音 楽



この小道はきっと
海へ続いている


だってほら
海が聞こえる


海が呼んでいる


気がついた時には
走り出していた


細い路地
先は見えないけれど


笛の音に
踊らされる動物みたい


わくわくと
息を切らせて


迷路の最後の扉を
するり、と
抜けたとたん


突然
開ける視界


キラキラ
飛びはねる陽射し


海・・・


宝石のような碧が
潮の香りが


波音が
身体中に押し寄せる


そう
海が聴きたかったんだ


こうして目の前に
海を見て
海に包まれながら


海の鼓動を聴きたかった
なんて贅沢な音楽


潮風をつかまえに
砂の上を駆け出す


ざぶ〜ん、と
見る間にひっくり返る
波のハンモック


放り出されて
また拾い上げられて


碧から白へ
白から碧へ


繰り返す
色彩の綾とりに
見惚れながら

  
思いきり
深呼吸


音楽に揺られる



(壁紙素材)