【その名はマリン】
1990年3月10日、JR京葉線[東京−蘇我]が全線開通。それにともなって、ダイヤの改正が行われました。そのダイヤ改正を知らせるポスター、チラシに描かれていたのは、紛れもなく高橋留美子先生の絵だったのです。
かつて、国鉄バス、JR東日本バスのポスターに「めぞん一刻」の絵が使われていたという経緯があり、もともと縁はあったのですが、今度は描き下ろしの新キャラクターでした。
まもなく、このシンボルキャラクターの愛称を募集するポスターが登場し、やがて愛称の決定を告げるポスターが駅頭を飾りました。そのキャラの名はマリン…。
プロフィール 年齢:22才 職業:幕張のインテリジェントビル内 貿易商社に勤めるOL。 友達:たくさん。 恋人:まだいません。 性格:根は甘えん坊ですが、人前では シッカリ者。何にでもチャレン ジするタイプ。 一言で言うと:もっとも“イマふう” な都会派の女のコです。 愛称募集ポスター「ネーミングのヒント」より |
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公になっている正式なマリンのプロフィールは上記のとおりですが、当時のPC-VAN、SIGアニメカンパニー内にあったるーみっくのボード(現在のSIGるーみっくわーるどの前身)では、これとは別に「森上翔子」という名前がつけられ、彼女をヒロインとする小説「翔子プロジェクト」が1992年までの間、何回かに渡って掲載されるという盛り上がりを見せました。
【JR京葉線とマリン】
JR京葉線は、「東京」と千葉県の「蘇我」を結ぶ通勤新線であるとともに、東京ディズニーランドの最寄り駅「舞浜」、日本コン ベンションセンター(幕張メッセ)、千葉マリンスタジアムの最寄り駅「海浜幕張」などを擁する湾岸臨海鉄道です。 | |
![]() 205型車両とヘッドマーク(1990年8月/蘇我駅) <画像提供/BADGERさん(幌萌鐵道管理局)> |
1990年の全線開通当時、すでにるーみっくファンしてた 私ですが、それほど深いファン活動をしていたわけではあ りませんでした。FCサークルや同人活動とも無縁でした し、パソコン通信もまだ始めてはいませんでした。 鉄道には特別興味はなかったし、ビッグコミック・スピ リッツや少年サンデー誌上の通販でテレフォンカードを購 入したことはありましたが、特にテレフォンカードやオレン ジカードの収集を趣味としていたわけでもありません。 そんなわけで、情報にも非常に疎くて、京葉線がこんな ヘッドマークをつけて走っていたなんて、ちっとも知りませ んでした。冒頭では、いかにも見てきたような書き方をし ましたが、当時、全線開通を知らせるポスターも全然見た 記憶がないのです。私が見る前に盗まれてしまったんで しょうか?(汗) マリンの存在については、1992年になってから記念の オレンジカード(タイプ2)を見せてもらって初めて知った のです。(そのオレンジカードも、1998年4月までかかっ てようやく入手できたという状況でした…。汗) |
ここでは、参考文献(高橋留美子FC会報「熊猫通信<合本>1〜17号」)と自らの調査で確認できたもののみ掲載しています。未確認の部分も多いので、誤りのご指摘やより詳しい情報などありましたら、ぜひお寄せください。
まず、グッズ等紹介の前に高橋留美子先生がこのキャンペーンのために描き下ろしたイラストについて確認しておきます。グッズ等の絵柄については、以下のイラストに振った記号(A〜D)で表記します。
・イラストA
・イラストB(JR東日本制服姿)
・イラストC(水着姿)
・イラストD(ドレス姿)
![]() タイプ1:A(フルカラー) タイプ2:A(顔のみ/フルカラー) <タイプ2:画像提供/BADGERさん> |
![]() 【駅貼り用(B全)】 ダイヤ改正のお知らせ:A(フルカラー) 愛称募集:A(フルカラー) 愛称決定:A(顔のみ)、B(フルカラー) 【車内吊り広告用】 ダイヤ改正のお知らせ:A(フルカラー) 愛称決定(横2連):A(顔のみ/フルカラー) |
![]() タイプ1:A(フルカラー) タイプ2:B(フルカラー) <タイプ2:画像提供/桑原尚志さん> | |
![]() タイプ1:A、B(2点)、C、D(フルカラー) タイプ2:A(2色) タイプ3:A(単色) タイプ4(英語版ガイド):A(2点/フルカラー) |
![]() タイプ1:A(フルカラー) タイプ2:B(フルカラー) タイプ3:A(顔のみ/フルカラー) タイプ4:B(等身大/フルカラー) <タイプ4:画像提供/桑原尚志さん> |
![]() 記念缶バッヂ:A(フルカラー) | |
![]() タイプ1:A(フルカラー)<ほぼ新書判130頁> タイプ2:A(2色)<1枚、折りたたみ型> |
![]() 全線開通記念入場券:A、B、C、D(フルカラー) |
![]() B4判の旗が19〜20枚連なったもの:A(単色) <写真提供/Hugoさん> |
![]() 横5〜7m、黄色い布をベニヤに貼りつけたもの :A(単色) |
![]() スポーツウェア型ミニふきん:未確認 |
![]() タイプ1:A(300mm×100mm/フルカラー) タイプ2:B(車内用/フルカラー) <タイプ2:画像提供/桑原尚志さん、ひろゆきさん> |
![]() VOL.1(A4判両面):A、B、D(フルカラー) |
![]() A3判(布製):A(単色に強引に色づけしたもの) <画像提供:BADGERさん> |
【幻のキャラクター、マリン】
飛鳥杏華がマリンと出会ったのは、前にも書いてあるとおり、1992年になってからのことでした。記念オレンジカード(タイプ2)を見せてもらって、「知らなかった。そんなのがあったのかぁ…。」と、ちょっとばかり口惜しい思いをしました。それ以来、漫画専門の古書店などをのぞくたびにチェックは入れてたのですが、タイミングが悪いのか、全然お目にかかれなかったのです。
ところが、しだいにあきらめムードになって、チェックも甘くなってきつつあった1996年1月のこと…。スキー板を新調するために神田方面に出かけた際、何の気なしに神田神保町の古書店まで足を伸ばしてみたところ、ガラスケースの中にかつて見せてもらったマリンの絵を発見したのです。
それは、全線開通記念入場券でした。しかもこの入場券には、チラシ(タイプ1)もついていました。それだけではありません。その店には、駅貼り用ポスター3種も売られていたのです。これらを一気に手に入れた私は、探せばあるものだなと勢いづき、再び気合いを入れてチェックするようになったのですが、残念ながらその後はまったくお目にかかれていません。
参考文献として使用した高橋留美子FC会報「熊猫通信<合本>1〜17号」によれば、当時、小学館との間でキャンペーン終了後は、一切の関連品を廃棄するという契約が交わされていたらしく、正式に販売、配布されたもの以外は、一部の強者コレクターの手に渡ったものを除いて現存しない可能性が高いようなのです。私が手に入れた駅貼り用ポスターも、そんなコレクターの1人が一気に放出したものだったのでしょう。
正式に販売されたオレンジカードや全線開通記念入場券、チラシや時刻表などは、いずれお目にかかれる可能性もあります。しかし、ヘッドマークや展示パネル、タペストリーなどに出会える可能性は極めて低いと言えるでしょう。マリンはこのキャンペーンを知らなかったファンや知っていながら関連品を目にする機会に恵まれなかったファンにとっては、まさに幻のキャラクターなのです。
【最後に…】
このコーナーは、まだまだ資料として不完全ですが、それでも展示するだけの価値があると判断してオープンしました。このコーナーを設けるにあたって、画像や写真等を提供してくださった方々及び貴重な情報を残してくれた高橋留美子FC(現在の時計坂通信社)に深く感謝いたします。
飛鳥 杏華
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