《スマイルツリーさんへ》
 いつもありがとうございます。


秋の蝶



ふわり ふわり
たよりなげに飛ぶ
秋の蝶


穏やかな午後
透明な陽射しの中


それでも空気は
ひんやりと
羽をふるわせるから


まるで
炎に引き寄せられるように
赤い花にとまる


春の蝶は可憐に
夏の蝶はあでやかに
その生を誇っているのに


秋の蝶は
なんて儚く見えるのだろう


赤い花は
おまえを暖めてくれるの?


生まれる季節を
選ぶことはできなくて
ただ外気に触れたとたん
ひたすら羽ばたくだけ


風よ
ぬくもりを奪わないで


夜よ
容赦なく降りてこないで


時のはざ間に
取り残されたような秋の蝶


花が色あせるより早く
どうか
その羽が凍えることのないように


(写真 スマイルツリーさん)