娘たちへ
おまえたちの
くったくない笑い声は
緑の木立や色とりどりの花に
ピチピチと煌く光のように
わたしを愉快にさせる
おまえたちが
ぷんとむくれると
小さなミツバチが
耳の周りで羽音をたてるようで
なんだかわたしは落ちつかなくなる
おまえたちが
ひっそりと流す涙
誰のためなのだろう
どんな想いに揺れているのだろう
わたしは
少し戸惑いながら
見守っているしかできない
自分の頬を濡らす涙は
自分の手で拭うものだと
きっと
おまえたちは気づいているから
一歩ずつ
でも確実に
おまえたちは
未来の扉へ向かって行く
時には立ち止まり
うっかり後戻りすることがあっても
そして
思いがけない速さで
駆けぬける場所に出会ったとしても
長い人生から見れば
それはたえまなく続く路
ひたすら前へ進む路
焦らずに歩いて行けばいい
おまえたちは日々
親と言う巣箱から
遠ざかっているのだろう
自分だけの空をみつけたいと
思ってもいるのだろう
わたしは
ふと心もとなくなる
おまえたちの
無邪気な笑顔を
たわいない怒りを
美しい涙を
こんなに近くで見ていられるのは
いつまでだろうと
ああ あれは
なんて幸せな瞬間だったろうと
振りかえり懐かしむ日も
さほど遠くはないのかもしれない
いつかおまえたちが年経た時
ひとりの大人として
わたしの思いに近づくのだろうか
同じように
少し切なく我が子を見守る時
親の誇りと寂しさを
いとしさと共に味わうのだろうか
娘たちよ
今はまだ
わたしの側でさざめく
可憐な星たちよ
どんな時も
明るく輝ける力を
自分の中に育ててほしい
誰かのやさしさに
やさしさで応えられる素直さを
忘れないでほしい
世界中探してもみつからない
他の何ものにも代えられない
おまえたちこそが
わたしの自慢の宝なのだから