明日への炎



「明日 考えよう」


燃えさかる夕日の中
ひとり立ち尽くしていた
スカーレット


憶えてる?
「風と共に去りぬ」
今も鮮やかに目に浮かぶ
あのラストシーン


どんなに打ちひしがれた
夜の向こうにも
新しい足音は響いてくる


唇をかんで
涙を晒す今日は
過ぎ去ろうとしている


「明日 考えよう」


そう言いながら
佇むシルエットを包んでいた
夕日と大地


何事にも動じない
暖かくおおらかな自然


かかえきれなくなった
悲しみや切なさ
孤独や痛みを


音のない炎をあげながら
燃やしてくれる夕映えの色


それはやがて
はてしない地平線で
やわらかな薄闇の帳(とばり)とすり替わる


そうだ
明日 考えればいい


疲れきったこころは
このまま
眠りの水底へ解き放とう


たとえ
今日の自分が
立ち止まることしかできなかったとしても


新たなる時は巡り続ける


いつか
たとえわずかでも
前に進めるかもしれないのだから


明日 考えよう


明日の自分を信じて
  任せてみよう


静かに傾いて行く
空いっぱいの夕日を思う時


わたしはきっと
顔を上げて
その意味をかみしめる


これは
明日への炎


くじけずに
前を向いて
もう一度歩き出す


明日のための
勇気を生み出す 炎