おつかい

 ミリアリアはため息をついた。
先ほどから、2人組みの男にからまれている。いつものことなら、あっさりと引き下がっているはずだ。しかし、ミリアリアがどんなに冷たい態度をとっても、毅然とした言葉を投げても、相手には伝わらないらしい。
 そうはいっても、ここは離れられない。なぜなら、ここは待ち合わせの場所だから。
(しつこい・・・)
 小さなため息をついたときだった。男の手がミリアリアの腕を強引に掴む。
「なっ!離して!」
「いいじゃん、俺達といいところ行こうって」
「そりゃー、できない相談だな」
 男の手を払いのける手が横から伸びてきた。見慣れた、浅黒い腕。
「・・・ディアッカ・・・」
「ゴメン。遅くなった。ちょっといろいろとあってさ」
 振り返り、軽くウィンクしてくる。・・・相変わらず、この男も軽い・・・。
「こんな奴やめておいて、俺達と・・・」
「ああん?喧嘩売ってんの?・・・買うけど?」
 ディアッカは、男達を睨むと、にやりと笑った。確かに顔は笑っているが、目は笑っていない・・・。



「悪いけど、オレは強いよォ?」
「・・・い、いきがるなよ!?・・・こっちは2人なんだからな!」
「オレは別に構わないけど?・・・やる?」
 明らかにオドオドし始めた2人組を見て、ディアッカはくすくすと笑う。
「このごろ、整備ばっかで体動かしてないから、なまってんだよねぇ〜。久々にいい運動になるし」
 そして、男が持っていた缶ジュースを引ったくり、握りつぶす。それを男の目の前に突き出すと、再びニヤリと笑った。
「やる?」
「・・・お、覚えてろ・・・!!」
 男たちは、踵を返すと慌てて走り去って行く。途中、もつれた足にとられて、一人がこけた。たまらず、ディアッカは声を上げて笑う。
「あっはっは。情けねぇなあ」
「・・・ちょっと」
 その笑いを、ミリアリアの声が止める。ディアッカの顔は、ひきつった。
「なんで遅れたのよ。もう20分も過ぎてるじゃない」
「わ、悪かったって」
 ディアッカを睨むミリアリアの視線は緩まない。
「・・・間に合うようアークエンジェルを出たんだよ。でも、サイに呼び止められて・・・」
「サイ?何か話したの?」
「あー・・・。いや、まあ・・・」
 歯切れが悪い。
「そのうち・・・、話すよ」
 じっとミリアリアはディアッカを見つめてくる。その言葉に嘘はないか。そんなことを確かめるように。
 こんな瞳からは、貫き通せる嘘はないんじゃないだろうか。ディアッカは思う。
 ふいとミリアリアは視線を逸らした。
「行くわよ。おつかい、いっぱいあるんだから」
「ハイハイ」
「それと」
「うん?」
「ありがとう」
 振り返らないミリアリアの背中を見て、ディアッカは微笑んだ。
「どーいたしまして」


END




ナンパ撃退〜。
毎度毎度、ありがちなネタで申し訳・・・。
しかも、どう見てもディアッカがチンピラ。(笑)
ミリちゃんの服はイメージです。資料見てません。
ちなみに、サイとの話は後日・・・。なんだか、続きそうです、この話・・・。

今回の挿絵の塗り。非常にタブレットの反応が悪かったです・・・。筆圧感知が悪くて、ずっと太いままになってしまいました・・・。なんでだろう・・・。
そのため、めちゃ苦労して塗ったんですが、結果は以下のとおり・・・。情けない・・・。
うーむ、ペン先が寿命なのか、滑り止めに敷いてある紙が寿命なのか・・・。
タブレット本体の寿命でないことを願いたい・・・。(冬コミ前なのに・・・(涙))


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