飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1999年>

2月9日(火)

 一刻会会報100号記念本の候補原稿振るい落とし作業が続く中、ビッグコミックオリジナル掲載の新作「君がいるだけで」が発表され、しっかりハマってしまった飛鳥…。2月14日(日)のスペースも取れ、いよいよ東京での既存即売会積極参加計画がスタートを切る。果たしてどんな結果が出ることやら…?(汗)

 3日、節分だ。節分といえば、「うる星」でも「らんま」でも何回か節分ネタが描かれたが、さすがに「犬夜叉」ではそういうわけにもいかない。今回は、珊瑚の心の葛藤が中心に描かれていた。前回の予想とはちょっと違い、奈落の狙いは珊瑚をその場で殺すことではなかった。弟・琥珀の命と引き替えに犬夜叉から鉄砕牙を奪ってこいと言う…。目の前にいるのは、もはやかわいい弟であった琥珀ではないと自分に言い聞かせる珊瑚だが、それでも…という気持ちが心をよぎる。

 奈落が鉄砕牙を奪おうとしたのは、殺生丸のように自分のものにしたかいらではなかろう。力をつけてきた犬夜叉に鉄砕牙を使いこなされたら厄介この上ない。奈落としては、鬼から金棒を奪っておきたいのだろう。そのために、犬夜叉たちが殺せないであろう人物にそれをやらせようとしたわけだ。

 しかし、珊瑚を殺さず、そのまま鉄砕牙を奪うように命じたのは、ちょっと詰めが甘くはないか? 殺して琥珀同様に完全に操った方がよかったのではないだろうか? 実際、珊瑚は迷っている。そして、正気であれば当然犬夜叉たちに対する感情も働く…。それでも、珊瑚は琥珀のために鉄砕牙を奪ってくると踏んだのだろうか?

 もっとも、このまま成功すれば、珊瑚は仲間を裏切ることになる。その裏切りに対する怒りや恨み…。そうしたものを犬夜叉たちに芽生えさせ、彼らの心を汚そうというのならわからなくもない。それによって犬夜叉たちの戦力を分断できれば、奈落にとってはより好都合だ。そこまで考えてのことなのだろうか…?

 一方、何かあったことを悟りながら、自分から話す気になるまでは放っておけと言う犬夜叉…。前のシリーズは弥勒が犬夜叉たちを頼れる真の仲間と認めるための布石であろうということを書いたが、今回のシリーズは珊瑚だ。本当に仲間と認めていれば、自分の口から話すはずと犬夜叉はあえて事情を聞こうとしなかったのだろう。

 葛藤の末に、鉄砕牙を奪おうと真夜中に行動を起こした珊瑚だが、犬夜叉は見抜いていたかのように起きていた。さて、この先、どのようなシーンが展開されるのだろう?

 さて、先週のML脱会状態の件だが、どうもメールサーバが不調で私宛のMLのメールがみんな返ってきてしまうため、こたちゃんが一時脱会状態にしていたということがわかった。まあ、そういうことならしかたない…。早速、復帰を頼んでおいたので、そのうち復帰できるだろう。もっとも、まだしばらくはメールを出せる状況ではないが…。(汗)

 一方この日、一刻会会報100号記念本の候補原稿振るい落とし作業は、主に考察系のものを中心に行った。捨てがたいものが多くて困る。自分の原稿をどの程度入れていいのかも迷うところだ…。任されたのだから、自分の独断と偏見で選んでやると開き直れればいいのだが、A型人間の性とでも言おうか、優柔不断に陥ってしまう。 とりあえず絞りをかけて、あとは21日の編集会議にかけるとしよう。

 4日、まだ発売前日だが、どこかにビッグコミックオリジナルが売ってないかと、ちょっとばかり探したが見つからなかった。まあ、よしとしよう。翌日には読めるのだから…。(昨年といい、何か気になる思わせぶりなタイトルなので、気になってしかたがないのだ。笑)

 帰宅後は100号記念本の作業だ。この本、正式タイトルは以前からほぼ固めていた。そろそろ正式に決めようかなと思う。毎回100号記念本と書くのもかったるいし、読んでてうんざりしてくるだろう。あまり画期的なものでなく、過去の出版物のネーミングを踏襲したものだが、「友菱SS100」(ともびしスーパーセレクション100)ということで…。

 かつて、一刻会では1992年までの間に5冊の会報セレクション本を出しており、これらのタイトルが「友菱SS」(ともびしスペシャルセレクション)だった。略すと同じSSだが、今回は規模が違うのでスーパーにしたという何ともありきたりの発想でしかない。(笑) でも、あんまり凝った名前にしてしまうのも一刻会というサークルの性格を考えるとどうかと思う。この辺がいちばん無難なところだろう。(勝手に納得しとるが…。笑)

 5日、当然、出勤時にビッグコミックオリジナルを買い、「君がいるだけで」を読む。………。しばし言葉が出てこない。これまでビッグコミックオリジナルの高橋留美子劇場は、どちらかというと読み返すごとにじわじわと味わいが増してくる作品が多かったように感じていたのだが、久々にど〜んと一読で胸にきた…。特に、公園で堂本氏が「そんな簡単に、変われるわけないじゃないか。」とつぶやきながら涙をこぼすシーンは秀逸だ。その前日の店長の言葉、「あなたが私の分まで怒ってくださったから… 私はあなたの分まで頭を下げたのです。」というのも非常に印象深い。

 「君がいるだけで」に続く状況があまりいいことではないというのは、前作の「お礼にかえて」がそうだったから、予想していたとおりだった。予告カットの中央にいかにも接客に不向きと思われる堂本氏が描かれていた時点で、充分に想像できるものだった。が、一方で米米CLUBのヒット曲との関連も気になっていた。曲の方の歌詞は実に心温まる内容だ。作品の表面上は外してみせても、その背後には歌詞と同じような気持ちが込められた作品になるのではないかと…。現段階で、それを裏づけるようなものは見つからないが…。

 不埒なことをする連中に対して正義の名のもとに怒声を浴びせたり、鉄槌を下してしまう堂本氏とひたすら腰を低くして穏便に済ますべく頭を下げる店長…。堂本氏は店長の分まで怒り、店長は堂本氏の分まで頭を下げた…。この図式には何となく個人的な心当たりがある。(汗) 「らんま1/2」の「節分!!鉄砲豆」の話のラストにも通じるものがある。(発売日もまさに節分の時期だが…。) 代わりにやられたから、自分はしないと…。

 かつて私は、作品や作者を批判する人たちに不快感を覚えたとき、直接的に喧嘩を売るということはしなかったが、そういう奴は筒井康隆氏の「朝のガスパール」よろしく、作品(特に「らんま1/2」)の中で作者から逆批判され、叩かれているぞと…、そういう図式が作品の裏の意味として込められているんだぞという考察をぶつけて批判を鎮めさせようとしたことが何度かあった。しかしその結果、場の雰囲気が重くなって沈み、批判者以外の人も寄りつかなくなるという状況をパソコン通信で引き起こしてしまった苦い経験がある。だから、堂本氏は他人とは思えないのだ。(汗)

 高橋先生も批判はありがたくないだろうが、批判者もまたファン(お客様)だ。店先で怒声を浴びせたり、鉄槌を下すような行為はもっと迷惑だろう。今回の作品そのものが、実際にそのことを暗に示しているのかどうかはわからない。むしろ、偶然の一致と見るのが正しいだろう。しかし、そういう自分に当てはまる図式が見えたこと自体、私個人にとっては意味がある。もっとも、単純に当てはめてしまうと「あんたは高橋留美子ファンとしてクビだ。」ってなことになってまって、洒落にならないのだが…。(汗)

 だが、店長はそれを口に出せないまま終わる。逆に「でもねー、本当はスカッとしたんだよ。堂本さんが、お客さん怒った時…」とも言っている。これが唯一の救いだ…。これは作品上、堂本氏の肩をもった発言だと店員には受けとめられているが、私は本音だったと思うのだ。立場上、客を怒るようなことはできない店長だが、心の奥底では怒りたい、言い返したいという気持ちがあったにちがいないと…。

 これはあくまで、私の勝手な当てはめだ。しかし、そう当てはめるとおもしろくなる。それでいいのだ…。少なくとも私にとっては、そうして作品が楽しめればそれで…。この作品のタイトルに「君がいるだけで」という米米CLUBのヒット曲名を持ってきたことについても、この曲が1992年の年間シングル売り上げ第1位(すなわち、1992年最大のヒット)であったことと、この年に飛鳥杏華がパソコン通信を始め、一刻会に入り、同人デビューを果たしたことを関連づけて、勝手にささやかな幸福感にひたっていれば…。(笑)

 6日、翌日に一刻会の会報編集を控えて、原稿の作成を行った。表紙イラストはもう描き上がっている。連載の原稿も原文が上がっているので、あとはレイアウトして印刷するだけだ。が、前日、すっかり「君がいるだけでに」ハマってしまったので、どうしても感想が書きたくなった。この原稿も勢いで夜には仕上がった。

 ここ何ヶ月かは、原稿がなかなか上がらずに、前夜遅くまでかかってしまうことが多かったのだが、今回は余裕だ…。だが、余裕があるとつい余計なことを考えてしまう。午前0時近くに急に思い立って、「君がいるだけで」のアッチャラーさんを描きはじめてしまった。ここのところ、一刻会の古い会報ばかり読んでいるから、かなり影響されている。昔に近いラフなノリのフリートークの完成だ。結局、これで午前3時まで寝られなかった。まったくもって同人って奴は…。(汗)

 また、この日ようやく2月14日のバレンタインプレゼントコミケin東京のサークルチケットが届いた。これで正式にスペースが取れた。場所は東京ビッグサイト西2ホールで、一刻会のスペースはほとんどホールのど真ん中、え−17、18だ。東京近辺で興味のある方はのぞきにきてくれるとありがたい。参加するからには、全然手応えなしというのも淋しいから…。

 7日、一刻会の会報編集のため、日野へ出向いた。この日の編集は原稿が多めにあったこともあって、あまり迷うこともなくスムーズに進んだ。翌週の即売会に持っていく一刻会の本についての打ち合わせや、るみけっと(仮名)の進行状況、友菱SS100についての話も少しした。るみけっと(仮名)の方は、ほとんど進展はない。が、3月末までには日程と会場を決定して、4月には正式なペーパーを出したいという意向だけは確認された。アンケートに答えてくれた方々には、とりあえずお礼のメールや手紙を出すとしようということで…。

 この日の編集には、岐阜から逸見五美さんが来ていたので、委託販売予定の逸見さんの本はその場で受け取った。あとは、鏡あかりさんの本を販売する予定になっていたのだが、どうも連絡がとれていないらしい。インフルエンザをこじらせて入院したとの話も伝わってきた。本がどうのこうのより、そっちの方が心配だ。今年のインフルエンザはたちが悪いし…。(汗)

 編集後はファミレスで食事だ。何年か前に日野駅近くのファミレスがつぶれてから、そば屋かラーメン屋ばかりでバリエーションに乏しい日々が続いていた。これからは、編集後の楽しみも増えそうだ。食事後にもまだ時間があった。となると、やっぱり麻雀だ…。これで結局、帰宅が午前1時になってしまった。ほんとに懲りないなー。(汗)

 8日、帰宅すると、前日持っていく冊数を話し合った一刻会の本がもう届いていた。それはとりあえず置いといて、原稿描きと編集で一時中断していた友菱SS100の原稿振るい落とし作業を少しやった。大分絞ってきたが、それでも300ページに届きそうなペースだ。今後に出てくるものも考慮しなければならないし、本当に鬼にならねば…。落とした原稿を見たい人は、一刻会に入ってバックナンバーを買ってもらうとしようか。(おいおい…。笑)

 9日、かの手塚治虫先生が亡くなって10年だ…。当時、高橋先生は病気療養による休載から復帰して間もない頃だった。あの頃はまだ同人活動とも縁がなく、ただ、毎週少年サンデーで「らんま1/2」を読むことがファン活動だった。それがむしろ健全な姿だったのかもしれないが…。

 さて、帰宅後はここの更新作業だ。が、どうもノリが悪い。ちょっと風邪ぎみで朝からのどにきている感じだったが、夜になると倦怠感に包まれ、気まぐれモノローグの原文書きも進まない。日曜日にはいよいよ即売会が控えている。具合悪くなるなら、その前になってしまった方がいい。悪くならないに越したことはないのだが、うーむ、どうなることだろう?(汗)

メニューに戻る