
暁
![]()
星々の光は
果て無き宇宙(そら)の彼方より
幾億もの
うたかたの瞬きを
繰り返し繰り返して
生まれ出づるものなり
その光をみつめる
人々の生のなんと儚きか
時は倦むことなく
夜を朝に
闇空を暁にすり替え
人々を眠りから覚まさせ
一日の営みを促す
笑い
泣き
喜び
怒り
愛し
憎み
幾多の心から生ずる
彩なる焔の乱舞にも
![]()
時の歩みは捕らわれず
ゆうるりと
そしてまた
素知らぬふりで
紫紺の薄幕が降りて来る
深々たる夜の闇に
蠢く魔の影を
たとえひとつたりとも
昇華させんと
我もまた
色濃き帳(とばり)の中に
踏み出すものなり
流れ行くべき
時の河の岸辺に
燠火のごとく
取り残されし
哀れなる魂魄たちよ
今こそ
我が呪に封じられ
天の極みにて
清らなる星の一片となれ
![]()
東の空に
暁の気配射す時
過ぎ去りし日々の
怨念も
哀哭も
無情も
薄れ行く星々と共に
すべて解け去り
名残の陽炎が
ゆらめくばかり
雲海を超えて姿を現す
おおいなる陽が
この世を浄土の如く
照らし出して行くだろう
神々しきまでの暁
天地の目覚め
新しく巡る春を寿ぎ
永久(とこしえ)の日々の平穏を
心より祈らん
![]()
※ この詩は こしろ毬さんの描かれたイラスト
『暁のかげろう』のイメージをもとに
2004年の夜明け“安倍晴明”風として
書かせていただきました(^^;
イラスト掲載を承諾下さったこしろさんに
心よりの感謝を申し上げますm(__)m