『黒衣の剣士』に関する雑感


                               (映画『英雄』より 無名)

平成15年9月21日


『英雄(HERO)』の映画を見始めて、最初に印象に残ったシーンは、秦王のいる宮殿に向かう大広間。周りを幾千人もの臣下が居並ぶ中、悠々たる足取りで進む無名の後姿でした。
その背中は何の感情も見えないほど静かでありながら、不思議な気が漂うような・・・ 誰も近寄れないような威厳を感じたものでした。思わず「かっこいい・・・」と思ってしまったほど(笑)

無名はこの物語の主人公なので、ほとんどのシーンに登場します。
そして、この映画の中で語られる三つのシーンごとに、登場人物から背景に至るまで、色が統一されているのです。
当然、無名もそれぞれのシーンで、赤、青、白と違う色合いの衣装を着るのですが。
でも、なんと言っても無名は黒が一番似合う、と私は思っています。
黒の衣装を纏うのは、秦王のもとへ行く時。黒は秦王朝を表す色だそうで、秦王はもちろん、臣下はすべて黒の衣装を着ています。
無名も秦国の役人として登場するので、衣装は黒。そして、長空との戦いのシーンも、やはり秦の役人として戦うので、黒の衣装です。
ちなみに、この時の長空の衣装は、中国の大地の色なのだそうですが。

この映画では、色が大きな意味を持っています。
無名の出生にも秘密があり、そこから考えると無名と黒が本当に結びつくか、と言う疑問も出るのですが・・・ でも最後の瞬間、ああ、やはり黒なのだろう、と思ってしまいます。
無名の詩を書くとしたら、タイトルは絶対「黒衣の剣士」と決めていた私でした。

                                                                                                 


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