★★★★ メール・コラム 「旅の恥はかき捨て」★★★★ 創刊号  2004.02.10

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=2= チップ、心付け、ホテルのサービス料・・・日本では
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「心付」
 日本の習慣としてのチップ(と言うより旅館の部屋係や宴会の仲居さんに対する心
付)は、ふつうはサービスの前に「よろしく」の意味を込めて渡すことが多いようで
す。渡さない人も多いので、先に渡しておかないと「その気」になってくれないとい
うことがあるかもしれません。
 でも日本では、チップの多寡でスタッフのやる気が変わり、サービスの質が変わる
という心配は全く無用です。むしろ一般的に職場の規律として、チップをもらったか、
もらわないかでサービスの質を変えることは許されていないと言っていいでしょう。
もし、明らかに変わるような旅館、ホテルがあればモラルの面では三流と言わざるを
得ません。

 最近では旅館のなかには、部屋で仲居さんに心付を渡すと領収書をもってくるとこ
ろもあるようです。「ありがたくいただきますが、特別なことはできないかもしれま
せん。」という意志表示でしょうか。あるいは「お客が特別なことを期待しているか
もしれないが、いったい何をしたらよいだろう。」と困って、「心付けをいただける
くらいなら、宿泊料を値上げさせてほしい」というのが本音かもしれません。

 旅館、ホテル側から提供されるサービスをだまって受けるだけでなく、何かよけい
な手間をかけることは当然ありますが、それが、通常のサービスを超えている場合、
たとえば子供がおねしょをしてしまった場合はどうでしょうか。

 よけいな手間というと:
  ・シーツの洗濯;これはどっちみち洗うので同じ
  ・シーツをはずすとき、汚い;トイレの掃除や汚物の処理もしていることを考え
   れば、通常の清掃の範囲です。
  ・ふとんまたはベッドを乾かす;確かによけいな手間です。ふとんのクリーニン
   グを外部に出せば余計なコストもかかります。

 これを、宿泊客が何もいわずにチェックアウトしてしまうのは、ちょっと常識はず
れですが、
  ・旅館・ホテルが、子供だからおねしょぐらいはあたりまえ、気にしないでくだ
   さい、というか、
  ・宿泊客が、それでは気が済まないからとクリーニング代くらいを置いてくるか
   は、

いい悪いではなくサービスレベルと気持ちの問題でしょう。私自身は、老夫婦がやっ
ている奥多摩の民宿に子供と泊まったとき、小学生の子供がおねしょをしてしまい、
ふとんを干す手間賃のつもりでたしか千円くらい置いてきたことがあります。

 ただし、ものを壊したという場合は、サービスレベルや気持ちではなく、弁償の問
題です。


 もらう側とすれば、チップの習慣がない日本でも、サービスの後、感謝の気持ち、
サービスに対する評価として出されたならうれしいもので、これはそのまま有り難く
いただいておきます。「感謝の気持ち」をあらわすのに「お金」を出すことに抵抗が
あるかもしれませんが、そこは「プロフェッショナル」、つまりお金を得るために働
いているわけですから、決して卑しむべきことではないと思います。

 このチップを会社の収入にするか、社員の親睦会にでも入れておくかは会社の方針
ですが、前にも書いたように個人の収入になることは日本ではまずないでしょぅ。
 たとえばホテルのベル・ボーイでも、はじめからベル・ボーイとして入社すること
はなく、同じ入社試験をへて他の社員と同じ身分で入社しています。給与面でも当然
同じ規定が適用され、チップを個人の収入として認めるとかえってその職種が優遇さ
れてしまうからです。逆に、チップがいくらもらえるかわからないのに、チップを前
提に会社が支給するその職種の給与を少なくするなんてこともできません。

 日本では一般的にチップなり、心付けが当然のものという考え方はありませんが、
少し事情が違うのが団体旅行の場合です。
 団体旅行の場合は旅行業者が間に入って手配するので、旅館の宴会の仲居さんやバ
スの運転手に習慣的に心付けを渡しています。仲居さんは何人かで宴会を担当するの
で、チーフ格の人にまとめて渡します。(従って、個人の収入にはしにくい。)バス
の場合は行程の途中で運転手に渡すので、逆に個人の収入になっているケースの方が
多いのではないかと思います。どちらも渡すのが習慣化しているので、挨拶がわりに
早めに渡します。


「サービス料」
 日本ではホテルの勘定書を見ると「サービス料」なるものが10%くらい加算され
ています。これってどういう性格のものでしょうか。「サービス料」という名前から
すればサービスの対価ということでしょうが、ホテルなんてもともとサービス業なの
に、なぜ?
 チップに似ていますが、「サービス料」は完全に会社の収入で宿泊料や食事料金と
全く変わりません。ちょっと名前を変えてみましたというだけです。(あえていえば、
昔、料理飲食等消費税という税金(地方税)があった頃、東京都と京都府では10%
までのサービス料はこの税金の対象にならないが、超えると対象になる、という違い
がありました。)
 インターネットでみると最近では、伊香保温泉の「福一」など、サービス料を廃止
して、宿泊料に一本化している旅館もあるようです。ひとつの見識だと思います。

 「サービス料」以外にも、いろいろ請求項目を工夫するのもホテルの常です。部屋
から電話すると、電話料金は一般の加入電話よりもかなり高いのは常識です。この差
額をどう説明するか。昔なら「交換手がサービスしているから」でしょうが、今では
「電話システムの使用料」です。あるドイツのホテルは、かなり高いと認めたうえで、
「料金が気になる場合はロビーの公衆電話を使ってください。」と印刷したメモを部
屋においていました。結構クレームが多いんでしょうね。

 ところで、日本では最近ロビーの公衆電話が必ず安いとはいえないケースもありま
す。長距離電話の料金競争のおかげで、特にホテルのような大口利用者はNTT以外
の電話会社とも契約し、かなりの割引を受けている場合があります。これを宿泊客に
還元してくれていると、公衆電話よりも部屋からの方が安い場合もあります。



ついでに・・・・「枕 銭」
 ベッドメイクの人へのチップとして、朝おきたら枕元に小銭を置いておく、という
のははじめて海外旅行へ出かけるとき教えられるチップ第1章です。でも、ついうっ
かり忘れてしまいがちです。
 チップも彼らの重要な収入源、悪いと思って翌日2日分を置いたりします。でもこ
れはまったく意味がありません。昨日のメイドと今日の人が同じとは限りません。違
えば単に今日の人が喜ぶだけです。旅行会社の社員でも、こんなことをやっている人
はいます。


以上

次号は・・・「1等車と2等車」


 創刊号を発行しました。少し長くなってしまいました・・・。内容もタイトルのイ
メージよりは堅くなったかとおもいます。自分の経験したこと、「あれっ」と感じた
ことをまとめるのがベースになっていますので、愉快な失敗談満載とはいきませんが、
幅広くトピックを選びながら継続していきます。ご意見があればぜひお聞かせくださ
い。


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発行者:細川美智夫