話数
サブタイトル
第61話
夏色の風と
扉絵
掲載誌 ビッグコミック・スピリッツ 1983年8月30日号
1983年8月12日(金)発売<定価200円>
掲載頁 P.51〜70(全20頁、うち4頁2色刷り、16頁墨1色<紙:白色>)
収録単行本 スピリッツコミックス・第6集−Part.8
ワイド版・第4集−Part.13
小学館文庫版・第4集−Part.13
総集編・第5集−Part.61


<解説>

 特に単行本との差異はない。参照画像でもわかるとおり、五代のリュックの色は赤で、これは大口小夏のバッグも同じである。大口小夏の髪の色はブラウンで、シャツのストライプは赤で描かれている。ちなみに、響子の服と朱美のタンクトップも赤である。

 前号掲載の予告では大事件が待っているとの記述があったが、実際にはそれほど大きな事件は起きていない。強いて言えば、五代が大口小夏とキスしたことだろう。坂本がつけたキスマークであれだけの騒ぎになるのだから、本当に響子以外の女性とキスしたというのは、確かに大事件と言えなくもない。

 しかし、高橋留美子先生が本当に描こうとしていた大事件とは、そんな生易しいものではなかった。実は、大口小夏は、五代の初体験の相手になるはずだったのである。後の平井和正氏との対談でも語られているが、この当時、高橋留美子先生の中には、五代が響子と結ばれるまで童貞でいるというのは嫌だという強い気持ちがあったらしく、思い起こしてみればこの年、白石衿子との一件などを見ても、五代に初体験のチャンスを与えようとする傾向が表れている。

 だが、編集担当記者など周囲から強く反対され、結局はキスだけで終わらせるかたちに高橋留美子先生自ら変更したという経緯があった。五代の初体験は、後にソープランドというあとくされのない場で表面的に描かれずに済まされることになるが、それでさえ読者からは大きな反響があった。その反響の内容については第103話「「犬が好き」PartII」以降で詳しく触れることにする。


<関連記事等>

 単行本『めぞん一刻』第1集〜第4集のおしらせが掲載されている。上2/3が白、下1/3が黒のバックで、上段2/3には「瑠璃色族、誕生」というコピーに続いて『瑠璃色ゼネレーション』(柳沢きみお)第1集の告知がある。下段1/3には「既刊大絶賛発売中!!」として3列に渡って既刊単行本が紹介されており、左上段から『めぞん一刻』(高橋留美子)、『ぼっけもん』(岩重 孝)、『軽井沢シンドローム』(たがみよしひさ)、『はるちゃん』(青柳裕介)、『マンチャラ小日向くん』(石坂 啓)、『みんな元気か!』(作/やまさき十三 画/ひのき真二)、『モノクローム・レター』(村生ミオ)、『イカロスの娘』(御厨さと美)、『傷追い人』(作/小池一夫 画/池上遼一)の順となっている。カットとして使用されたのは、第13話「ソルティー・ドッグ」の9ページ目、1コマ目の響子をトリミングしたもの。

 「SPIRITS FAN」のコーナーには、「五代のばあちゃんの真相をあばく!!」という読者投稿が掲載されている。「スター・ウォーズ」観て、ヨーダが五代のばあちゃんとウリ二つだと気づいたという内容。


<ちょっと蛇足>

・響子宛ての封筒に「練馬」の文字

 この回のラスト付近で五代が破った響子宛ての手紙の封筒には、「練馬」と読める住所の記述がある。これは、高橋留美子先生自身がこの夏、東久留米市から練馬区へと転居したことが反映されたものと思われる。したがって、この辺以降の時計坂には練馬区の風景も参考にされていると考えた方がよさそうである。


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