「夢影」本編あらすじ




陰陽師、安倍晴明のもとを訪れた源博雅から、右大臣家の不可思議な噂がもたらされた。
二の姫、笙子が眠りから覚めぬと言う。

博雅に頼まれ、共に右大臣家を訪ねた晴明は、笙子の絵を描きかけたまま、最近亡くなった、影秋と言う絵師のことを知る。
素性は謎の、天才絵師、影秋。彼は、絵を描いている間だけ、まるでその相手を恋うているような情熱と執着を見せると言う。
そして、どうやら笙子は、影秋に思いを寄せていたようだ。
笙子の眠りの原因は、そこにあると、晴明は読んだ。

笙子を助ける術として、自分の式神である蜜虫を、身代わりにしようとする晴明。
そのことに、断固反対する博雅。
だが、晴明の決意と、蜜虫の覚悟を決めた説得により、博雅は納得し、協力することを承知した。

その夜、右大臣家の笙子の部屋にひそみ、結界の内にて様子を見守る晴明と博雅の前に、影秋の霊が姿を現す。
笙子の絵の続きを描き始めようとした矢先、晴明は、影秋の前に、蜜虫を出現させた。
蜜虫の美しさに、気を惹かれた影秋は、笙子ではなく、蜜虫の絵を描き始める。

長い夜の末、ようやく絵が描きあがったのを見計らい、晴明は、影秋を浄化させるための呪を唱え始める。
もう少しで、浄化が成ると思われた時、笙子が眠りから覚めた。
自分ではない女人の絵が仕上がっていることに気づき、笙子は嫉妬のあまり、絵を引き裂く。

絶望と怒りの叫びを上げ、影秋は鬼と化した。
思わず、結界を飛び出し、笙子をかばう博雅。影秋の動きを止めるべく、必死に呪を唱える晴明。
しかし、鬼となった影秋の力は強大だった。

晴明に襲い掛かろうとした影秋の前に、身を投げ出したのは、蜜虫だった。
式神の力で、影秋の動きを抑え、その間に晴明に呪を完成させようとする蜜虫。
しかし、影秋と共に蜜虫まで消滅させることになるかもしれないと、晴明は迷っていた。
そんな晴明を、博雅は叱咤する。「おまえは、それでも陰陽師か!」と。

晴明は、呪を完成させ、影秋と蜜虫は浄化の光に包まれる。
最後の瞬間、晴明の手から、一枚の呪符が蜜虫に向って放たれた。
それは、蜜虫の名を記した呪符。
その名前を頼りに、必ず戻ってこいと言う、晴明の祈りだった。

蜜虫は、消えた。影秋と共に。
けれど、きっと帰ってくると、博雅は晴明に頷くのだった。


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以上、「夢影」本編の、おおまかな筋です(^^;
こちらを踏まえた上で、追補編をお読み頂ければ、幸いですm(__)m


                                 管理人  翠蓮


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