飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1998年>

11月24日(火)

 いよいよ、新刊本の描き下ろしがやばくなってきた。しかし、それ以前に一刻会の原稿を仕上げて、自分の役目をきっちりと果たさねばならない。昨年の「そると」12号は、あまりにも不本意な出来だった。この悔しさだけは、もう味わいたくないから…。

 18日、「犬夜叉」は、今度こそ実質的な戦闘に突入だ。こういう展開になると、感想がどうのというより、まずは展開を見守りたくなる。かごめの放つ矢には不思議な力があるとはいえ、まだまだ1人で妖怪を倒すのは難しい。

 あまごいの鉾に危うく串刺しにされかかるかごめを間一髪で犬夜叉が救う…。これはお約束の展開だ。が、そこがまたいい。前にも書いたが、定番の時代劇のようにわかっていても「待ってました!」と拍手を送りたくなるシーンだ。ついでに、いままで無傷だった七宝、太郎丸、末吉の3人が、犬夜叉の乱入で無傷でなくなる(たんこぶができる)というギャグを入れてくるあたりはさすがである。(笑)

 一方、相変わらすいい味を出してくれてるのが弥勒だ。本物の水神さまが女神だとわかると、急に張り切って救おうとする。これには珊瑚も半分あきれ顔だ。珊瑚を狙ってるなら、目の前でこういう態度を見せてはマイナスだ。が、水神さまがあまりにも小さかったので、そんなに気分を害したような雰囲気は見られなかった。ラッキーだな、弥勒…。(笑)

 前回、書きそこなったのだが、金魚のような精霊がポイント高い。あれがいいと言う人が、私の周囲には結構多い。本来、表情のないものに豊かな表情を与える技術はさすがだ。オーソドックスな漫画の基本と言えるだろう。こういうところは、大いに学ぶべきところだと思う。

 さて、この日は一刻会の原稿の残りを手がけた。残った妖怪のカットの下描きを仕上げた。先週描いた狼野干、それに今週の蜘蛛頭と冥加以外はすべて初めて描くキャラだ。あまり、凝った構図を考えてる暇はないから、結局、作品の中の1シーンをほとんどそのまま模写することになってしまった。

 何とも芸のない話で、自分としても不本意だが、自分の本と違って間に合わせることの方が最優先課題だ。依頼原稿は、きっちり期待されたレベルのものを期限までに仕上げるのが礼儀だと思っている。実際には、期限を守れないことが多いのだが…。(汗)

 19日、「1ポンドの福音 小羊のレストラン・前編」の掲載された週刊ヤングサンデーを出勤時に購入し、早速読んだ。久々の私服姿のシスター・アンジェラもさることながら、ついに本名が明らかになったことが今シリーズの目玉だろうか?(笑)

 麻利絵…。ちょっと意外と感じる名ではあったが、他に候補を考えてもあまりパッとしたのは浮かばない。あんまり月並みな名前ではつまらないし、そういう意味では確かに印象に残る名だ。単純に麻利亜(マリア)にしなかったところにひねりが入っていると言えるだろうか?(笑)

 一方、新キャラであり、耕作のライバルとなる若王子シェフ。若王子とは、いかにもとってつけたような見事なネーミングだ。主人公のライバルになるわけだが、妙に憎めない。普段は天才シェフの名を欲しいままにしているのに、その気になって思いっきり腕を振るおうとするとまずい料理を作ってしまう。

 そこら辺にあるものをソースの材料に使ってしまうことと、ソースをかける前に味見しないことが原因なのだが、このあたりから私の周囲では「男・天道あかね」の異名で呼ぶ者も少なくない。(笑) 外見や女性に対する行動に弥勒を重ねる者もいるだろう。

 しかし、そのやり方で普段はいい味を出しているのだから、本当に天才なのかもしれない。もっとも、守下というじいやさんが、普段は何もかも準備してあげていると考えることもできる。若王子シェフは金持ちのお坊っちゃまだ。だから、守下が厨房にたまたま置いていた自家製の青汁や汁粉を何の疑問も持たずにソースに使ってしまったとも考えられよう。

 まあ、その辺の真偽のほどは本編とはあまり関係がない。問題は、シスターが世話好きの叔母さんにだまされて、若王子シェフとお見合いをしたこと…。そして、若王子が結婚に乗り気になったことだ。これに対して耕作はどうするのか? この発端に対して後編でどう決着をつけるのかが見物だ。

 決着がはっきりとつかなければ、若王子は「めぞん一刻」の三鷹さんにあたる存在になる。実際、今回の話は「めぞん」の「あぶない夜」のシリーズに似ていると言える。生活力のない耕作は、どうやってこのピンチを切り抜けるのだろうか?(失敗している料理が、「仔羊」の肉だというあたりも、サブタイトルと引っかけてあって、何となく意味深だが…。)

 20日、一刻も早く帰宅して、一刻会の原稿にペン入れをしたいところだったのだが、労働組合の動員で、日比谷野外音楽堂での集会とデモ行進に参加せねばならなかった。まあ、自分たちの労働条件や待遇に関わることなのだからしかたがないが、コートを着ていかなかったので、寒かった…。(汗)

 行進は日比谷公園から霞ヶ関、虎ノ門を通ってまた日比谷公園に戻るというコースだった。自分の職場に近いところで、折り返し地点は何とポニー・キャニオンのビルのちょっと先だった。恥ずかしい話だが、職場のこんな近くにポニー・キャニオンのビルがあるとは、この日までまったく知らなかった。歩いてほんの数分ではないか…。(汗)

 帰宅後、早速原稿のペン入れにかかる。まずは、自分の描きたい原稿3ページが優先だが、これが結構大変だ。描きたいという気持ちが強ければそれだけ、完璧を期したいから慎重になる。どうしても時間がかかるのだ。

 それでも、午前3時過ぎまでかかって、描きたかった3ページと妖怪キャラのカット6キャラ分までペン入れが終わった。あとのことを考えると、できればペン入れを全部終わらせたかったが、無理はしないでおきたい。以前ほど、体力はない…。悔しいけど、体は正直だ。(汗)

 21日、午前中にペン入れは終わり、ベタに入った。が、ここで手元にないトーンが必要だったのを思い出した。買い出しにいかねばならない。しかし、翌日まだ1日あるから少しは余裕があると思った。だいたい、あの店に行けばいいというあてもあった。そこでつい、また悪い虫が動き出してしまった。(汗)

 11時過ぎに家を出て、開店直後のまんだらけ中野店へ…。2Fおもちゃ館で、「うる星やつら」の書店用のぼり2種をGETした。使用済みでかなり汚れているので、値段もそんなに高くなかった。タペストリーやのぼりは「らんま」のものは結構出回るのだが、「うる星」は珍しい。汚れていても、とりあえずは満足のいく買い物だった。

 続いて渋谷店に出て、「らんま」のタペストリーをGETした。この絵柄のタペストリーは実に3枚目だ。何でそんなに買うかと言うことになるわけだが、まず最初に手に入れたものはパイプが1本折れていた。そこで、もう1枚手に入れたのだが、この2枚はともに市販品だったのだ。このタペストリーには、同じ絵柄で1989年夏の小学館コミックフェアの販促用非売品がある。今回見つけたのは、その非売品の方だったのだ。(…ったくもぉ、オタクなんだから…。笑)

 数こそ少ないが、なかなかの収穫を得て、いよいよ目的のトーンの買い出しに向かった。まんだらけ渋谷店のすぐそばには東急ハンズがある。ここに行けば、目的のトーンは簡単に手に入ると思っていた。だから、お宝探しを優先させたのだが、ちょっと考えが甘かった…。(汗)

 最初のあてははずれたが、最後には新宿の世界堂に行けばいいというあてはあった。しかし、できれば渋谷で用を済ませたいという気持ちがあって、ついあっちこっちをのぞいてしまった。これが、かえって時間を無駄にすることになってしまう。結局は新宿に出るはめになり、14時過ぎには帰宅できる予定が、16時過ぎまでかかってしまった。(汗)

 帰宅後、ベタ続きをやったが、2時間のロスが響いたか、ベタを終わらせることができなかった。あと妖怪のカット4キャラ分だったが、午前4時を過ぎては無理はできない。お宝の代償は、結構痛かった…。

 22日、14時にベタを仕上げ、トーン貼りに入る。枚数は少ないのだが、結構貼る部分が多いから、思いのほか時間がかかる。もうここまできたら、地道に貼っていくしかないのだが、それでも午前4時過ぎまでかかって妖怪のカット4キャラ分が残ってしまった。あとは、翌朝から出発を遅らせてトーンを貼るしかない。まあ、2時間程度なら遅れても大丈夫だが…。(汗)

 23日、一刻会「そると」の編集のため、豊田へ出向く。結局、トーン貼りで2時間ちょっと遅れて15時過ぎの到着となった。到着後は、各コーナーのページ割り作業をし、おおよそのページ割りが確定した。ページ数はやはり昨年同様60ページ前後だが、昨年よりは遥かに内容と意味のある60ページだ。

 それはよかったのだが、中表紙を自分が描くことになっていたのをすっかり忘れていた。これで一刻会の宿題は考察を残すだけと思っていたのだが、うーむ…。ますます自分の本が苦しくなってしまった。12月5日はオフ会のため、大阪に行く予定になっているのだが、何かやばくなってきた…。(汗)

 さて、編集後はやっぱり麻雀をしてしまう。これをやらなければ少しは楽になるのに、やっぱりやめられない。その罰が当たったのだろうか? 突然、麻雀中に眼鏡がこわれてしまった。何もしていないのに、いきなりポロっとレンズが抜け落ちたのだ。見ると、フレームの止めネジが金属疲労から真ん中で折れてしまっていた。

 何しろ、20年も使っているフレームだ。金属疲労も来るというものだ。ネジが真ん中で折れてしまっては、ネジ穴のない方はもう抜きようがない。新しく作るしかない…。これは、予定外の出費だ。(汗) それ以前に、翌日の出勤から困る…。まあ、こわれてしまったものはしかたないが…。

 24日、とりあえず、裸眼で出勤した。眼鏡なしの背広姿は、成人式のとき以来だ。トイレでふと鏡を見ると、結構いい…。眼鏡をかけない方が男前だ。(こらこら。笑) 眼鏡をやめてコンタクトにしようかとも思ったが、かろうじて思いとどまった。(笑)

 さて、午後に休暇をもらって眼鏡を作りにいこうかと思ったが、職場の近所に安くていい眼鏡店があると聞いて、帰り際に寄ることにした。そのおかけで、時間のロスも出費もそこそこ抑えることができた。

 帰宅後はここの更新作業だ。先週作りかけたものの、更新できなかった伊香保温泉の石段街の写真を時計坂写真集・番外編に追加した。それと高橋留美子漫画作品一覧に「1ポンドの福音 小羊のレストラン」の枠だけを用意した。解説はやはり後編を読み終えたうえで書きたいから、来週まで保留だ。

 もっとも、来週は修羅場で更新どころではなくなっているかもしれないが…。(汗)

メニューに戻る