2003年04月11日(金) レゴラスの困惑 エルフ、その不思議な種族。 誰かに殺されるか、自らの嘆きで自殺しない限り、ほぼ不老不死なのだそうだ。 なんとも身軽で優雅、視覚、聴覚に優れる・・・だからお耳がとんがっているのね(笑) 言葉を使わなくても、意志疎通ができると言うけど、これは誰でもそうなのかな? 映画ではガラドリエルやエルロンドは、それができそうだけど、レゴラスがその特技を披露するシーンはない。 とにかく、信じられないくらい長く生きていて、しかも不老だからいつまでも若々しく、おまけに精神的、体力的にも優れているらしい。これじゃ、まったくパーフェクト、欠点がないみたい。 でも、それにも関わらず、「指輪物語」の中のエルフは、どことなく哀しげで儚げに描かれる。「エルフの時代は終わった」と言う。 不老不死、人間には夢のようなことで、だからこそ憧れるのだろうけれど、はたしてそれは幸せなことなのか。 少なくとも、エルフ自身はそれほど感じていないように思う。と言うか、そういう運命なのだから、そのまま受けとめるしかないのかな。 闇の森の王子、レゴラス。エルフの例にもれず、美しく軽やかで自然を愛し、しかも弓矢の腕はエルフ一だそうだ。 どちらかと言うと、飄々とした雰囲気。エルフの持つ不思議な哀愁のようなものは、この王子からはあまり感じられない。 いつも仲間たちの危機をいち早く察し、戦いにおいては抜群の腕で頼りになる。 そんなレゴラスの印象的なシーン。 ガンダルフがモリアの闇の底に落ち、他のみんなは命からがら逃げ延びる。 誰もが、ガンダルフの死にショックを受け、泣き崩れている中、レゴラスは悲しみより困惑、混乱を表している。 不死のエルフだから、死と言うものに直面したことはなかったのか。いきなり目の前からいなくなった仲間が、死と言うものに見まわれた、そのことをどう受けとめていいのかわからない、と言った表情を見せる。 リーダーとしての責任感から、みんなを立たせ、進ませようとするアラゴルン。 「みんなを立たせろ、レゴラス!」との言葉に、ますます混乱したように、のろのろと仲間のもとに近づく。が、無理やり立たせようとする気力はなさそう。 まさに困惑のさなかにいる状態。 そして、アモン・ヘンでのボロミアの死のシーン。 ここでもレゴラスはまた不思議な表情をする。今度は二度目なので、前ほどの混乱はない。むしろ、「ああ、またなのか」と言った、戸惑った子供のような目をする。 「どうしてなのだろう」と自問しているのか、はたまた人間の命のはかなさに驚いているのか・・・ 同じくボロミアの死を目にしたギムリは、悲しげに俯く。こちらは、戦士の死の無念さを、悲しさを知っている者の表情。 このふたりの対比が興味深い。 映画「二つの塔」では、アラゴルンの生死が不明になった時、「死者はおいて行け」と命ずるセオデン王に、思わず激しい怒りの目を向ける。 ヘルム峡谷に攻め込んでくる敵のあまりの多さに、アラゴルンに向かって「勝ち目がない! 全員死ぬ!」と珍しく取り乱す。自分自身の死、そして仲間の死、多くの戦士たちや、女子供たちの死・・・それらすべてが、のしかかってくる恐怖に捕らわれたのだろうか。 いつも冷静な態度で、自信満々に戦いに望むレゴラスだからこそ、この弱気になるシーンは新鮮に映った。 すぐに落ちつきを取り戻し、アラゴルンに詫びる素直さもかわいいし(笑) 戦いのシーンでのかっこいい姿はもちろん、思いがけない心の隙が見えるシーンと言うのも、大好きだったりする。 |
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