散  華
                               
                                

焔(ほむら)のごとき紅き花
人知れず
この胸の奥深く息づく


これは
あなたが遺した想いなのだ


水が
高きから低きへと滑り落ち
堰きとめられ
逆流するかと思えた時


その対岸に
あなたがいたのだ


わたしに やわらかく
光を投げかけたのだ


そして
わたしの路は決まった


あなたの志を継ぐために


そのためだけに
わたしは
流されてきたのかもしれない


受け止めし紅の花は
風になびき
熱に震え
激しさに慄きながら


それでも
散り行くその日まで
色褪せはしないだろう


わたしは
燃ゆる花を抱きつつ
これからも
流れて行くのだ


滔々と


白刃のごとく
鋭く澄んだ水のまま


強く尊いあなたの遺志を
挫くことなく 旗と掲げて
ひたすら奔りつづける
この宿命(さだめ)を


そう生きるべく
天から選ばれしことを
いまこそ誇りと思う


いつか
遠き旅の果て
この指に
己が命の花びらを受くる時


わたしは微笑んで


透き通る流れに
鮮やかな紅を散らそう


濁ることなく生きたのだと
眼(まなこ)をまっすぐに向けよう


光の路を残せし人よ


あなたは
見届けてくれるだろうか


奔流と化したる
我が生き様を