夢   絃



ゆるやかに引かれる
その弓から
妙なる音色は紡がれる


息をのむほどに
なつかしく
あたたかく
哀しく


胸の奥共鳴させる
絃の響き
細く 低く 高く


目を閉じ
心を澄ませば


いつしか知らず
誘われて迷い込む
海を越えた異国の地


風青く香る草原へ
雅ゆかしき古都へ
鳥もまどろむ桃源郷へ


想いは流れ
憧れはまぶたに熱く


まるで眠りの底の
記憶を揺り起こすように


しばしの幸せなる忘我


ゆるやかなる白き弓よ
とぎれることなく
語りつづけよ


その妙なる音色に
まぼろしを映し出し