少   女



あどけない瞳を向けて
少しはずかしそうに
でもくったくなく笑う
切り揃えた髪から日向の匂い


乾いた土と萌える緑と


何のためらいもなく
のぞきこんでくる
黒目がちな瞳はきっと
いろんな発見を待っているんだね


今日は何をみつけたの?
どんな楽しい事があったの?


思い出の宝箱は
私も持っていたはずなのに
                                                                         

みつめられて
思わず戸惑ってしまうのは
あんなにも
まっすぐなまなざしになれない
自分へのうしろめたさのせい


忘れてしまったものは何だろう


薄れてしまった色は
くすんでしまった輝きは
時の河のどのあたりに
沈んでいるのだろう
                                                          

なんだかちょっと せつなくて
さりげなく 視線をはずした
ごめんね


何も気づかず
少女は笑う
まぶしいほど無邪気に


いつの日か大人になっても
そのまっすぐな瞳のまま
笑っていてほしい
                                                    

大切なものを いっぱい
抱えながら


陽射しや風の匂いに
包まれながら


時があなたを
やさしく導いてくれますように



(写真提供 まさこさん)