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如月2月・・・

遅れ馳せながら、ようやく見て来ました「ラスト・サムライ」
ちょうど渡辺謙さんのアカデミー助演男優賞のノミネートもあり、これはやはり見なくては、とちょっと焦ってしまったりもして(笑)

見た人の感想を聞くと「泣いてしまった」、「日本人であることを誇りに思った」などなど、みなさんかなりの感動を味わったようなので、期待持てそうだなあ、くらいには考えていたのですが(^^;
おおよそのストーリーも、誰がどんな役なのかも、ほとんど予備知識のないまま見ました。

背筋がピンと伸びるような、そんな映画でした。
トム・クルーズ演ずる、かつて南北戦争の英雄であったオールグレン大尉。
そして渡辺謙さん演ずる、最後のサムライたちの長である勝元。
いずれも、時代の変化に乗りきれないと言う点では似ているのかもしれません。
最初は敵同士として出会った二人の間に、いつしか国も立場も超えた信頼の絆が結ばれて行きます。

ここから先、ちょっとネタばれになってしまうかと思います、すみませんm(__)m
とにかく、まず圧倒されたのが、日本に来たオールグレンが初めてサムライたちを目の当たりにする瞬間。
それは鬱蒼とした木々に囲まれた山の中、異様なほど張り詰めた空気、うっすらとかかるもやの向こうから、馬に乗ったサムライたちが現れます。
その姿は、まるで天から降ったかと思われるほど神々しく、しかも屈強に見え、思わず感嘆してしまいました。

その後も、このサムライたちが行軍する様は、なんとも言えない迫力と凛然たる誇りに満ちていて・・・
滅び行く存在であることは、たぶん自分たちが一番わかっているのかもしれない。けれど、決して自らの誇りを捨てて屈したりはしない。最後まで戦うのだと言う姿勢。
その光景に胸が熱くなるのは、やはりこれは日本人のDNAと言うものなのでしょうか(笑)
サムライたちが暮らす村の人々の、素朴にして厳粛な生き様も美しく描かれています。
誰もが、男も女も子供達も、毎日自分のするべきことをきちんとこなし、つつましい中にも礼節をわきまえ、精進を忘れない。
そんな暮らしに、オールグレンが戸惑いながらも惹かれて行く様子にも、共感を覚えます。
たぶん、日本と言う国は、昔はあのように生きていた人が多かったのかもしれない。
決して裕福でも贅沢でもないけれど、毎日の暮らしを天に感謝し、自分を向上させるべく何かをしっかりと持っていたのかもしれない。
そう思うと、今の自分を振りかえって、恥ずかしいような気持ちになりました。

そして、あの映画を、なぜ日本ではなくアメリカが作ったのだろうか、と言うようなことも考えてしまいました(^^;

去年、中国のチャン・イーモウ監督が、中国古来の伝統を世界に伝えたいと思い「英雄」を作ったように、この「ラスト・サムライ」も、日本が作っても不思議はなかったでしょうに。
もっとも、あれだけの大きなスケールの映画ですから、やはりハリウッドでなくては無理かな(^^;

考えてみれば、自国ではない国の伝統を、あんなにも気高い称賛の対象として映画にするなんて太っ腹ですねえ(^^;
聞くところによると、監督さん始め、主演のトム・クルーズもサムライ魂に大変心惹かれているとのことですが。
逆に言えば、自分の国のことではないだけに、思う存分理想化して、美しく描くことができたのかもしれません。
もし日本人が作ったら、もっとリアルな現実、醜さなども描いてしまったりするのかな(^^;

ともあれ、日本と言う国の伝統、日本人の気質、生き様等を、あらためて考えさせられてしまうような映画でした。
美しい風景、素朴な暮らし方、正義と信念を貫くための戦い、毎日の鍛錬、礼儀、思い、決意、別れ・・・様々なシーンで、思わず涙が出ていることに何度も気づきました。
自分は、はたして日本人として誇りを持って生きているのだろうか、と自問しつつ・・・


平成16年2月1日
                                                        
涼    

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