『六花』に関する雑感

                          

平成21年12月18日


油小路の変は、新選組の血腥い粛清の中でも最たるものでしょう。
伊東甲子太郎率いる御陵衛士は、実際には脱退であったものの、形としてはあくまでも新選組の別派でしたから。
最初から、目指すものが違った者たち同士。
いつか、決定的な出来事が起こる予感は、互いに持っていたのかもしれません。

ただ、新選組としては、藤堂平助が伊東たちと行動を共にしてしまったことは、残念な限りだったでしょう。
試衛館時代からの同胞。まだ若く、腕も立ち、新選組の幹部としての活躍を期待していたと思います。

だからこそ、伊東を囮に御陵衛士たちをおびき出す算段をした時にも、藤堂だけは助けよと、近藤は永倉たちに命じました。
いずれ、帰ってきてほしいとの願いをこめて・・・
けれど、実際の死闘の最中、いかなる思惑も簡単に運ぶものではない。
なんとか逃がそうとした永倉の狙いを知らない他の隊士によって、藤堂は斬られてしまいます。

一番後悔したのは、その場にいて、藤堂を逃がそうと思っていた者だったかもしれない。
もし、下手な情けをかけなかったら、と・・・(^^;
多勢に無勢とは言え、御陵衛士は精鋭揃い。もちろん藤堂も例外ではありません。
藤堂に一瞬の気のゆるみもなかったなら、やすやすと斬られる相手ではなかったかもしれませんし、囲みを斬り破って逃げおおせることも可能だったでしょう。
現に、それができた御陵衛士もいましたから。

かつては仲間だった者と戦わなくてはならない。
その覚悟は、きっと藤堂の方にこそ強くあったでしょう。
御陵衛士は、罠と知りつつも、油小路へと出向いた。死よりも、誇りを選んだとも言える。
だから、あの場で斃れたことをも、藤堂自身は納得していたのかもしれない、と思ったりするのです。


今の暦で、12月13日が藤堂平助の命日に当たるそうです。
藤堂を悼む詩を、と思った時、頭に浮かんだのは、藤堂を救おうとして救えなかった人物の心境でした。
最初は、その命を出した近藤かなと思って書き進めて行くうち、やはり現場にいた者の感覚が浮かびました。
なので、たぶんこの詩の中でつぶやく人物は、永倉新八だろうと・・・
そんな感じで読んで頂けたら、幸いですm(__)m


この詩は、藤堂ファンである千華さんのサイトで企画されています「平助くんに恋して」のコーナーにも、載せて頂いています。
詩を書くきっかけを下さった千華さんに、心より感謝申し上げますm(__)m
       千華さんのサイトはこちらから→


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