薫る花



薫る花が好き


花びらの鮮やかさよりも
わたしを惹きつける


透き通った空気の中の
あえかな存在


ほろほろ
風に揺られる水仙の香り


さやと
空を染めて行く白梅の香り


ぽかぽか
   陽射しにやわらぐフリージアの香り


ひっそり
闇を惑わす すいかずらの香り


きゅんと
雨に滲んだくちなしの香り


季節が巡り来るたびに


ひとしずく
また ひとしずく


胸の奥の小瓶に
花の記憶が落ちる


目を閉じれば満ち溢れる
なんて清爽なやすらぎ


芳しい道しるべのままに


わたしは
花の在りかをたずね歩く


薫る花よ


さあ
わたしをそっと
手招いておくれ


涼やかな
その微笑みで


(壁紙素材)