時の雫




ふと歩みをとめ
流れる風にこころ浸すと


ふわりと
なつかしい色をした
時の雫が舞い降りる


それは
いくつもいくつも舞い降りては
優しい記憶の輪を作り


いつしか
辿るわたしを
笑顔にしてくれる


誰もがたぶん
そんな時の雫を持っている


今の自分を
癒し
励まし
大丈夫だよ、と
背中を押してくれる


たとえささやかで
儚い雫であっても


こころの中から
なくなることはない


なくす必要もない


ひととき
笑顔を思い出させてくれる


それだけで
十分大切なのだから


てのひらに残る
雫がもたらした温みを
ふっと吹いて
空気に溶かし


そしてまた
負けずに歩いて行こうと
前を向く


そんな繰り返しで
いいんだ
きっと



壁紙素材