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今年の夏は短かった、と言えるのでしょうね。
気がつけば、強烈だった陽射しはやわらぎ、吹き抜ける風も涼しくなってきています。
この間、ふと空を見たら・・・あれ、もしかしたらうろこ雲?
空一面に、魚のうろこのような雲が。そうか、もう秋なんだ、と実感してしまいました。
そして夜になると、そこここから虫の鳴き声が聞こえてきます。
なんともしみじみしますねえ。

秋の訪れを感じる一番の決め手、みなさんは何でしょう?
私が「あ、秋になったんだ」とふいに思う決め手は、空気の匂いです。
それは、たぶん豊かに実った稲穂の匂い。実際に田んぼを見れば、見事に実っていたり、すでに刈り取られていたりと、視覚的にも納得できるわけですが、それよりも早く空気の中に、その匂いが流れてくる。
夏の陽射しを存分に蓄えて、黄金色に実った稲穂の匂い・・・香ばしさの中にどこか草の青っぽさが混じったような、思わず深呼吸したくなるようないい匂いです。

季節ごとに、空気の匂いは違ってくるのですが、中でも秋が一番豊かに香り立つような気がします。
実りの秋そのものの香りだからでしょうか。
もっと秋が深くなると、短い間ではありますが、金木犀の甘い匂いと言うのも印象的ですね。
冬を感じさせるのは、私の場合、たとえば焚き火のような煙の匂い。
田舎独特のものかもしれませんが、これけっこうあるんですよ(笑)
畑で枯れ草でも燃やしていたりするのかな。
きんと冷たい空気の中に、どこからか煙の匂いが混じって来る。それは素朴で暖かい火をも想像させ、しみじみと冬を吸い込んでいるような気分になります。
春は、少し湿ったような土と青い草の匂い。寒さから解放された大地の息吹き、と言う感じですね。
夏は陽射しに空気がからから乾くようで、あまり匂いを感じないかな(^^;
暑さで嗅覚が鈍くなってしまうのかもしれません。
もちろん、海の近くに行けば潮の香りはします。それとサンオイルやら日焼け止めやらの匂い、海帰りの人とすれ違った時にね(笑)

あ、これはあくまでも私の住んでいる田舎でのイメージです。
みなさんそれぞれに、住んでいる場所独特の季節のにおいがあるのではないかと思います。
季節のうつろいを、五感でしっかり味わう。それってきっと大切なこと。
特に、嗅覚や聴覚と言うのは、ある意味一番動物的と言うか、本能的と言うか・・・(^^;
無意識のうちに、ふっと感じ取っているんですね。そして、それが季節の記憶として刻み込まれる。
そんな五感をきちんと鍛えておきたいものだと思ったりします。

さあ、秋の到来です。豊かな秋の香りを満喫しましょう!


平成18年9月1日
涼      
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