「色の名前」

近江源太郎 監修
ネイチャー・プロ編集室
構成・文
角川書店

たまたま別の本を探していて、ふと目にとまったのがこの本でした。表紙の美しい写真と「色の名前」と言うタイトル・・・思わず手に取ってぱらぱらと中を開いてみました。

色と言うのは、いったいどれくらい種類があるものなのでしょう。
ひとことに「青」と言っても、この本によれば「空色」「スカイ・ブルー」「ムーンライト・ブルー」「ミッドナイト・ブルー」「ストーム・ブルー」「水色」「アクア」「紺色」「インディゴ」「露草色」「群青色」「コバルト・ブルー」etc・・・ なんとも数え切れないほどの種類が載っているのです。

この本の素敵なところは、ただ色の名前と色見本があるだけでなく、それぞれの色を表しているすばらしい写真がそのページを占めているところです。
構成は「虹の章」「空や水や火の章」「花の章」「草や木の章」「実と実りの章」「染め色の章」「土や石の章」に分かれています。
さらにひとつひとつの色の名前の由来や、他の呼び名、中国での呼び名等まで載っています。

たとえば、「ムーンライト・ブルー」だったら「月光をイメージするような薄い青」と言う説明があって、「中国では月白色(ユエパイスー)」とあり、「清の時代の有名な小説『紅楼夢』にも登場する色名」と続きます。その『紅楼夢』の中の一節まで載っていると言う、なんともサービス精神旺盛(笑)
そして、まさに月が照っている深いブルーの夜空の美しい写真が添えられています。
「ムーンライト・ブルー」の説明だけでも、なにやらとても美しいイメージが浮かび、ほっとため息が出てしまいます。
写真も自然現象、虹や空、海、水、雪や炎、そして動物や鳥たち、花、実、そして鉱物など、実にさまざまで目を楽しませてくれます。ぱらぱらとめくっているだけで、万華鏡のような色の世界に惹きこまれてしまいそう。

この本と同じシリーズに「空の名前」「宙の名前」があると知り、ああなるほど、と納得してしまいました。それでこんなにも素敵な写真が載っているのだと・・・
どちらもよく本屋さんで見かけ、心惹かれながらまだ買ってはいなかった本でした。シリーズ第3弾がこの「色の名前」と言うわけです。

私たちの地球には、そして宇宙には、たくさんの微妙に違う色が存在する、しかもそれぞれ素敵な名前を持って。そんなことを思うと、なにやら気持ちが豊かになるような・・・ こういうのは心の贅沢なのかもしれませんね(笑)
いつも手元に置いて、何かの折にふれ、めくってみては楽しみたい、そんな本です。


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