道を正す者

       ― 正義(Justice)


運命の天秤は
秩序と良心のもと
微妙なる平行を保つ


正から邪へ
真実から虚構へ
踏み間違えた道を進む時


裁判の女神の声は
おごそかに響くだろう


左手に委ねし天秤は
大きく傾き


高く掲げし右手の剣は
冷ややかな光を放つ


己が心の迷いを
人の裁きに任すなかれ


己が心の弱さを
人に断ち切らすなかれ


自分自身こそが
誰よりも冷厳たる陪審員であれ


倫理を問う神は
天上の雲間にではなく
己が胸のうちに住まうものなり


人が見逃した罪を
幸運と思うなかれ


心の素顔を映す鏡は
自分しか持ちえない


どんな姿が見えようとも
目をそらせば
真実が遠のくのみ


自分に恥じない道を
常に探し求めよ


かくも厳しい
正義と言う名のもとに
大いなる慈愛もまた
存在しうるのだと


いつか
穏やかな魂のうちに
気づく日が訪れんことを