初    春



新しき年の始まりを寿ぎて
我 この樂の音を奉らん


瑞雲より降り来たる
妙なる光の天女


そそと吹く風に
唐衣の袖ひるがえし
いざ ゆるゆると舞ひたまへ


ほころびたる枝先より流れしは
芳しき花の香


初春の卦を見立てつる君は
うすくほほ笑みて
吉と告ぐ


めでたきかな
慶ばしきかな


我の奏でる笛の音に
いつしか宿りし祈り


清々と
京の空に冴え渡れ


この良き日の
永く続かんことを


(イラスト よもぎさん)
『EL Dorado』