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2月・・・

2月の花と言えば、やはり梅。
まだ寒さ厳しい空の下、ゆかしい香りを放つ梅の花は、なんとも風情があります。
最近、あちこちにちらほらと咲き始めているのを目にします。
うちの隣の庭のは、まだなんですけど(笑)

去年の暮れ、お正月の生け花用の花を買いに行った時、お店の方が梅の枝を数本おまけしてくれました。
けっこうごっつい枝ばかりで、細いところを途中から切って生け花に使ったりしたのですが、残りのはどうしよう(^^;
結局水につけたままにしてしまっていたのですが、母がそれをなんとか切って花瓶に生けておいたようです。
家の中は外より暖かいので、ぽつぽつと咲き始め、満開になり・・・部屋にいい香りが漂うようになりました。
なかなかいい感じです(笑)

梅の花は、よく和歌に詠われていると聞きます。
手近なところで、百人一首を調べてみました。
でも・・・う〜む、梅の花って出てこない(^^;
百人一首の中には「花」と言う言葉はいくつか出てきますが、たいていは桜を指すようです。
有名な小野小町の「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」は、むなしく色あせてしまった桜の花を、我が身に置き換えて嘆いている歌ですし(^^;
他にも、紀友則の「ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ」も、春の日に桜の花が散る様を歌っています。
はて、梅の花を詠んだ歌ってないものかしら・・・と探したら、ようやくありました!(笑)

 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける
                        (紀 貫之)


   さあ、人と言うものはどうでしょう。その心は私にはわかりません。
   故郷の地では、梅の花だけが昔と同じ香りで匂っていますよ。

移ろいやすい人の気持ちと、変わらず香りを放つ梅とを対比させているのでしょうか。
ここの「人」と言うのは、紀貫之が久方ぶりに訪れた、かつて長谷寺参詣の常宿にしていた家の主を指しているそうです。
相手から疎遠の恨み言を言われ、それに対して「心なんてわかりませんよ」とこの歌で応じたとのことですが(^^;
響きがやわらかく美しいので、わりと好きな歌だったのですが、こんな風にちょっと皮肉った歌だとは気がつきませんでした(笑)

桜は散る様、色あせる様すらも美しく絵になるのに比べ、梅のよさは何と言っても芳しい香りなのでしょうね。
いにしえの歌人たちも、さすがにそれをよく知った上で詠っているのだなあとあらためて思いました。
桜ももちろんすばらしいのですが、香りのいい花が好きな私は、梅はとにかく気になる花で、毎年咲くのをとても楽しみにしています。


平成17年2月1日
                                                        
涼    
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