《さざなみさんへ》
あなたのエースに捧げます(笑)
The Winner
黙々と
君は走り続ける
広いグラウンドを
きつい階段を
くり返し
ぎゅっとこぶしを握り
寒風に顔を晒して
ただ走り続ける
若さに甘えることなく
己を過信することなく
期待につぶされることなく
次なる季節のために
着実に力を蓄え続ける
エースと言う玉座は
決して座り心地の良い
安楽椅子ではない
栄えある呼び名に
ふさわしい左腕は
無言の汗に磨かれてこそ
一段とたくましくなるのだと
君の信念はおそらく
とても朴訥で強靭だ
あどけなささえ残す横顔は
マウンドに立ったとたん
厳しく豹変する
決して逃げるな
粘り負けるな
強気で討ち取れ
鋭い叱咤の響きは
紛れもない自分自身の心の声
君はエース
時代を担う若き虎
どこまでも
高みを目指して
今はひたすら走り
鍛えあげ
投げ続ける
誰の視線にも
寡黙なままでいい
やがて時満ち
その手で掴み取った勝利を
讃えられる瞬間こそ
ほんの少し照れながら
笑顔で答える君がきっといると
私は信じているから
※ この詩は阪神タイガースの井川慶投手をイメージして書きました。