Message for you       

                                 
今年の夏は、いささか変な天候のようですが、みなさん、夏バテなどしていませんか?
ここ数年、とみに夏に弱くなったと自覚している私(^^;
去年は、大幅に体調を崩し、「夏に無理をしたり、ストレスをためたりしてはいけない」と痛感したものです(笑)
なのに、今年も懲りずに(?)、またもや夏に体調を崩しました。
どうやら、本格的に夏が苦手になったようです(^^;

体調が不調の時は、気分的にも沈みますね。
こんな時は、すべてにおいてパワーを消費しなくてすむものを好むようになります。
胃に優しい食べ物、目に優しい色あいの花、耳に優しい音楽、気持ちがほっとするような小説・・・
元気をつけるために、エネルギッシュなものを、と言うのは、あまりよくないようです。
弱っている時は、まず負担のかからない穏やかなものから。

通勤時に聞くCDひとつを取っても、元気な時とそうでない時とは、聞きたいものがまったく違ってきます。
ちょっと疲れている時、元気が出ない時、気分が沈みがちな時、ここ数年そういう時に聞くのは決まって、昔懐かしいカーペンターズ。
う〜ん、若い方は知らないですね、きっと(笑)

カーペンターズ ――― 70年代に大活躍した、兄リチャードと妹カレンの兄妹デュオ。
でも、「シング」「イエスタディ・ワンス・モア」「トップ・オブ・ザ・ワールド」などは、すでに誰もが耳にしたことのある、ポピュラーソングと言えるのではないでしょうか。
親しみやすく、軽やかなメロディは、年月を経ても名曲を呼ぶにふさわしいと思います。
とは言え、私自身は昔は特別興味があったわけではなかった。もちろん、よく耳にして知っている歌は多かったですが。

あの頃は、カーペンターズの音楽は、あまりにも親しみやすすぎ、耳触りがよすぎて、さらりと流れていってしまう感じ。
いい曲だけど、ドラマチックではないし、普通っぽくて物足りない、なぁんて生意気なことを思っていました(^^;
子供だったのでしょうね(笑) 
もうちょっと刺激のある音楽が聴きたい時期だったのかもしれません。
その後も、私の中でのカーペンターズはますます、誰もが知っている当たり障りのないスタンダード曲のような位置づけになっていきました。
時折、耳にすれば「懐かしい」とは思うけど、それだけだった。

そのカーペンターズを、あらためて聞いてみたいと、ふと思ったのは数年前。
なぜ、急にカーペンターズが聞きたくなったのか、さだかではないのですが(^^;
もしかしたら、落ち込んでいる時だったのかもしれません。
聞きたいと思ったのは、しんみりとした歌だったと記憶していますから。
とりあえず、知っている曲がみんな入っていそうな、ベストアルバムを買いました。

久しぶりに聞くカーペンターズ。なんと優しく耳にん流れ込んできたことか。
え、こんなによかったっけ、と感激したりして。
仕事に行くのが、ちょっと憂鬱な日は、「雨の日と月曜日は」を聞きたくなります。
「雨の日と月曜日は、いつも憂鬱になっちゃう」と言う歌詞が、やけに身にしみて納得できてしまったりして(笑) 
そう、こんな気分の時があるのよ、と自分に言い聞かせ、落ち着くことができるのです。

そして、その後に流れる「トップ・オブ・ザ・ワールド」や「シング」が、いったん沈んだ気持ちを、穏やかな明るさで引き上げてくれる。
この「穏やかな明るさ」と言うところが、ミソなのです。
決してうるさ過ぎない、はしゃぎ過ぎない、やわらかな明るさ。
昔は、耳触りよすぎるとさえ思えた、爽やかな明るさが、不思議なほどすんなりと、心騒がせることなく、しみ込んでくるのです。

カレンの歌声は、あっさりとしていながら、深みがあり、さりげない優しさと穏やかさに満ちています。
しんみりとした歌の時には、哀愁を漂わせ、楽しい歌の時には、軽やかに弾み・・・
でも、不思議と暗すぎも明るすぎもしない感じなのです。
どこか胸の奥底に、一本のしっかりと温かい琴線があって、それが曲に合わせて、穏やかに震える。そんなふうにさえ思えてきます。

カレンより、派手な上手さを持ったヴォーカリストも、たくさんいるでしょう。
そう、カレンの歌声は決して派手には聞こえない。だからこそ、どんな時でも自然に耳 に流れ込むのです。
こんなに素晴らしい歌手だったのかと、あらためて感嘆の思いにかられました。
70年代、ビートルズのポール・マッカートニーは、カレンのことを「世界最高の女性ヴォーカリスト」と評したそうです。

これほどの歌声を持つカレンですが、30代前半で突然の死を迎えました。
あの当時、カレンが拒食症だと言う噂があり、それが死因に関係するのではないかと聞き、驚いたものです。
あれほど実力も人気もあり、素晴らしい歌を生み出していた女性なのに、私生活は幸せではなかったのだろうかと思ったりも・・・
真実のところは、よくわかりません。
でも、長い時を経ても、少しも色あせることのない、深く穏やかな歌声を、この世界に残してくれた。そのことに、今は感謝したいと思います。
カーペンターズの歌の素晴らしさに、ようやく気付くことができて、本当によかった。
人は、年を重ねて気づくことも、たくさんあるのですね。

まだ夏は始まったばかり。体調をしっかり保てるか、気分がめげたりしないか、あれこれと不安はある私ですが、そんな時は、カレンの歌声に励ましをもらいたいと思います。

みなさんにとっての、心を安らげてくれる歌は何ですか?
よろしかったら、教えて下さいね。
そして、どうぞ良い夏を!


平成21年8月1日

                                                          
涼       
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