愛  国



この乱世に旗を揚げ
流れさすらって
もうどれくらいになるのだろう


わたしはいまだに
ささやかな国しか持たない


だが
わたしには
苦難を共に背負ってくれる
心近しい者たちがいる


義勇を誓い
故郷を離れ従いし者


幾多の巡り合わせを越えて
我がもとへ駆けつけたる者


そして
平穏なる草庵を捨て
天下を鎮める策を胸に抱きし者


すべてのまなざしが
わたしを守らんとし
わたしを立たせんとする


わたしは感謝をこめて
おまえたちを友と呼ぼう


たとえ
城は小さく民は少なくとも


わたしを取り囲んでくれる
おまえたちすべてが
領土より何より大切な
わたしの宝なのだ


己の器が
どれほど頼りなくとも


己が前途が
細き道であろうとも


嘆くまい
投げ出すまい


おまえたちと歩むことが
わたしの果てない戦いに
かぐわしい夢を添えてくれるから


いつか
おまえたちの手にした杯に
歓喜の酒を満たし


おおいなる天のもと
ほがらかに酔わせんと
それが我が望み


愛しきものたちよ


おまえたちこそが
わたしの国そのものなのだ