微  雨



しんなりと
絹糸のごとき雨


やはらかく頬に
かそけく髪に


気配すらも残さず
降り来ては


雫にもなれず
消え行く


ほんのりと
明けし空


しめやかに
かすむ風景


露はらむ
緑の匂い


受け止めようとも
この手には
けして留まらぬのに


つと佇めば


紗をかけるように
音もなく
わたしを包む


こんなにも
儚き水の手触り


しんなりと


やさしき
雨のふところ





     



(写真素材)