紅   蓮



炎が見える


我が行く手に
立ちふさがらんとする
すべての障壁を呑み込む
真紅の火焔


大地も軍も人も
容赦なく舐め尽くす


なんと言う色だ


牙をむき
猛り狂う龍のごとく
火の帯が広がって行く


その様を
熱にうかされながら
みつめ続ける


炎を生むは我なり


我が望みは
胸の奥で火種となり
飽くことなく膨らみ続ける


次なる望みめがけて
飛び火する


それは
業火と見まごうばかりの激しさで
我に触れるものすべてを
巻き込んで行くだろう


乱れし世に必要なのは
正統なる王者か


それとも
力極めたる覇者なのか


答えは
天が下せばよい


我はただ
熱情のままに
目の前の道を行くのみ


いつか
この炎が弱まろうと


我自身が炎に焼かれ
灰となろうと


読めぬ未来に怯えるなど
愚かしいこと


見るがいい
なんという美しい空だ


立ちのぼる炎よ
跳梁する真紅の鳥よ


目も眩むばかりに
我が命運を彩れ