「ロード・オブ・ザ・リング」
〜 二つの塔 〜

映画


「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」、前回の「旅の仲間たち」の映画や原作本のおかげで、登場人物もすっかりお馴染みになったせいか、なんだかなつかしい仲間に合った気分です(笑)

スケールの壮大さ、目の離せない展開は予想通り。CGキャラのリアルさもすごいですし、戦いのシーンの迫力は目が回っちゃうくらい(笑)
でも、それ以上に今回感じたのは、旅の仲間たちのより深くなった人間性・・・あ、人間以外の種族もいますね(^^;
一人一人が抱える旅の重責や、強大化してくる闇の勢力。困難に立ち向かう姿勢の中に個性が浮き彫りになります。

指輪所有者であるホビットのフロド、今回はかなり指輪の重圧に苦しめられ、見ていてかわいそうになってしまいます。
指輪をつけねらう奇妙な生き物ゴラム(この醜悪さと哀れさも絶品ですが)にかける情け・・・徹底的に警戒するサムの忠告を聞きながらも、その哀れさを見捨てることができないのは、指輪を持つ者だからこそわかる苦しさと、生来のやさしさゆえなのでしょう。
その情けが、後にどんな展開を呼びおこすのか、それは第3部に持ち越し。ちょっともどかしいですけど(笑)

あくまでもフロドに忠誠を尽くすサムも、とてもいいです。常にフロドを気遣い、いたわり励まし、ピンチからも救います。
逆にフロドに助けられることもありますが(笑)  このふたりの絆の強さは感動的でさえあります。小さなホビットが助け合う姿に、なんだか切なくなっちゃう。
純粋さと勇気と、でも時折どうしようもない弱さを見せるフロドと、朴訥でたくましい、けなげなほどの誠実さを持つサム。
まさに、お互い無くしては旅は続けられないでしょう。

そして、アラゴルン、レゴラス、ギムリの勇者3人組(笑) 戦いでは圧倒的な強さを見せつけてくれる3人。今回もかっこいいです!
アラゴルンは、強靭な意志と冷静な判断でみんなを引っ張って行くリーダー。とても静かな男、と言う雰囲気なのに、戦いではめちゃくちゃ強いですねえ(笑)
エルフの住む裂け谷に残してきたアルウェン姫との愛が、時にアラゴルンを力づけ、また時には悩ませます。

「二つの塔」では、そんなアラゴルンを慕う、もう一人の女性も登場。人間の住むローハンの王セオデンの姪に当るエオウィン姫。絶望的な状況の中に、突如救世主のように現れたアラゴルンに心惹かれます。
前回登場した美女ふたり、アルウェン姫と女王ガラドリエルは、どちらもさすがエルフ(笑) 神々しいほどの圧倒的な美しさを備えていましたが、このエオウィン姫は人間なので(?)、親しみやすいかわいらしさを持った女性。もちろん、それだけではない強さもあるのですが、それが発揮されるのも第3部に持ち越し。
ともあれ、いい男はモテるのですね(笑)

さて、もう一人のいい男、エルフのレゴラス。こちらはなぜかあまり女性には縁がないようで(^^;
百発百中の弓の腕前だけでも、十分すぎるくらいかっこいいのに(笑) 戦いのシーンでは目一杯その魅力を見せてくれます。思わず「おおっ〜!」と感嘆ものなのが、クライマックスの壮絶な戦いのシーンでの、スケボー(?)乗り。敵の群がる細い坂道を、どう見てもスケボーにしか見えないもの(笑)に乗って、軽やかに下りながら矢を放つのです。エルフならではの身軽さとは言え、かっこよすぎ!

でも、それよりも今回私が印象に残ったのが、その戦いに突入する前のシーン。
敵の数は味方の30倍以上。どう見ても絶望的な状況に、今まで常にクールに戦いに望んできたレゴラスが、珍しく動揺を見せ、「勝ち目がない」とアラゴルンに食ってかかります。
おそらくエルフとして生きてきた長い長い年月の中でも、最大のピンチに思えたのでしょう。ほとんど不老不死と言われるエルフにとって、まさに自分が死と向かい合うことは、想像できないようなことだったのかもしれません。
もちろん、すぐに本来の冷静さを取り戻し、いつも通り超然と戦いに望むのですが、その一瞬の感情の爆発が、妙に新鮮に思えたのは私だけでしょうか(^^;

そして、前回はひたすら偏屈なドワーフに見えたギムリ。今回はもっぱらユーモラスな役に徹しているようです(笑)
ただでさえ、エルフや人間に比べると小柄なドワーフ。その身体的に不利な点を笑いに置き換えて、シリアスな場面にもほっと一息つかせてくれます。
一番いいなと思ったのは、打ちひしがれているエオウィン姫に、わざとドワーフのことを面白おかしく話し聞かせるシーン。そのユーモラスな話しぶりに、落ちこんでいたエオウィン姫も思わず笑い出してしまいます。なんとも、ほのぼのとさせてくれたシーンでした。

このギムリ、どうやら美女に弱いらしい(笑) 前回はエルフの女王ガラドリエルに、ほとんど一目ボレ状態(^^; 実は原作にはあって、映画では省かれてしまったシーン(スペシャル版のDVDには入っていましたが)、ガラドリエルから旅の仲間への餞別のシーンがあるのですが。
ここでギムリがガラドリエルにねだったものは、なんと彼女の美しい金髪一本! その時のことをうっとりと回想するギムリにレゴラスが「それでどうなった?」と聞くと「3本も下さった」と嬉しそうに語るのです(笑)
映画では見られなかったのですが、ギムリのかわいさ(?)を表すいいシーンだと思ったものでした。

第1部の最後で、オークたちにさらわれてしまったホビットのメリーとピピンも、知恵と機転をきかせてがんばります。
エントと呼ばれる森の木の番人たちに向かって、現状の危機について熱く語るメリーも、その様を実際に見せるために機転をきかすピピンも、すでに気楽なだけのホビットではない、成長した勇敢さを感じさせます。

私の中で、旅の仲間たちは、すっかり定着してしまっています。
次回の完結編まで、また一年待たなくてはならないのはつらいところですが。これだけの壮大なドラマです。出し惜しみも仕方ないかな(笑)
それまでに、もう一度原作を読み返してもいいなあ、と思ったりしています。


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