静    焔



焔は静かに燃えていればよい
己の心の中だけで


余計な考えや
見せかけの誇りに捕らわれず


従うと決めた人の言葉を
まっすぐに聞けばよい


戦えと言うなら
全霊を賭けて打ち倒そう


諭せと言うなら
言葉を尽くして説得しよう


敵と言われる相手でも
心許せる友でも


ありのままの自分を
恥ずることなく向かい合う


持てる限りの力で戦うこと
自分と言う存在のすべてで
ぶつかって行くことが
戦場における最高の礼儀


だが


無闇に命を散らせることだけが
本当の勇ではない


もしも君よ


たとえ敵の大将であろうと
君の才を心から認め
惜しんでくれるなら


君にふさわしい新たなる道を
示そうとしてくれるなら


そして
その相手の目に
嘘や狡知が見えないなら


膝を折ることも
決して恥ではないと言うことを
覚えていてほしい


憎しみのためや
己が力を見せ付けるためだけに
戦うのだとしたら
それはなんと虚しいことか


清廉なぶつかり合いは
本物の誇りを生むはずだ


焔は
人に誇示するものではない


自分の選んだ道を照らすために


自分の生き様を見据えるために
心の奥底で
静かに燃えていればいいのだ


(※壁紙 香香さん)