飛鳥杏華の気まぐれモノローグ(号外)

〜 「桃源郷 変態乙女ちっく倶楽部」顛末記 〜

<1999年>

2月24日(水)

 前日からの発熱も診療所でもらった薬のおかげで何とかおさまっていた。まだ、軽い頭痛と倦怠感が残っているし、のども腫れているようだ。しかし、熱があればいくらでも眠れてしまうのだが、熱がないとそうそう寝てはいられないから手持ちぶさたで困る。早く、待ち望んでいる本が届かないものかと、そればかりが気になる…。

 午前中は届かなかった。あせってみてもしかたがない。はずれて悔しい思いをするのが少し延びただけだと自分に言い聞かせる。そう言い聞かせつつ、そうでないことを願ってしまう。高橋先生の描いたページが少なくてもいいから、せめて1万2千円払ってもいいと思えるものであって欲しい。これは切なる願いだ…。

 17時頃、ようやく届いた。というか、届いていたのだが気づかなかっただけだった。つい、宅配便を想像してしまったのが間違いで、郵便の冊子小包だった。まあ、58ページの同人誌なら、その方が安いし…。しかし、郵便局まで行くのは面倒だ。普通の店なら、電話すれば受け取りにきてくれる宅配業者を利用するものではないのか? ちょっと不安が走る。しかも、差出人を見ると「○○方」となっている。これは店舗を構えた古書店ではなさそうだ。ますます不安が募ってくる…。(汗)

 こうなってくると、封を切るのが怖くなってきた。はずれの確率が95%以上のように思えてきた。やられたな…。心がズンと重くなり、もはやあきらめの境地に達した。そして、意を決して開封した…。や、やっぱり…。(ちゅどどど〜ん! 汗)

 は、はずれた…。(涙) みんなで笑ってやってくれぃ!(もう、投げやりの開き直り。笑) これで1万2千円は、5万円の「びびっと」といい勝負だ。飛鳥杏華、桃源郷にて玉砕す…。(汗)

 しばし、封を切ったベッドの上から動けずにいたが、もうこうなったらしかたがない。HPのいいお笑いネタになったと割り切って1万2千円払ったろうじゃないか立ち上がり、パソコンに向かった。全国8千万の「気まぐれモノローグ」愛読者のみなさん、犠牲となって玉砕した飛鳥に慰めのメッセージを…。(笑)

 さて、はずれには違いないが、ちゃんと内容を報告せねばなるまい。まず、高橋留美子先生の手によるものは掲載されていたのかだが、これはちゃんと掲載されていた。だから、騙されたことにはならない。だか、たった1ページ(折り込み)のイラストだけだ。折り込みポスターと称されていたのは、どうもこれらしい。カラーでも何でもない。ただのオリジナルキャラ(「うる星」に出てきた幽霊の小鳥ちゃんのような少女)の墨1色イラストだ。他には一切、高橋先生の手によるものはない。(汗)

 本のタイトルは「桃源郷」だけで、変態乙女ちっく倶楽部というのは、発行元のサークル名だった。(正確には、「変態乙女ちっく倶楽部 Peach People」という。) HP上では、半角スペースしか間があいてなかったので、全部が本のタイトルだと誤認していた。「桃源郷」なら、一刻会の古屋氏や時計坂通信社の大田氏も知っていたかもしれない。

 実際、このイラストには見覚えがある。確か高橋留美子FC(現在の時計坂通信社の前身)編の「高橋留美子作品目録」第3巻の表紙になっていたイラストだ。早速、確認してみると、まさにそのとおりだった。目録の奥付にちゃんと『「桃源郷」より』と書かれている。別に大発見でも何でもなかった…。これで1万2千円は、言っちゃ悪いが詐欺に近い。確かに、原書であるこの同人誌を手に入れられる可能性は極めて低いと言えるのだが、1万2千円はないだろう…。(汗)

 本そのものは、高橋先生の大学の後輩が漫研有志やOGらを巻き込んで作ったロリコン系同人誌である。表現は、今の18禁本に比べれば遥かにおとなしいが、まあ、一応これも18禁本だろう。そういうことで、高橋先生もロリっぽい少女のイラストを描いたのではないかと思われる。残念ながら、裸ではないが…。(こらこら。笑)

 まだ、金を払っていないので、錯誤があったとして返品することも可能であろうが、高橋先生の絵があるだけに手放してしまうのも惜しまれる。値引き交渉は恐らく無理だろう。自分が売り手だったら、せいぜい2千円(高くても3千円)くらいにすると思うが、1万2千円とではギャップが大きすぎる。もともと、玉砕覚悟だったのだ。恨み言は言うまい。甘い話に飛びついた自分が悪いのだ。1万2千円なんて…。1万2千円なんてさぁ…。(ちっとも、割り切っとらんじゃないか!? 笑)

 そんなわけで、淡い期待は露と消え、当方評価額から差し引き1万円程度の無駄遣いという結果が残った…。これもいい教訓だ。世界50億の「気まぐれモノローグ」愛読者のみなさん、モノが拝めないインターネット通販にゃ気をつけよう! 買うなら、モノが拝める飛鳥鳳凰堂の同人誌にしよう!(転んでも、ただじゃ起きない奴…。笑)


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