭はまぁ、ロベスピエール先生でしょうか。その弟子サンちゃんの暴走も止まりませんし、私利私欲にまみれた貴族たちもなんですし、やがては麗しき王后陛下もかくも残酷な変貌を遂げて参ります。

というところで、第33話の様子を具体的に見ていくとしましょう。
国王より遥かにデカい態度で政治的専門用語をズラズラと並べ立てる側近(リーフレットには法官Aとあります。この人、首飾り事件の時の裁判長様なのでは?)、この期に及んで自分の事しか考えられないいやらしい眼つきの腐敗貴族ども、荒みきったパリでハイエナと化した野良犬くん&既に見慣れた感のあるパン屋襲撃犯~・・・そんな救いの無いめんつの活躍を更に盛り下げるのは勿論このひと!アコーディオンの調べに乗せ鋭く時代を切り取る吟遊流しのおっさん。彼もねぇ、アニばらを代表するシンガーソングライターとしてすっかり定着致しました・・・っていうことで、のっけから負のオーラ全開で乙女のピンク色な想いをブッた斬る出崎編!!こんな真っ黒な連中にオープニングを支配されたんじゃ~・・・改めて今回は萌え萌え♪な場面なんぞは期待できません。それどころか主要キャラにはバンバン死亡フラグが立ち始めます。
ひぃーーー・・・・・・顔面蒼白。っていうか、まぁ・・・前回も前々回も、え~と、もっとずっと前から人は亡くなってますよね。よって「何を今更・・・・・」な気も致しますが、ちょっと待って。今回はタイトルを見て貰って解る通りある人物の死がもうそのままメインテーマになっているのです。こーゆー感じ、「さよなら、妹よ!」以来でしょうかね?なので、悲しいかな“死”というものにやや慣れっこになってしまった全世界アニばらファンの皆様も、ここはひとつ初心に返って、ある人物とその周辺の人々の心の動きに注目し、是非とも新鮮な気持ちで「あぅっあぅっ~・・・」と涙して戴きたいものだ。と思います。

そーゆー事で、本日のAパートです。
ややや?意外な場面からスタートしますね。今日は非番でたまたま時間があったアンドレが雪の降る中ベルナール・シャトレの演説を聴いています。そこで若干胸に熱いモノが込み上げたりしたんでしょうね。仕事が終わり引き上げるベルナールを呼び止めるアンドレ。・・・やけにフレンドリーなベルナールの対応が気になりませんか?この雰囲気、黒い騎士事件ですったもんだし別れた後久しぶりに会った・・・という感じではありません。久しぶりは久しぶりなんでしょうが、少なくともオスカル様に「礼を言うなら私ではなくアンドレに言え」と言われボケッと「アンドレ?」と聞き返していた奴の反応ではない。・・・きっと、あの後しばらくしてアンドレはパリに奴の様子を見に行った事があるのでしょう。そこで、まぁアンドレのことですから意外なくらいに打ち解けて、安酒場に行って、ひと通り「俺の波乱万丈武勇伝」なども披露し、聞いたベルナールはイイ感じにジャーナリストスピリットを刺激されるなんかして、時には「お互い早くにママンを亡くしているのかよ~・・・」とホロリ共感の涙を流しつつ肩を抱きあい、もしかしたら共にフランス衛兵隊B中隊提供・魂の男賛歌なども口ずさんだりなんかもしたかもしれない。そして当然、あの~・・・目のこと・・・ごめんなさい・・・!!と謝罪する機会なんかもあったのでしょう。そうでなければおかしい。むしろ不自然だ。そのくらいにこの時両者の間に流れる空気は和やかで、すっかり『お友達』って感じなのです。
時間がなくてあれでしたが・・・出崎監督ならこの二人の友達としての馴れ初めを、きっと魅力的に描いてくれたことと思います。今はもう永遠の夢になってしまいましたが、男女間のどーたらこーたら以外にもこーゆーところの妄想、けっこう楽しいと思うので・・・今後できたら勝手に決め付け妄想しUPしていきたいな(恥っ)と思います。
で、アンドレに演説を聴いて貰えてちょっと嬉しいベルナール。すかさずフレンドリーな態度で自宅に彼を持ち帰ります。すると待っていたのはこの人。ロザリー・ラ・モリエール!?
「なんで?どうして??」と一瞬狼狽するアンドレが意外にもキュートです。どうしても何もないだろう?あの時のあれはさぁ、語弊はあれど飢えた羊の群れ(群れではないが)に瀕死の狼をあてがってやったって事で・・・羊は肉食だったので思いのほかメキメキと回復した狼を美味しく戴いてしまっても無理はない。そりゃ実際手を出したのは狼なんだろうけど、とにかく餌を放り込んでやった形になったのは間違いないでしょ。語弊、ありますけどね。

あー・・・ロザリーとベルナールは親睦を深める過程で実は過去に繋がりがあったという事に気付いて、そんで急速に仲良しになったものと思われます。そのあたりの悲惨な昔話をロザリーから聞いて薄く記憶に残していたかもしれないオスカル様ですが、流石にそれとこれが同一人物だとはあのクソ忙しい時には思わなかったわけで、だからこれはオスカル様的には信じられない偶然。

一方、盛り上がる二人にとっては『再会できたのはオスカル様の奇跡的采配による運命・・っ!どどど~・・んっ・・・!!←効果音』という図式になるのだと思います。


で、二人は結婚したのかぁ!?そうか、そうか、良かったじゃん♪と明るく寿ぐことのできるアンドレの単純さと人柄の良さになんだか心が洗われる場面・・・

ですが、ちょっとロザリー?あんたはどうなんだろう・・・?「あたしったら、あたしったら・・・アンドレに大怪我を負わせた輩と調子よく結ばれてしまって申し訳ないっ!お許し下さい・・・ご報告なんて出来たもんじゃなかったんですっ!!」という気持ちは分からないでもないですが、それでもねぇ・・・今ここでアンドレに会わなかったら一生黙ってるつもりだったの?それはやっぱり、不誠実というものではないの?手紙のひとつくらい・・・書こうと思えば書けたはず。オスカル様から受けたお恵みに対して、やっぱり貴女はまだまだですね。という・・・小さな鉛が胸にころんと落ちるような感覚がこの脚本にはあるのです。
しかし、が、しかし!オスカル様はお元気ですか?の質問に対してどーゆーわけか非常に明るい調子で「元気だよ!あのあと転職したけど相変わらずバンバン頑張ってるよ!!」と答えてやるアンドレの屈託のなさがー・・・鉛を消化してくれてます。
なんか、すごいな・・・アンドレという男。と、一見何でもないようなこーゆー場面で実感してしまう(笑)うまく説明できないけど、こーゆー人・・・すごいと思う。。。

で、お茶だけ出し、気まずいのか即退場するロザリー。ベルナールと同様、今はロベスピエール先生の組織で働いているというところがちょっと宗教団体のそれっぽくて私は抵抗あるのですが・・・しかしアンドレは「幸せそうだな、君たちは」と言い・・・。って、これは本心ではないと思います。

いろいろ複雑な思いがあって、なんて言っていいか分からない中でとりあえず言った台詞が「幸せそうだな」だったってだけ。
俺はチョンガー街道まっしぐらなのに、羨ましいですねぇ。夫婦で同じ職場ってところは俺もまぁ、当てはまってはいるんだけどね、でもなぁ、実際結婚ってなると夢のまた夢だもんなー・・・ああ遠い。。。・・・とかって雑念も入ったと思うし。何より「黙って聞いてりゃー「貴族の馬丁ごときで満足している男とは思えん」とかなんとか・・・いや、けっこう満足してたんだけどねぇ、ご主人様は生憎ただの貴族じゃねえし。でも解雇されたのさ・・・だから今は貴族の馬丁ごときですらないんだよね・・・ふふふ、エリート雑魚集団にあって唯一ノーブル担当?単なる一兵卒も、まぁいいものだよ。ん?馬丁ごときを何故解雇されたかって?なぁ?なんでだと思う?」・・・・・というような独白がアンドレの脳内ではあったでしょうが、時間もないことだし話がややこしくなるので口には出しません。
「美味しい珈琲だ・・・」という一言でお茶を濁す、大人なアンドレ・グランディエ。

てか、お茶じゃないんだ?物書きが好むのはやはりカフェイン含有量の高い珈琲なのかね?
といったところで、君たち頑張った甲斐あったじゃないか!!

1789年1月。国王ルイ16世は来たる5月1日、ベルサイユにおいて三部会を招集、開会すると布告した。

そうですか・・・時は既に1789年。。。
って、いつの間に!?ここへ来て1分1秒が惜しいアニばら黄昏ワールド・・・はて、冬場のヨーロッパの日没時刻は何時だったかのう?と呑気に考えてみたりしますが・・・・・・とにかく展開速いでづ~~~っ・・・!!


場面転換。オスカル様ぁーーーーーーっ(涙)・・・大人の事情で32話から半年間ブッ飛ばされているんですが、お元気でしたかっ?マジでお元気でしたかぁ~~~!?とロザリーが気にするまでもなく私がお足元にすがりついてご心配申し上げたいわっ!!でも、オスカル様はアントワネット様からの火急なお呼び出しにより先を急がれているところなので、足元でウロウロした日には馬脚で蹴り飛ばされるのは必至!いけずな人~~~・・・っ!!
等と言ってふざけていていい場面ではありません。事態は深刻、めちゃめちゃシリアスな展開を迎えています。
ムードン城。ベルサイユでもプチ・トリアノンでもなく、病弱な王太子ジョゼフの為にアントワネット様たちが移り住んだ城・・・なのだそうです。そこへオスカル様が緊急で呼ばれました。「ジョゼフがしきりと貴女に会いたがっています」という理由で。これがただの風邪なら「あのなぁ」と思うところですが・・・なんとジョゼフ殿下は脊椎カリエス。殆ど毎日一緒にいるはずのお母さまではなく、お父様でもなく、末期症状に苦しむ彼が会いたいひとは、オスカル様。でもね、アントワネット様、もぅそんな事でショックを受けているような段階ではないです。ただただ死を待つのみ・・・という絶望的な状況にあって会いたいひとには会わせてやりたい。やりたいことはやらせてやりたい。体が動く残された僅かな時間のうちに。という感じでしょうか・・・

で、脊椎カリエスとはどんな病気か?以下↓

肺からの結核菌が血行性に運ばれて発症する結核性脊椎炎です。脊椎の部位別には腰椎、胸椎、胸腰椎などの順に多く、頸椎はまれです。
 最初に椎体が破壊され、次いで椎間板にも病巣が波及し、進行すると隣接した椎体にも病巣が広がります。病気が進行すると、椎体内に乾酪壊死といわれるチーズの腐ったような壊死巣が形成され、椎体周囲に膿瘍が形成されます。腰椎では腸腰筋の筋肉内に膿瘍が形成されますが、椎体周囲の膿瘍や腸腰筋膿瘍は重力のため臀部、鼠径部などに降下して流注膿瘍となります。さらに進行すると椎体が潰れ、後弯変形を生じます。
 脊柱後弯変形は、脊髄麻痺や心・肺機能障害の原因となるため注意が必要です。また、近年はHIV感染が結核感染の危険因子として注目されています。

インターネット某所から引っ張って来ましたが、恐ろしい・・・本当に恐ろしい病気です・・・。現代では治せない病気ではないのかもしれませんが18世紀フランスでは回復の見込みはないでしょう。この時代の医学がどんなものだったのか知りませんが、ひたすら療養して傍らで祈祷師が祈り、捧げモノだと言って僧侶を全国から集結させ、寺院を建立するくらいじゃないですか?(そりゃ日本だろ。奈良時代とかの)
殿下はまだ7歳なんだそうです。子供だと病気の進行も早いですよね・・・痛み止めも何もない時代に死を待つだけの生活は本当に過酷です・・・。そして、これは同じ母親という立場から見てなのですが、ご本人以上にアントワネット様がお気の毒でたまりません。。。



あぁさて、殿下にとってオスカル様というのは燦然と光り輝くスタァです。


母であるアントワネット様を始め殿下の周りには優しく美しい女性たちが大勢いたと思いますよ。その中でオスカル様が特出した存在であったのは勿論近衛連隊長という他の人にはないめちゃくちゃスペシャルでマーベラスでエグゼクティブな肩書きがあったから。
仮面ライダーやウルトラマンやポケットモンスター等が無い時代だからこそ、普通そこらへんに向かうはずの幼児の萌えを一手に担い「ベルサイユ宮殿で僕と握手っ!!」状態のリアルスーパーヒーローオスカル様っ!!そこへ某ロックグループ伝説のギタリストが難病と闘う少女を応援するため自らも骨髄バンクに登録し「病気を克服したらコンサートを見に来るんだぞ。最前列で聴かせてやるからな」みたいな雰囲気もプラスした特別な、それはもぅ特別な関係性であったと思う・・・。そーゆー特別感がね、オスカル様を見つめる殿下の眼差しに溢れています、これでもかという程に。
溢れて溢れて、ついには愛情が飽和状態になり、告白したーーー・・・。

あぁ・・・“彼女”は仮面ライダー以上の存在であった。

スーパーヒーローと伝説のギタリストに光源氏が藤壺を慕う生々しくもピュアな想いを足して最後うたかたの恋で割ったかのような幼い殿下のこの情熱よ!!くぅ~・・・ここを観る度にアンドレが抱える諸々の障害なんぞはマジ屁でもない!と叫ばずにはいられないっ!!
痛々しいくらいに健気で美しく哀しい殿下の恋・・・この場面、秀逸です。
第33話にして号泣してしまう~~~。。。。。。。

オスカル様も殿下も愛し過ぎます。ふたりの傍に白馬が戯れ、春の柔らかい陽射しの中では束の間、嘘のように痛みも消えたことでしょう。いつまでも、いつまでも、こうしていたい。と呟く殿下の姿は“大人になってから観るアニばら、感動のベストシーン”の間違いなく上位にランクされる素晴らし過ぎる名場面・・・思い出すだけで涙が出ます。

子供に愛されるという幸福とその子は不幸な理由で間もなくこの世を去ってしまうのだという絶望感。天と地ほどにかけ離れた感情を抱えるオスカル様のご心痛を思うと、これまた胸が張り裂けそうになります。

第33話、重いです。なんというか・・・今の私にはこのへんが本当に重い。その重さで親になったことを実感するのです。母子手帳なんかよりずっと、アニばら第33話だよ、重要なのは。。。

素晴らしく聡明で申し分のない程に美しく思いやり深く育った愛しい我が子。病魔に侵されもうじきこの世を去る運命だなんて、一体何と引き換えにすればこの残酷な運命から逃れられるのでしょうか・・・はい、少なくともフェルゼンに出番はありません。勿論、これは彼にとっても激痛には違いない。しかし「前を失礼しますよ」と言い静かに通り過ぎて行く陛下のお姿がー・・・太刀打ち出来ない程に様々なモノを背負って余の黄昏ライフここに極まる。という感じで・・・言葉がありません。フェルゼンごときが醸し出す悲壮感ではもぅホントに、駄目だぁ・・・・・と完敗を認めるしかない。
そーゆーわけで、フェルゼン伯爵。オスカル様に伝言を残しスウェーデンに去ります。
なんかねぇ・・・完敗ですが、考えれば相当に気の毒なんですよフェルゼンも。この人、死んだつもりで国を捨てフランスの行く末を見届ける覚悟だったでしょうにね・・・アニばらよ、本当に容赦のない・・・鬼だ!これのスタッフさんは総員鬼だ、まったくもって(涙)!?

再び場面展開。
ケツアゴが帰って来ました。失業保険とかないでしょうに(一身上の都合で出てきてないだけだし・・・)、この男は半年間も無収入でどうやって生活してたんでしょうか?養う者が居なければどんなに生活が荒れ果てようとも構わないわけなので、まぁ大丈夫だったんでしょうねぇ。半分ハイエナ化して生き延びていたのかもしれないし。
で、今回戻って来た理由は「ついに生活費が尽きた」とかではなく、三部会が召集、開会されるのをなんとしてもこの目で見たい。というものらしく・・・さいですか。という感じです。今ね、正直温度差あんのよ。というアンドレのクールさ(?)がいいです。

で、あっという間に5月になり・・・三部会開会の時がやって参りました。

警備をするオスカル様がベルサイユ宮の窓を見つめ殿下とのひと時の語らいを思い出されています。もうよくなる事はないのだと悟った殿下は来世での意気込みをオスカル様に伝え、これはまぁプロポーズだと思っていいのでしょうが・・・あの~来年の事を言うと鬼が笑うというなら来世結婚して下さい!と言うのは誰が~・・・笑えますか!?
笑えるわけがない。笑えるわけがありません・・・・・。今生でのことよりも下手をすると数段胸を打ちます。しかもこの状況でのことなので、もぅ堪りません。。。


そして、その堪らなさを流石にこらえ切れずアンドレに漏らすオスカル様。普段このような唐突な台詞はね、まず飛び出さないと思うのです。なので一瞬意味が分からないアンドレ。でも、すぐにピンときたはずですよ。そして、一緒に堪らなくなったはずです。かけてあげるうまい言葉は見つからなかったでしょうが・・・。

で、行進です。・・・ロベスピエールって31歳なんですか・・・?嘘でしょ!?いやー・・・ケツアゴみたいに架空の人物なら原作と年齢変えることは可能ですが、ロベピ先生は実在なのでどんなに老けて見えようが31歳。でもまぁ、これはこれ。実際は45歳くらいに思っていてイイと思います・・・。
ニッポンの国会議員数も相当あれですが、三部会に参戦する議員の数も半端ありません。平民議員だけで621人もいるっていうんですから・・・なんか多く感じませんか?いや、感じるだけで実際は妥当な数なのでしょうが・・・多い気するなぁー・・・。で、それを単純に3倍した数だと2000人弱になるわけで、物凄い適当にですが、まぁそれくらいの人数から総スカン・・・どころか憎悪の塊を投げ付けられたかのような格好のアントワネット様。

歴史に対する評価や認識というのは日々変わってゆくもので、現代ではマリー・アントワネットはむしろ「革命の犠牲者」だという説が圧倒的だと思われます。フランスは戦争で財政難に陥ったのであってアントワネット様の贅沢が致命傷だったわけではないし、パリ中にバラ巻かれた中傷記事の内容も殆どが嘘っぱちであった事が分かっている。当時の貴族はうまくいかない現状をオーストリア女である王妃ひとりに擦り付けておこう!そうすれば自分らは安泰だ。という考えからいろいろ悪口を言っていたんだよ~と言っている番組をついこの間見ました。酷いのぅ。それって史上最悪のイジメだよ。と思った・・・。でもまぁ、そう言われるようになったのは最近の事かもしれず、少なくともアニばら制作当時はまだアントワネット様はバリバリ悪女で名を馳せていたのだろうから・・・ここから彼女の悪行(?)はヒートアップして行きます。


うー・・む、出崎監督ったら彼女のことキライなのよね・・・少しでも好意を持ってくれていたらねぇ、もうちょっと違う描き方があったでしょうに。やや残念です・・・。


はい!今回萌えられる場面があるとしたらここから先数分間です。

白熱してにっちもさっちもいかない三部会。もともと腐った一部貴族の造反で始まったという議会なのだから想像するにろくでもない展開なのだろう・・・てか、造反って言葉難し過ぎるだろ?今に始まった事じゃありませんが、アニばらのこーゆー配慮のなさのお陰で私は小学生の時分から、局地的難語に詳しかったもんね。
で、脱線しましたが議場を警備する衛兵隊の皆さんはいつ取れるか分からない休暇に思いを馳せボーーー・・・としていたのでしょうか?普通に見逃すはずのない大きさのビンを放置していたのでオスカル様ね、小言のひとつも言いたくなりますよ。で、代表して「すいませんでした」と一歩前に出てくるアンドレ・・・たいした距離じゃないんだし割れモノなんだし「おいおい放り投げずに手渡ししなはれ、危ないじゃないか。部下たちが怪我でもしたら大変だ」と思いますが、これはオスカル様が横着したってわけではなく、空き瓶を持つと投げてしまう、もしくは撃ってしまうのは彼女の癖。っていうか習性なわけですよ。武官の哀しさというやつです(第25話 かた恋のメヌエット参照)。で、キャッチできずに仕事を増やすんだもんな~・・・これはどっちが悪いのか。投げた隊長か?キャッチできなかったアンドレか?連帯責任だな。と言うことはどうでもよく、アンドレ・・・アンドレが私の投げたモノをナイスキャッチできないなんて・・・・・まさか、まさかおまえの右目・・・?とプチ愕然となるオスカル様。
この場面、このままいけば更に心配するオスカル様の「アンドレ、アンドレ・・・!?」なお姿が見れたと思うのですが、ケツアゴがフォローしてくれちゃったんで片付いちゃいました。
う~・・む、いい奴なんだけどねぇ、もう少し隊長と元従僕の絡みを見ていたかった。。。

といったところで、アントワネット様を乗せて大急ぎで走り去る馬車が・・・殿下の容態がよくないことを如実に物語っております。うっうっうっ・・・・・


いやーーー・・・最近よく雨が降ります。三部会の議員たちはよほどの雨男揃いなのか?開会してからというもの天気予報は傘マークのオンパレード・・・西岸海洋性気候、じゃないね・・・このフランスね。。。
それはまぁいいとして、オスカル様とアンドレ。こーゆー時なので和やかなムードこそありませんが、以前と同じ関係性に戻ったようです。お互い大人で、しかも喧嘩をしていたわけではないので、よけい難しいと思うのですがね。なんというか、一言「ごめんね」で解決する類の問題ではないので・・・でも、そうですよねー・・・時間が解決。って、こーゆー事なのかもしれないですよね。誰も何も変わっちゃいないよ・・・・・本当に、誰も何も・・・です。オスカル様の思考の恐らく大半を占めていたであろう殿下のご容態。それを忘れたわけでは勿論ありません。最悪なことを口に出しても、もぅどうしようもないだろ・・・という思いがあったから「それよりもうひとつ心配事が・・・」となったわけです。で、背中で「ほう、どんな事だ」とか言うアンドレ。
憎らしいくらいにアダルトでシリアスな空気が充満している為ナイフを持って飛び掛るようなやんちゃな真似はちょっと出来かねます・・・。
なので寿命は縮まず、どうした目の検査か?見えるかちゃんと・・・見えるよ。本当に・・・?くどいぞ。よせよ悪い冗談は。という・・・この単調さが妙にセクシー・・・っ!!異様にドキドキする結構な場面なんだから作画を・・・もっとさぁ、投げずにやってくれよ。。。
大人の事情で裏方が火の車なのか近頃残念なことが多いです。はい・・・出来る限りお察ししますよ・・・でも、イイ場面の絵だけはちゃんと描いて下さい、お願いだから。。。

なんて言ってる間に・・・目を負傷し多少なりとも聴覚が発達したであろう男よりも全然地獄耳のオスカル様がノートルダム寺院の鐘の音をキャッチ。第1話からそうでしたが雨に混ざる重要な音源(ひとの会話含め)をオスカル様は聞き逃しません。バイオニック・ジェミー並みの聴覚です。


・・・1789年6月2日。王太子ルイ・ジョゼフがついに危篤状態に・・・。
そして、6月4日。
駆け付けた父、母に対して発した台詞が7歳男児の言葉とは思えません・・・どんなにか苦しいでしょうに・・・・・それよりも他者を思いやる精神・・・既に神の領域におられるルイ・ジョゼフ殿下に止めどなく涙が溢れ画面をまともに観ることが出来ません。。。

「もう一度、ベルサイユに帰りたい・・・」


そうです、帰りたいのはトリアノン離宮ではなくベルサイユ。ベルサイユには・・・オスカル様がいます。オスカル様に憧れ精一杯想いを寄せた幼い日々、その素晴らしい記憶が溢れているところです。

ああ、ベルサイユ・・・そうだ、この物語、ベルサイユのばらってタイトルでしたねぇぇぇ~・・・・・・と、視聴者も漏れなく、どうしようもなくベルサイユが恋しくなるから不思議です!!こーゆー持っていき方を職人技と呼ばずして何と呼ぼう!?


家族で帰ろう・・・素晴らしき哉ベルサイユへ。
そうだ!馬車の護衛はおまえの大好きなオスカル・フランソワに・・・だって彼女も家族の一員。運命共同体であったあの日に帰ろう・・・幸せだったあの頃に、みんなで帰ろう・・・・・!!



まだ誰も何も変わっちゃいない。時代の分岐点にあって今がまさに転換期なのだという重々しい空気の中で、キャラクターたちの「あの日に帰りたい!!」という心の叫びを聞かずにはいられません・・・。


ルイ・ジョゼフに限ったことではなく、父ルイ16世、母マリー・アントワネット、そしてオスカル様、更にはアンドレまでもが、革命を前に足の竦む思いでいるのが痛々しい程に伝わるのです・・・感じるのです。
では原作ではどうだったか?恐らくそのような感情は見てとれなかったはずです。キャラクターたちは前を向いていた。三部会には確かにフランスを救う明るい兆しがあったのです。
ところが、アニばらはそういう風には描きません。

原作に忠実でないのは民衆や革命家たちの溢れる情熱を表現する技量がなかったとか、そんな事が理由では勿論ありません。
この脚本がネガティブであるかどうか議論する前に、ここは完全なる分岐点であるのだとベルばらファンは理解しなくてはいけない。理解したうえでここの指揮官=出崎監督に付いていけるのかどうか、三部会が始まり益々暗黒な世界になりつつあるアニメに乗っていけるのかどうか、これからやって来る悲劇の連射を受け止める覚悟があるのかどうか、漫然と観ていないで私たちは真剣に考えないといけません。

不幸中の幸いで次々訪れる不幸を知らずに死んだ殿下と違い、私たち視聴者は直視しなければいけない。それを思うだけでリアルに足が竦む第33話。思い切った見事な作りこみです。

子供騙しではない本気のアニメ芸を今回も堪能させて戴きました。
登場するキャラクターが可愛いとかカッコいいとか、絵が綺麗とか丁寧だとか、そーゆーのは勿論、作品のクオリティーをあれこれ言う上で大事な要素ではあります。が、しかし、それだけでない。そーゆー表面上の云々ではない部分、たとえば幼い子供が子供なりに体験してきた楽しいことや素晴らしかったあの日の記憶。そういったものがテレビの中のキャラクターにも在るはずだ・・・その素晴らしかったもの、かけがいのないものが果敢なく散っていってしまうという恐怖。明るくない将来をただ傍観することしか出来ない事への居た堪れなさ、居心地の悪さ。
私は幼少時アニばらを観ている最中、なけなしの経験を総動員して自分に重ね合わせ、本当に怖くて夜震えていたものです。そして、そーいった体験をさせて貰った事というのは他にあまりないのですね。アニばらは凄い・・・・・と思う所以なわけです。


はーーー・・・久々にアニばら観察日記を書くにあたりテンションが変なところにイッてしまった為、気合が空回りした箇所も多々あるとは思うのですが、全体的に「こいつは本気でアニばら好きなんだなぁ」と感じて戴けたら・・・それで私も無事往生できる感じです。
って、まだまだこれからさっ!!アニばら黄昏ワールド、頑張って直視するど。ゴーーー・・ン。。。。。
つづく。





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