水の調べ



耳を すませて
わたしは探している


どこからともなく
流れてくる
かすかな音


胸の軋みから
湧き出る涙


こわばった指先を
癒して行くせせらぎ


虚しさや焦りで
ひび割れそうな想いを
そっと包む慈雨


わたしはたぶん


たくさんの水によって
生かされている


そのやさしさが
透明な手触りが


張り詰めて切れそうな
こころの弦を
なめらかに伝い
そっと ゆるめてくれる


流れ落ちてしまうからこそ
留まることができないからこそ


それは
次々と生まれくる


やわらかな
水のいのち


耳を すませて


まっさらな
子供のようなてのひらで


その調べを
受けとめたい