飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1998年>

12月1日(火)

 一刻会の「そると」13号の編集は、何とか完了した。いよいよ残り1週間で自分の本の執筆に入る飛鳥…。しかし、予定では30ページを作らねばならない。果たしてそんなことが可能なのか!?(汗)

 11月25日、「犬夜叉」は、戦闘継続中だ。局面打開の糸口となるかと思われた本物の水神様は、たった1回で力を使い果たして眠ってしまった。この辺のはずし方が、いかにもるーみっくらしい。(笑)

 仲間に加わった珊瑚の活躍シーンを登場させてくるあたりは、バランスを考えた定石とも言える構成だ。かつてのような突拍子もない型破りな感覚は影を潜めた感があるが、基本に忠実な安定した作品を常に供給できる技術は素晴らしい。

 さて、にせ水神が珊瑚に気を取られている隙に、地道にニセ水神の胴体をのぼってきた犬夜叉があまごいの鉾に手をかけた。これを奪えれば一気に局面が打開される。そう簡単にはいかないだろうが、この厄介な武器をいかにしてニセ水神の手から引き離すのか、その辺が次回の楽しみだ。

 前回も書いたが、こういう展開では戦いの結果を待つしかない。ニセ水神がなぜあまごいの鉾を奪って権力の座につこうとしたのかとか、その辺も描かれると面白いと思うのだが、今回のシリーズではどうなるだろうか? 次回、巻頭カラーも含めて期待したい。

 この日は一刻会の「そると」のための考察書きに時間をあてた。かなり時間的には苦しいのだが、前回の編集で集まった原稿を見たかぎりでは、あまり読み物と言えるものがなかった。古くからの固定読者の多くは、じっくりと読ませるものを期待している向きもあるので、何とか間に合わせたいのだ。

 しかし、論旨がまとまらない。書いているうちに自分でも何が言いたいのかわからなくなってきてしまう。書きたいことは山ほどあるのだが、しっかりした検証がまだできてないから、つい1つのことを説明するのに二重三重に事例を挙げてしまい、非常にまわりくどい文章になってしまう。なかなか、次に書きたいことにつながらないのだ。(汗)

 こんな文章ではとても人前に出せない。残る中表紙のイラストと執筆者からの一言コメントとの兼ね合いもあるし、土曜日の朝までにまとまらなければ掲載を断念せざるをえないかもしれない。つらいところだが…。(汗)

 26日、「1ポンドの福音 小羊のレストラン」後編を読む。まあ、最初から2回というのがわかっていたから、そんなに大きな展開はないだろうと思ってはいたのだが、思っていた以上にあっさりした感じの終わり方だった。耕作の試合シーンも一切描かれず、今回は完全に脇役に回ったかたちになった。

 今回のシリーズは、完全にシスター・アンジェラ中心の話だった。これまで描かれてこなかったシスターの身の上を明らかにするのが目的だったと言ってもいいだろう。そういう意味では、あの若王子シェフもダシに使われただけという感じだ。今後、耕作のライバルとしてシリーズに留まる可能性は低いだろう。

 今回のシリーズは、シスターと耕作の将来に向けての地固めをしたものと言える。私は、麻利絵があの若さで修道女の道を選んだからには、現世を捨てるに値するような過去があって、それが2人の将来に関して最後にクリアしなければならない大きな問題となるのではないかと勝手に想像していた。「めぞん一刻」の響子さんが惣一郎さんという消せない過去を抱えていたのと同じように…。

 ところが、家族が敬虔なクリスチャンだから何の疑問も持たずにシスターへの道を選んだということが明らかになった。さらに前編では終生誓願の前なら修道女になるのをやめることもできるという事実が提示されている。これが今回のシリーズでは最も大きなポイントだったと言えよう。なぜなら、将来、耕作と結ばれるにあたって、何ら障害となるようなものはなく、あくまでシスター・アンジェラの気持ち次第なのだということが明らかになったからだ。

 この伏線を敷いたことで、今後、2人の関係を本格的に接近させるような展開を出すことが可能になったわけだ。次回はいつ登場するかわからないが、そうした展開に突入していく可能性は充分にあると言えるだろう。第1話からすでに11年半、そろそろ決着をつけようという気持ちが出てきたのかもしれない。

 さて、この日も考察の執筆に向かったが、まったく同じところでつかえたままだ。一向に執筆は進まない。頭の中が混乱して、ベッドに横たわることもしばしばだ。しかも、風邪をひいたらしく、咳がかなり出る…。事態は最悪だ。(汗)

 27日、中表紙の下描きに入ろうかと思ったのだが、何となく考察の方に光明が見えた感があったので、そちらにかかった。これまでつかえていたところは突破し、しばらくは進んだのだが、また別のところでつかえてしまった。ちゃんと練れていない証拠だ。こんな段階で書くこと自体、間違いなのかもしれない。

 翌日は1日がかりで中表紙にかからねばならない。そちらを落とすわけにはいかないのだ。そこで、中表紙のあと徹夜して、日曜日の午前10時までに原文が上がれば、出発を遅らせてでも仕上げる。それまでに書けなかったら、すっぱりあきらめということに決めた。最後の最後まで未練は尽きないが…。(汗)

 28日、中表紙の執筆にかかる。たった1ページのイラストだが、中表紙となると本文の顔とも言える存在だ。適当で済ますわけにはいかない。犬夜叉特集だから、描くのは犬夜叉と決めていたが、構図が問題だ。単純なポートレートにはしたくない。

 まずは、ノートにさらさらと落書きしてイメージを固める。特集の意気込みを表すような勢いを感じさせる絵がいいなと思った。と、1発でイメージは固まった。どんな絵かは、現物を見たときのお楽しみということにしておこう。(笑)

 犬夜叉はほとんどベタを必要としないキャラなので、トーン貼りには結構早く入れた。しかし、その分トーンの影つけに凝らねば、大きな絵は単調になってしまうので、ここに時間をかけた。結局、何だかんだ言いながら、ほぼまる1日かかってしまった。

 さて、残るは考察だ。時間的にもう苦しいのはわかっている。しかし、ギリギリまであきらめたくはなかった。かくして午前10時までの徹夜の悪戦苦闘が始まる。

 29日、深夜の悪戦苦闘が続く。検証のための事例説明を省いて、できるだけストレートに書きたいことをつなげていくようにしてみた。しかし、つながらない…。思うように文章が流れていかない。ここまで書けないというのは初めてだった。午前7時、予定より3時間早かったが、この段階で書きたいことの3割も書けてない状況では無理と判断し、ついに執筆を断念して一旦床についた。

 午前10時、3時間の睡眠で起床。予定では11時半に出発する予定だったのだが、ちょっと疲れもあって準備に時間がかかり、1時間遅れでの出発となった。もっとも、あとは中表紙にタイトルロゴを貼り、編集後記を書くくらいだろう。大した作業は残っていないだろうと思った。

 そこで、余裕があるなら…と、いつもは持って行かないペンとインク、それによく使うトーン数種を持参することにした。というのは、昨年の12号の編集後記に描いた絵が不本意だったからだ。やはりペンでないとうまく描けない。今年は、時間をかけてきっちり描こうと思ったのだ。しかし、それが思わぬ結果につながるとは…。(汗)

 日野の編集会場に着くと、他の編集要員の集まりもよくなかった。とりあえず、自分が描いた中表紙にタイトルロゴを貼ったり、汚れの出ている文章原稿の修正をしたりしていた。ところがここで、届く予定になっていた原稿が1枚届いていないことがわかった。執筆してくれるはずと誰もが思っていた人物に電話してみると、名古屋に出かけて不在だと言う…。これは困ったことになった。

 確かに、本人は一言も「描く」とは言っていなかった。しかし、メールのニュアンスからすれば、当然描くものだと編集要員の誰もが思って疑わなかったのだ。そこに落とし穴があった。どうする…?(汗)

 虫の知らせだったのだろうか。ペンとインクとトーンを持参したのは…。こうなったら、最後の切り札「その場で描く。」の発動だ。それは当然、道具を持参した私の役目となった。これが編集作業を遅らせる大きな原因となり、21時の会場撤収時刻をオーバーすることになってしまった。結局、じっくり描こうと思った編集後記も駆け足になってしまった。(汗)

 30日、いよいよあとは自分の本の原稿だ。が、もう1週間しか残っていない。土曜日は大阪行きでつぶれるから、かなり厳しい。予定では30ページ分を作らねばならない。普通なら、最初から無理とあきらめる数字だが、とりあえずやってみようと思う。ダメだったら、ダメだった分だけ落とせばいい。とにかく、最善を尽くしたい。

 この日は、代休をあてていたから1日中執筆だ。まずは描き下ろし漫画の絵コンテからはじめる。以前、途中まで絵コンテを切った作品はもう間に合わないから、その代替にと考えていたショートギャグもの3編、計9ページの絵コンテを16時までに終え、早速下描きに入った。

 ところが、ここからがよくない。まず、17時頃から猛烈な睡魔に襲われて、2時間ほど寝てしまった。夕食後、19時半から下描きを再開したが、2ページ目の最初のコマの絵がうまく描けずにつっかえてしまった。いつもなら、練習を兼ねて念入りに絵コンテを切るのだが、今回はさすがにそこまでしていなかった。落書きレベルの絵コンテの絵をまともな絵にする作業がうまくいかなかったのだ。

 絵コンテ の構図をやめて、別の構図を試してみたがうまくいかない。結局、別のコマを先に描いて、翌日改めてその部分の構図を考えることにしたのだが、このロスがたたって2ページ目の3コマ目の途中までしかできなかった。できれば、この日のうちに4ページは終わらせたかったのだが…。(汗)

 12月1日、仕事中に前日つっかえたコマの構図を考えた。そういうことをしていた罰が当たったわけではないだろうが、午後から頭痛が走り、帰宅後も非常に辛い状態となってしまった。(汗) 帰宅後はとりあえずここの更新作業にかかったが、頭痛でなかなか集中できないから進まない。最低限の更新しかできなかった。

 さて、何はともあれ、あと1週間だ。来週には入稿報告をしているはず…。描き下ろしが何ページになるかの違いはあるが、必ず入稿はできるはずだ。(再録分だけで122ページもあるわけだし…。笑)

 できれば、あまりなさけない報告はしたくないのだが…。(何とかならんのか、この頭痛は…。汗)

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