春の想い



晴れやかな空の中
風が咲く


やわらかな風の中
光が咲く


おおどかな光の中
花が咲く


春の息吹を浴びた枝に
春の花々が咲く



清らかな辛夷(こぶし)
ふくよかな木蓮
ほがらかな連翹(れんぎょう)


春の恵みを吸いこんだ土にも
春の花々が咲く


たくましいたんぽぽ
つつましいすみれ
ほほえましい菜の花


そして
見渡す風景の中


ちらほらと
桜がほころび始める


もうすぐ
山も野も街も


ふわふわした薄紅の
たくさんの綿雲に包まれる


空に映え
風に揺らぎ
光に彩られる


数知れない
桜色の綿雲たち


幾重にも咲き競い
連なり
引きたて合って


春一色に
空気を染めて行く


すべてが鮮やかに息づく
かぐわしき季節


こんな春の中で
あなたを想うことの
なんて甘やかな喜び


涙ぐむほどに
せつなささえ煌くのは
なぜだろう


かすかに花が頷くたび


あなたの微笑みごと
胸に染みこむのは
なぜだろう


春はいつも
いとしさを蘇らせる


だからわたしは
春の中で
花々に囲まれて


ずっとずっと


あなたを
想い続けていたい