飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1999年>

1月5日(火)

 コミックマーケット55が終わって、新年を迎えた飛鳥…。思っていた以上に疲れて、元旦は寝正月になってしまう。コミケ自体もうれしさ半分、戸惑い半分の複雑な気持ちを残す結果となった。これから先、るーみっく同人界はどうなっていくのだろう?

 12月29日、数年ぶりに一般入場でコミケ初日に参加した。カタログでチェックしたるーみっく関係の本を出してそうなサークルを回るのが目的だった。予定より1時間遅れて13時頃に到着したが、入場待ちもなくすんなり入れた。やはり、朝イチで大手を狙うとかいう目的がないのなら、このあたりの時間に来た方が楽でいい。もっとも、館内はかなり混雑しているが…。

 さて、問題のるーみっく本探しだが、すっかりあてがはずれてしまった。るーみっくイベント・情報館で可能性ありとして挙げたどのサークルもるーみっく本を出していなかった。かろうじて、夏にも出ていた犬夜叉本が1冊、委託で売られていただけだ…。

 夏から冬の間は期間が短い。前回は本来のジャンルのほかに犬夜叉本を作る余裕があったサークルも、今回は本来のジャンルだけで精一杯だったという見方もできよう。しかし、何となく不安が過ぎる…。同人界における「犬夜叉」人気が低下しているのではないかと…。あまり考えたくはないことだが…。(汗)

 すっかりあてがはずれてしまった飛鳥は、買うものがない…。このまま帰るのも悔しいから、いつもなら2日目にやっているトーンのまとめ買いをした。そして、以前から買おうと思いながら、いまひとつ踏み切れずにいたCOPICスケッチ(イラスト用カラーマーカー)をついに購入した。というのも、10月の呪泉郷端展示即売会2のときの色紙で悔しい思いをしたからだ。カラーはCGに頼ってきた飛鳥は、手描きのカラーがうまく描けない。1人でも多くの人から「欲しい」と言ってもらえるような見栄えのする絵が描けるようになりたい。そのためには練習しかない…。

 もともと、イラストで勝負できる絵ではない。漫画になって、オチがついてなんぼだと思ってきた。でも、並んだ色紙の中で自分のがいちばん見劣りすると感じたときの悔しさはたとえようもなかった。不器用だから、どこまで技をマスターできるかわからないが、来年は手描きのカラー原稿上達をめざしてがんばろうと心に決めた。そのうち、忘れるかもしれないが…。(笑)

 15時頃、会場をあとにして一旦帰宅し、17時過ぎに宿に向けて出発した。ここ数回は、宿に着くなりコピー誌の制作というのが続いていたのだが、今回はその労苦からは解放された。が、かえってすることがなくて時間を持て余してしまった。(笑) 一刻会の仲間と夕食に行き、21時からプレゼント交換会…。そして、翌日の対策会議へと移った。

 今回、何といっても問題なのは、一刻会の隣りに冨樫義博先生と武内直子先生のサークルが来てしまったことによる混雑対応だ。いかにして自分達のブースを防衛し、人の流れが遮断されないようにするか…。最終的には、準備会スタッフに訴えて、あまり混雑がひどいようならお隣りさんにブースを移動してもらうしかないのだが、せっかく隣りに来たのだから、冨樫先生の本が欲しいという気もするし…。何とも複雑だ。(笑)

 30日、いよいよ当日だ。いつものように一刻会会長の車で東京ビッグサイトに向かう。今回は、東地下駐車場に入れたため、いきなりガレリアに入ることができた。夏も冬も外で待つのはつらい。ガレリアも暖房がきいているわけではないのだが、早朝の外気に比べたらずっと楽だ。会場への入場も、いつもより30分早く7時だった。これでは、時間を持て余してしまう…と思ったのだが、そう甘くはなかった。

 心配していた新刊の搬入は、ちゃんと行われていた。まずはひと安心だ…。それに、Z列はもともと準備会スタッフが「にせ壁」と呼ぶ混雑が予想される列のため、最初から一刻会とお隣りさんの机の間は離れていたのだ。これなら心配はない。前夜、マジになって対策を立てたのがバカみたいだった。すっかり、安心して新刊のチェックをはじめた飛鳥だったが、間もなく凍りつく…。致命的なミスがいくつも出てきたのだ…。(汗)

 まず、表紙のトーンでミスってる。ラムの髪の毛にゴミのトーンがついてしまっている。響子さんの手首のところのトーンがちゃんとカットされていない。さらに、描き下ろし作品に何箇所かトーンの貼り忘れがある。結羅の鼻の位置を修正したとき、元の鼻を消し忘れて鼻が2個状態になっている! しまいにゃ、ラストのあかねの台詞2つを書き忘れてフキダシが白いままだ…。

 どれも初歩的なミス…。すべては時間がなかったからだが、そうなったのは自分の責任だ。こんなミスだらけの本を売るのは心苦しい。黙っていればわからないかもしれないが(こらこら。汗)、とりあえずその場でできることとして、台詞の抜けだけ手書きで書き込んで修正することにした。100冊全部である…。(もちろん、残り100冊もいずれそうせねばなるまい。) これで、開場前の準備時間はブッ飛んでしまった。余裕で朝食が食べられると思っていたのに、朝食がとれたのは開場15分前だった。(汗)

 さて、開場だ。予想通り、冨樫&武内のブースには長蛇の列ができた。が、混乱したのは最初にスタッフが最後尾を示した一瞬だけで、あとは整然と行列が形成された。私も、冨樫先生の本があれば、一刻会の売り子担当に頼んで買ってもらおうと思ったのだが、置いてあったのは武内先生の画集(それも、以前出たもの)だけだった。ブースには武内先生本人が座ったが、冨樫先生は会場内をブラブラしていたらしい。この2人が結婚するというんだから、世の中わからないものだ…。結局、その画集も1時間あまりで売り切れて、さっさと撤収してしまったが…。

 一方、自分のところの売れ行きはというと、あまり芳しくなかった。最初の1時間で新刊が10冊程度…。既刊にいたっては、ほとんど売れていない。もっとも、近年のるーみっく系は昼頃からがピークだ。その頃になると、だんだんと数もはけるようになったが、依然として既刊の売れ行きはよくない。「REAL LOVE」Vol.2は、もう4回目のコミケだから出ないのもわかるが、2回目のVol.3が出ないのはちょっと不本意だ。これまでなら、2回目は確実に30前後は行っていたのだが…。

 しかし、飛鳥鳳凰堂はまだいい方だった。一刻会の「そると」13号(犬夜叉特集)の売れ行きは、私の新刊の半分にも満たないペースだった。そのほか、前回かなりにぎわった鏡あかりさんや逸見五美さんのところも夏に比べて軒並み苦戦していた。結局、私のところの新刊(再録中心)は91冊と初売り記録を更新し、上々の出来となったが、既刊は例年の半分しか売れなかった。

 どうも、分析してみると同人界における「犬夜叉」自体の人気低下が原因のように思えてくる。既刊の2冊はいずれも表紙が「犬夜叉」キャラだ。一刻会の「そると」13号は犬夜叉特集だし、鏡あかりさんも今回は犬夜叉本だった…。逆にアニメの再放送の影響からか、「らんま」や「うる星」関係を求める人が増加していた。再録中心の私の新刊が多く売れたのも、その辺に原因があるのかもしれない。やはりアニメの力には勝てないのか…? 「犬夜叉」の人気が上がるにはアニメ化を待つしかないのか…? どちらかといえば、原作派の自分としては苦々しい思いでいっぱいだった。

 さて、コミケ終了後は一刻会の宿泊会場に戻っての打ち上げだ。ちょっと準備に手間どったが、しばしの開放感に浸った。そして、それからが大事な打ち合わせである。前回のラストにチラリと書いた西暦2000年春のプロジェクトについての話し合いだ。何やら怪しげだが、隠すようなことではない。ただ、「絶対」とは言えないから表に出すのを控えていただけだ。るーみっくOnly即売会を西暦2000年春に開催しようというプロジェクトについては…。

 呪泉郷端展示即売会2のあと、やはりサークルも読者もるーみっくOnlyの即売会を求めているし、それが実りのあるものだということを痛感した。満場の人々が次回開催を希望したけれども、その目途はなかなか立たない。ならば、自分たちでやってしまおうではないかというのが、一刻会会長の考えだった。それも単発の即売会ではない。一刻会の発案で準備会を組織し、年1回定期的に開催しようというものだ。そのための会場候補の洗い出しと名称の候補を挙げる作業をした。決定はまだ先だが、現在できる部分を人が集まったついでにやっておくことにしたのだ。

 とりあえず、現段階では西暦2000年春、東京での開催を目標に準備を進めていくということだけは確定している。年明けから具体的な会場探しと日程の決定、広報活動などがスタートする。この気まぐれモノローグもその広報活動の1つだ。(笑) そして、私のHPに広報のページを設けることも決まった。いずれ、アンケートへの協力やスタッフとしての協力を各方面にお願いすることになるだろう。即売会運営に関しては素人の集団がどこまでできるかわからないが、るーみっくファン同士が集える場所を作るために少しでもご協力いただければ幸いである。

 31日、宿泊会場をチェックアウト後、新宿へ出て昼食をとった。その後、各々の目的にしたがって解散…。私はお約束というか何というか、麻雀に行った。(笑) 地方から出てきた会員さんが、たまに集まった機会に麻雀したいという希望もあるので、やむをえないのだ。そう言いつつ、いちばんやりたがっていたりするのだが…。(笑) 結果は上々! 1年の終わりにしっかり勝たせてもらった。

 1月1日、年が明けた。とりあえずは、いつものように起きて雑煮を食べたのだが、昼前から極度の睡魔に襲われてしまった。前夜、決して夜更かししたわけではないし、朝も9時半まで寝ていたにもかかわらず、眠くてたまらなくなってしまったのだ。やはり、思っていた以上に疲れていたらしい。そのまま17時過ぎまで寝てしまった。完全に寝正月だ…。別に何かしたいことがあったわけではないが、1日損してしまった気分でいっぱいだ。昼間それだけ寝たのに、夜もぐっすり眠れてしまったし…。やっぱ、年なのかな…。(汗)

 2日、新刊が手元にきたので、既刊同人誌の紹介に追加する作業をした。しかし、いきなり91冊も売れてしまったので、オマケ冊子の公式ガイドブックをまたすぐにコピーしなければならなくなった。次のコミケまでは余裕だと思っていたのに、うれしい悲鳴だ。そして夕方からは、一刻会会報の原稿書きだ。編集会は1月4日と新年早々だから、翌日までには仕上げないとならない。結構きついスケジュールだ。コミケが終わっても何かと忙しい飛鳥であった。(汗)

 3日、日中は箱根駅伝を見たりしながら、気まぐれモノローグの原文書きをした。今回は前半部のコミケに関する部分が長くなるので、少し早めに書き始めておこうと思ったのだ。案の定、書くことが多くてここまで書くのに夕方までかかってしまった。年明けからが尻すぼみだが、実際、大したことはしてないのだからしかたがない。今年はいやでもいろいろ書くことが出てくるだろう。それまでしばしの休息ということで許してもらおう。(笑)

 夜は、コミケで買い込んだCOPICスケッチを使ってカラーイラストの練習をした。が、これがなかなかうまくいかない。キャップの色と実際に出る色には違いがあるし、塗った直後と乾いてからの色の違いもある。とにかく塗ってみて、どんな色が出るか試してみなければわからない。それに、影つけをする際の色の組合せ、相性なども描いてみて覚えるしかない。また、ブラシがちょっと太いので、筆圧の強い私にはちょっとつらいところがある。一朝一夕にはマスターできそうにないが、何とか様になるところまで早く持っていきたいものだ。

 4日、仕事始めで出勤したが、この日は新年の挨拶回り程度で、昼過ぎには帰れる。これを利用して、一刻会の会報編集に出向いた。今回にかぎって青山のアジア会館なので、職場から近くて助かった。作業もスムーズに進んで20時過ぎには帰宅できた。帰宅後はるーみっくOnlY即売会関係のページ作成をはじめたのだが、電話がかかってきてほとんど進まなかった。が、この電話もまた重要な話だったのだ。

 ここ数年、一刻会はコミックマーケット以外の即売会には出ても売れないから参加していなかった。その姿勢を改めて、今年からは既存の即売会に積極的に参加していこうということになったのだ。1月15日の正月コミケin名古屋(名古屋国際展示場)を皮切りに、名古屋、東京を中心に売れなくてもいいから、某・ゲーム機メーカーのCMのように草の根運動を展開していこうと…。これまで、売れないから出ない。出てないから人が来ない。人が来ないから売れないという悪循環だった。しばらくは成果が上がらなくても、とりあえず出てるぞということを伝えて、少しずつでも人が来てくれるようにしようというわけだ。

 一刻会の名前で出るわけだが、飛鳥鳳凰堂の本も置く。さらに、魚のスープの鏡あかりさん、クリスチーネ剛田の逸見五美さんの協力も得て、本を置かせてもらうことになっている。コミケに来れなかった人には、この4サークルの本を手に入れるチャンスとなる。その後の予定として、2月14日に東京ビッグサイトで開かれるバレンタインプレゼントコミケin東京、4月4日コミックライブin名古屋、GWのスーパーコミックシティ(東京)への参加がすでに計画されている。その他、大阪や東北なども視野に入れて計画を練っており、西暦2000年春のるーみっくOnly即売会の広報活動も兼ねることになる。少しでも、人が来てくれるようになるとうれしいのだが…。

 5日、帰宅後はここの更新作業だ。るーみっくOnly即売会のページはちょっと間に合わなかったが、でき次第追加しようと思う。その代わり、新春特別奉仕として、裏・高橋留美子*ぷち資料館を2週間の期間限定で一般公開することにした。まだまだ内容は貧弱で、よそにもっと揃っているサイトがあるかもしれないが、興味があったらのぞいてみて欲しい。ただし、これは期間限定の特別なディレクトリを設けて展示するものであり、本物はいままでどおりのディレクトリに存在している。期間が終了したら本物のみが残って、これまでどおり秘密の抜け道からしか入れなくなる。抜け道がまだ見つかってない人は、このチャンスを見逃さないように!(笑)

 さて、すでに4日に少年サンデーが発売されており、「犬夜叉」の感想も書ける状態にあるのだが、まだネタばらしには早過ぎよう。ということで、次回更新に回すことにした。かなり長くなってしまったことだし、今回はこの辺にしておこう。決して、書き忘れたことに今頃気づいて、適当にお茶をにごしたわけでは…。(ごにょごにょ…。汗)

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