季節の扉



胸の奥が
小さくきゅっ、と鳴るような
人恋しさと懐かしさ


季節と季節の
境目辺りの夕間暮れ


どこから、とも
どこまで、とも
さだかでなく


過ぎ去る季節の名残と
巡り来る季節の先ぶれが


曖昧に混じり合う
そんな空の色


いつのものとも
わからない記憶が


ゆらり立ちのぼり
景色に重なる


ねえ、覚えてる?と
問い掛ける声は
誰のものだろう


また
きゅっ、と
切なさが鳴る


繰り返し
開いては閉じる
季節の扉を


数えきれないほど
くぐっても


やはり
わたしはこうして


自分の胸の奥が鳴る音に
足を止めるのだろう


切なくて
なつかしくて
人恋しくて