女   帝



これは
自ら望んだ路なのか


わたしにはわからない


心ない歯車が
周りのすべての運命を
巻き込んだ時


わたしには
迷うひまなどなかった


手近にある
一番確かなものを
掴みしめたにすぎない


棘(いばら)の路と
覚悟を決め
ひたすら進んだ末に


思いもかけぬ玉座が
待っていようとは


しかし


優美な輝きの下には
なんと幾多の犠牲が
眠っていることだろう


そして
この栄華を
我が血筋で飾るためには


これからも
戦わねばならない


わたしの大切な宝は
まだあまりにもかよわいのだから


父よ


これは
覇道なのだろうか


今わたしは
誰よりもあなたに似た自分を
ひしと感じている


かつて
あなたに向けたと同じような
醒めたまなざしで
自分の心のうちを覗いている


立たされた場所のあやうさを
肌を射すような孤独を


あなたもおそらく
黙って背負っていたのだろう


今なら
皮肉なほどそれがわかる


それでも
負けまいと思うのは


やはりわたしが
あなたの娘だから


どんな足跡を残そうと
決して悔やみはしない


きっぱりと前を見据え
わたしは目の前の路を進もう


誰よりも
心強き皇(すめらぎ)として