きれいにみがいた
硝子のこっぷに


きらきら氷と
すみきった水


すこしつかれた
真夏の午後には


かわいたこころを
いやしましょう


雨粒みたいな
あせをかいて


きぃんとひえた
こっぷのなかに


からからから、と
涼しげなおと


からからから・・・


なぜか
なつかしいひびき


あれは
とおいとおい夏


のみかけの
らむねのびん


だれかにもらった
びー玉


すなはまでみつけた
しろい貝がら


まだちいさかった
手のなかで


やさしいおとを
たてていた


からからから・・・
カラカラカラ・・・


めをとじて


いとしい季節を
たどったら


ほんのすこし
かなしくなって


からからから・・・


こころのめいろを
涙のつぶが
ころがりおちたら


こんなおとが
するかしら


わたしはここ、と
だれかに知らせるように


ひかりのなかに
こっぷをかざし


無心に
おとをたててみる


二度ともどれない
とおい夏の


じぶんをそっと
よんでみる


からからから・・・


わたしの
こころは
まだ


きれいな
おとに
なみだする
ことができますか?

(壁紙素材)